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 3歳児神話を検証するII〜育児の現場から〜

国立精神神経センター精神保健研究所家族地域研究室 室長 菅原 ますみ

資料1
 私たちの研究グループでは、子どもが母親の胎内にいるときから研究をスタートさせ、その後、乳児期、幼児期、児童期、思春期(今一番大きな子は中学3年)と、生後15年間にわたり何回か追跡調査を繰り返しています。私たちの研究のテーマは、子どものパーソナリティの発達と家族の精神的なメンタルヘルスを中心とした家族関係との関係で、かなり広く欲張りな変数をたくさん設定していますが、その中の一つのテーマとして、母親のライフスタイルが子どもの発達、特にパーソナリティの発達にどんな影響を及ぼすのだろうかということに関心を持っていて、母親の就労に関する変数をいくつか設定しています。今日は、私たちのデータで見えてきている、特に子どもが小さかったとき(3歳以前の乳児期)の母親の就労復帰が、その後の子どものパーソナリティ発達を歪めるのかを実証的に検討してみましたので、その結果をご報告します。

 無藤さんのご発表にもありましたが、子どもの発達初期における母親の就労復帰は、子どもの発達の最低条件を損なって将来何か問題を起こし、特に犯罪や非行などの社会的に大きな問題を結実させてしまう一つの要因として関係しているのではないかということは、不安として拭い去れないものがあります。それについての検討なのですが、今日見ていただく私たちの研究は、サンプル数が十分ではない点を予め申し上げておきます。

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資料2
 ちょうど2年前の1999年、アメリカのナショナル・ロンディツードゥナルサーベー・オブ・ユース(National Longitudinal Survey of Youth)という非常に大きな国家規模の子どもの縦断的な研究グループから、子どもが乳児期の母親の早期就労復帰は子どもの問題行動の発達に影響するかを検討した論文が発表されて、アメリカのマスコミを中心に大きな話題を呼びました。それを少しご紹介したいと思います。

 これは大変大きな研究で12600人、しかもランダムサンプリングしているという十分に信頼性に足るものなのですけれども、その12600名の14歳から22歳までの女性たちをサンプルとして登録し、彼女たちから生まれた子どもを12歳まで追跡しています。12歳までのいろいろな時期において、子どもに問題行動が出たかどうかを測定しました。12歳までの追跡が可能だった子どもは2095名と非常に大きなサンプルです。

 エリザベス・ハーヴェイの論文ですが、ハーヴェイたちの研究でもやはり0、1、2、3歳未満の乳児を持つ母親の就労復帰というところをラインに検討しておりましたので、アメリカにも3歳児神話があるのかもしれないと、この論文を見て思ったのですが、そういう早期の就労復帰は、子どもが12歳にいたるまでの結果ですが、後の子どもの問題行動の発達には何ら関係しないということが検証されています。

 この事実が1999年の3月に発表されました。すると、CNNのネットニュースをはじめアメリカのマスコミに大きくとりあげられました。日本でも朝日新聞の海外欄に小さい記事で1999年の3月に出ました。

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資料3
 それでは私たちの研究から具体的なデータをご覧いただきますが、二つのポイントで分析しました。一つはまさに3歳児神話の中核的なところで、0、1、2、3歳未満だったときの母親の就労と14歳までの子どもの問題行動傾向との関連を縦断的に検討します。もう一つは母親の働き方(キャリアパターン)と14歳までの子どもの問題行動傾向との関連について分析します。キャリアパターンについて、多くの日本の女性はM字型曲線という、妊娠や出産を契機にして一度就労を辞め、そして子どもの手が離れたところでまた就労を復帰するという方が多いのですが、「一貫して仕事をしていた人」、「中断してまた復帰をした人」、「一貫して専業主婦だった人」などと、母親の働き方をいくつかのパターンに纏めて分析をしています。

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資料4
 簡単に私たちの研究プロジェクトの概要をご説明します。短期にしろ長期にしろ一つのサンプルを追いかけて追跡研究することを縦断研究(longitudinal study)と呼んでいますが、ある市の市立病院の産婦人科を中心に、妊娠初期の段階で1260名にこの縦断研究に登録していただきました。登録の期間は1984年8月から1986年2月です。これまでに12回調査を繰り返してきていますが、妊娠中に3回、出産後は5日目、1ヶ月目、6ヶ月、12ヶ月、18ヶ月、この辺りまでが乳幼児期で、その後は幼稚園、小学校低学年、小学校高学年、中学生と調査してきています。

 このような長い縦断研究では、サンプルがどんどん少なくなっていくことが一番の悩みですが、私たちの研究でも11年目の小学校高学年の調査時点で、父親、母親、子ども、の三者揃ってデータをとることができたのは313世帯。15年目中学生の調査時点で、同様に三者揃ってデータを取ることができたのは約270世帯、と最初のサンプルから随分減っています。このようなデータを扱うときには、ドロップアウトしてしまった人たちと残っている人たちの特徴が大きくずれていると結果の解釈が歪んでしまうので、学歴・年齢・収入などベースラインになる特徴に差がないかを確かめつつ解析をいたします。その点では、この調査では残った人とドロップアウトした人に大きな差はありませんでしたので、ある程度の代表性は確保されていると思っています。

