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 日本赤ちゃん学会未来を育む赤ちゃん研究
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 第13回学術集会
 「赤ちゃんの中の社会」

 2013年5月25日(土)・26日(日)
大会長:橋彌和秀(九州大学大学院 人間環境学研究院)

アクロス福岡(福岡市中央区天神)にて実施

 保育所における乳幼児の関わり ―リズム遊びに焦点を置いて―

藤森 平司(保育環境研究所ギビングツリー)
小川 勝利(社会福祉法人いるま保育会/昭和大学医学部薬理学講座)

 昨年の学術集会で、保育の現場でみられる子どもの発達の様子を、子ども同士の関わる力(関わり 合って遊ぶ姿)に焦点を置き、3つの保育現場から、子どもたちの関わりのエピソードを映像にまと め、その事実をもとに参加者の皆様と有意義に話し合う機会を得ることができました。 その中には、1歳児クラスから関わり合って遊ぶ姿が随所でみられ、更に、ペットボトルにおはじ きを入れて作ったマラカスで遊ぶ姿では、相手のお友達が出す音に合わせて、交互にマラカスを鳴ら し合う姿が見られていました。この遊びは、自己中心的な関わりとは異なり、確実に相手の反応に対 して自分でそれに合わせ、それを楽しむ姿でした。1歳児クラスの子どもたちの中には、既にこのよ うな高度とも言うべき関わりあって遊ぶ力が備わっていることが明らかとなりました。 一方、2歳児の発達の特徴として、同じ場所で平行的に遊ぶ中、保育士との一対一の関係から派生 し、同じ遊びを同じ場でやっている状況であり、3 歳児どうしのようにかかわり合う、見合う、模倣し 合うという関係ではない*とする見解も存在します。 しかし、私たち保育現場では、見合うことや模倣し合うことはもとより、先に述べた通り、お互い のリズムを聞きながら合奏し合う姿が1歳児クラスで確認できています。 3歳未満児に関する全く異なった見解です。この原因の一つとして、被験者となる子どもが観察対 象となる年齢まで過ごした環境による要因が考えられ、この場合は子ども集団の中で過ごす経験の差 が結果に現れているようにも思われます。 本来、私たち人類は集団で生きる動物であり、従って赤ちゃんは、集団の中で成長発達する力を持 ち合わせていると考えられます。母子や親子といった2世代に限った家族構成や、現代特有の超少子 化(異年齢の子ども集団の超希薄化)の環境は、私たち祖先が長い間守り続けた子育ての環境とは大 きくかけ離れてしまったようにも思われます。 そこで、現在では貴重となってしまった異年齢の子ども集団の中で、乳児期から過ごした子どもた ちがどのように関わり合っているのか、今回はリズム遊びを中心にそのエピソードを整理したいと考 えています。 保育所保育指針では、一緒に歌ったり、手遊びをしたり、リズムに合わせて体を動かしたりして遊 ぶことを通し、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする子どもの姿が望まれています。 そう考えたとき、子ども集団で関わり遊ぶ経験は、社会生活を送る上で必要な力(社会性)を獲得 していくことであり、今一度この子ども集団が持つ個々の子どもの発達を培う力を見直して行きたい と考えています。 今回のラウンドテーブルでは、子ども同士が関わりあって遊ぶ姿をリズム遊びに焦点を置いて報告 し、それらをもとに、社会性の獲得(言葉の獲得)についても会場の皆さんと議論していきたいと考 えています。

*:幼稚園における2 歳児受け入れに関する調査研究 全国幼稚園教育研究協議会(平成18 年1 月31 日)

 赤ちゃんと他者の関わりを科学する −心理学・認知科学・構成論・リハビリテーションの視点から−

日本赤ちゃん学会若手部会

 2012 年末に,若手の研究者の交流と研究の推進を目指して,日本赤ちゃん若手部会が立ち上がりま した。若手部会では年に一度の研究合宿を開催する予定にしていますが,合宿だけではなく,赤ちゃ ん学会学術集会においても研究推進を行いたいと考えています。本年はその第一歩として,「赤ちゃん と他者の関わりを科学する」と題し,乳児と,乳児に対する養育者や周囲の他者の関係を科学的に探 究するアプローチについて若手の視点から議論を深めたいと思っています。 イギリスの精神分析家ウィニコットが「一人の赤ちゃんというものはいない。赤ちゃんはいつもお 母さんの一部である。」(渡辺訳)と述べているように,乳児の発達を議論するためには,乳児だけで はなく,乳児と関わりを持つ他者に焦点を当て,両者の関係について議論する必要があります。心理 学では,ヴィゴツキー以来,乳幼児の発達に対する社会的環境の重要性は多く論じられおり,養育者 を含めた他者が子どもに対して何をどのように行うのかを問う研究は多く報告されてきました。これ らの研究では,無力な乳児に対して他者がいかに働きかけるかという視点で研究がなされ,他者の行 動に主眼が当てられてきました。しかしながら,近年の乳児研究は,乳児が生後間もなく他者を含め た社会的刺激に対する強い感受性を持っていることを示し,他者との関係に開かれた乳児像を提示し ています。このような新しい乳児像は,乳児と,乳児に関わる他者の関係を理解するうえで,新しい 視点をもたらす可能性があります。本ラウンドテーブルでは,心理学,認知科学,構成論などの基礎 的な立場で乳児と他者の関わりを検討している先生に加えて,リハビリテーションの現場において乳 児への関わりを検討している先生方に話題提供をいただきます。そして乳児と乳児に対する私たちの 関わりの特徴について,多角的な議論を行いたいと考えています。2012 年末に,若手の研究者の交流と研究の推進を目指して,日本赤ちゃん若手部会が立ち上がりま した。若手部会では年に一度の研究合宿を開催する予定にしていますが,合宿だけではなく,赤ちゃ ん学会学術集会においても研究推進を行いたいと考えています。本年はその第一歩として,「赤ちゃん と他者の関わりを科学する」と題し,乳児と,乳児に対する養育者や周囲の他者の関係を科学的に探 究するアプローチについて若手の視点から議論を深めたいと思っています。 イギリスの精神分析家ウィニコットが「一人の赤ちゃんというものはいない。赤ちゃんはいつもお 母さんの一部である。」(渡辺訳)と述べているように,乳児の発達を議論するためには,乳児だけで はなく,乳児と関わりを持つ他者に焦点を当て,両者の関係について議論する必要があります。心理 学では,ヴィゴツキー以来,乳幼児の発達に対する社会的環境の重要性は多く論じられおり,養育者 を含めた他者が子どもに対して何をどのように行うのかを問う研究は多く報告されてきました。これ らの研究では,無力な乳児に対して他者がいかに働きかけるかという視点で研究がなされ,他者の行 動に主眼が当てられてきました。しかしながら,近年の乳児研究は,乳児が生後間もなく他者を含め た社会的刺激に対する強い感受性を持っていることを示し,他者との関係に開かれた乳児像を提示し ています。このような新しい乳児像は,乳児と,乳児に関わる他者の関係を理解するうえで,新しい 視点をもたらす可能性があります。本ラウンドテーブルでは,心理学,認知科学,構成論などの基礎 的な立場で乳児と他者の関わりを検討している先生に加えて,リハビリテーションの現場において乳 児への関わりを検討している先生方に話題提供をいただきます。そして乳児と乳児に対する私たちの 関わりの特徴について,多角的な議論を行いたいと考えています。

 乳幼児の社会性  −乳児からの保育における環境による乳幼児の発達の保障−

楢崎 雅(社会福祉法人摩耶福祉会 るんびに保育園)

 近年の社会情勢を背景に、女性の社会進出等の推進と共に、生後2 ヶ月からの保育が珍しくなくな っています。往年の3 歳児神話に見られる「3 歳までは家庭で保育」することは、果たして子どもの発 達に本当にいい影響を与えるのでしょうか。 保育所は様々な社会情勢を背景に、生後2ヶ月からの保育を行っていますが、乳児からの保育を、 一般的には「かわいそう」だと受け取られます。しかし、近年の赤ちゃんの研究の進化により、乳児 から社会と触れ合うことは、子どもの正常な発達を促すことがわかってきています。 保育所という乳児からの保育を行う現場から、「乳児からの保育がどのように子どもの発達を促すの か」、「子どもの発達における必要不可欠な環境とは、乳児からの保育でどのように社会性が育まれる のか」、また、近年おおげさに騒がれている「発達障害を抱える子どもたちの発達をも保障できる環境 とは」、それらのことを、私たち現場から、様々な提案をしていきたいと思います。

 他者を「読む」こと・予測すること:その発達の諸相

九州大学人間環境学研究院発達心理学教室

円滑なコミュニケーションを行うためには、他者のちょっとした仕草や表情の変化、あるいは言語 的発話などから、他者の行為の意図や認知環境を適切に推測する能力、すなわち他者のこころを「読 む」ことが必要だと思われる。こうした側面は他者を理解することの中心的な心的活動のひとつでは あるが、一方で、必ずしもそのすべてではないように思われる。では他者理解にはほかにどのような 次元があるだろうか。本ラウンドテーブルでは、意図や認知環境の理解も含みつつ、これに限定され ない他者理解のパースペクティブから行われている発達研究について話題提供を行う。乳児期におい ては社会的認知、とりわけ共同注意の発達に関する知見を、幼児期においては語用論的な観点から実 験的に検討を行った知見を紹介することを通じて、他者を「読む」・「予測する」能力の発達を捉える 枠組みについて議論を行うことを趣旨とする。以下、話題提供の内容について簡単に紹介する(敬称略)。

 ・吉川 雄一郎 (大阪大学大学院工学研究科):共同注意発達のシミュレーションに関する報告をい ただく。私たちが他者と「共同注意が成立している」と感じられる条件とはどのようなものなのだろ うか。観測と行為の間にどのようなフィードバックループを組み込んだ場合に、共同注意を行えると 感じられるエージェントが出来上がるのかを評価することを通じて、乳児の社会的認知の発達を構成 論的に議論していただく。
 ・税田 慶昭 (北九州市立大学文学部):発達障碍児(広汎性発達障碍:PDD)の社会的刺激への注 意バイアスについて報告していただく。社会的刺激への注視行動を測定した研究からは、定型発達児 は7~10 ヶ月時点で社会的刺激への注意バイアスを有していることが明らかになっている。さらに、コ ミュニケーション場面やターンテイキング場面に対する定型発達乳児や幼児の注視や予測反応との比 較を通じて、PDD 児のコミュニケーションに対する認知の特性を議論していただく。
 ・村上 太郎 (九州大学大学院人間環境学府):幼児の指示語の理解方略の発達について報告してい ただく。指示語を用いたコミュニケーションが適切に機能するためには、指示語の受信者が、発信者 の指示意図を適切に把握することが必要であるように思われる。幼児はどのような手がかりをどのよ うに処理しつつ指示対象を同定するのだろうか。実験者と被験者のコミュニケーションがそのまま文 脈を構成する実験場面を設けて、文脈処理の観点から検討を行った。定型発達児だけでなく、発達に 障碍の認められる児のデータを含めて話題提供していただく。
 ・石川 勝彦 (熊本県立大学キャリアセンター):幼児の原因帰属推論の発達に関する知見について 報告していただく。原因帰属研究では、他者の行為の原因を考えるときに、社会的・外的な要因にそ の原因を帰属することが適切であるケースと、そうではなく、行為者本人の欲求や自発性にその原因 を帰属することが適切であるケースがあると想定している。本報告では、複数の人物が社会的相互作 用を生じる場面における行為の原因帰属推論を検討することを通じて、幼児の帰属推論の特徴につい て話題提供していただく。

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