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資料5
 サンプル数が大変少なくなってしまいましたので、グループわけをすると更に少なくなってしまいますが、まず、最初の解析の目的である3歳未満時(0、1、2歳)の段階で就労をしていたかということで二つのグループを作りました。3歳未満時での就労復帰群は全体の24.7%。3歳未満では未就労の人は75.3%です。鈴木さんのご報告とほとんど同じデータになっていると思いましたが、その早期の就労復帰で二つのグループを作りました。そしてキャリアパターンに関しては、たくさんグループがあるのですが、子どもが10歳になった生後11年目の調査時のグルーピングです。

 1のグループは、大学、高校など最終学歴を卒業後、子どもが生まれてもずっと一貫して常勤職についていた人が全体の12.4%。一つ飛ばして、3のグループは、卒業後、継続してパート職についていた人が4.3%。2と4のグループはいったん専業主婦になったあとに常勤職あるいはパートに復活したグループ、5のグループは継続して専業主婦だった人です。仕事を中断した後に復職したグループの人数は、子ども10歳時点でもっとも多くなっています。

 問題となります子どもの発達変数です。児童・思春期の問題行動ということで、今日の発表では2つご報告します。

 一つ目はChild Behavior Check Listという子どもの精神症状と問題行動を測定するための包括的な調査票ですが、これはすでに20数ヶ国語に翻訳されておりまして、児童精神医学、小児科学、発達心理学の間で、子どものさまざまな心理的、精神的な問題を測定する定番の尺度です。私たちが今回これを用いたのは、やはり結果を少しでもインターナショナルなところと比較可能にしたいという思いがございました。そういう意味では先ほど最初にお話しました、ハーヴェイらが使っている尺度とも非常に近い尺度です。この尺度を8歳と14歳、10歳のときに実施しました。ここでは、そのChild Behavior Check Listで測定できるものの中でも、Externalizing problems(注意が散漫で攻撃的で、反社会的な困った行動をしてしまう)があるかどうかをみるものです。もう一つの尺度(Birelson、1981の子どもの仰うつ自己評価尺度)、変数としましては、子どもの抑うつ(Depression)の程度も10歳と14歳のときに測定していますので、それについても少し触れたいと思います。

 繰り返しになりますが、このChild Behavior Check Listに関連して一つ申し上げておきたいのは、子どもの問題が非常に多様であるということに私たちはもっと注意を払っていかなければならないと考えていることです。子どもの問題は大きく2つに分類できることが知られています。一つは今日触れますExternalizing problems。簡単に言いますと、非常に衝動エネルギーが強く、しかもそのコントロールが上手ではない、ですからカッとするとすぐキレてしまい、人に対して攻撃的な行動が衝動的に出てしまう、あるいは好奇心がすごく旺盛でその注意の制御をうまくできずにあちこちふらふらしてしまう等、そういう注意欠陥、攻撃的反社会的な行動傾向です。今大きく社会的に問題となっております行為障害(Conduct Disorder)、大変重篤な場合は殺人や様々な犯罪を犯したケースとなるわけですが、そのような広義の子どもの精神疾患は、このExternalizing problemsの中の重症化した状態と考えていただければ結構です。もう一つは、今度は問題が自分の中に結実してしまうものです。衝動エネルギーはそれほど強くなくても、コントロールがききすぎて、引きこもってしまったり、不安になったり心身症的な行動が出てくるものです。また、さらにこれらに下位分類がたくさんあるのですが、それぞれの問題について母親の就労がどのように影響しているのかを細かくきちんと検討していかなければならない課題であると考えております。

 そのExternalizing problems(衝動エネルギーが強くてコントロールが下手で割と回りに迷惑がかかりがちな問題行動)ですが、具体的な項目内容も見ていただきますと、騒がしい子どもはもちろんみんな騒がしいけれども、その程度が非常に重いと考えていただければ結構です。問題行動としてカテゴライズ(分類)していくときには、程度が重いと考えてください。騒がしい、ののしる、いやらしい言葉を使う、気分がすぐ変わってけんかする、そのような項目が具体的な内容で、Externalizing problemsの問題行動傾向が強い子どもは、どれもこれもがたくさんあるということになります。反対にほとんどない子どもというのもいるわけです。

 このExternalizingな問題行動というのは、先ほども申し上げましたように犯罪や非行と結びつく可能性がありますので、諸外国でも特にアメリカを中心としてそれなりの先行研究があります。日本ではまだまだ研究が少ないところですが、これまでの欧米での先行研究から、このような問題行動は、子どもが小さい時からそういう行動の萌芽的な形態を出現させていて、その歴史が長く続いて思春期以降になると直すのが難しい場合も少なくないことが知られています。いろいろな知見が蓄積されていますが、私たちの研究でも、なるべく小さい段階からこうしたExternalizingな問題行動傾向を測定したいと思いまして、生後6ヶ月、1歳半、生後5年という乳幼児期でもこの萌芽的な形態について測定をしています。乳幼児期での表現形はもちろん中学生の表現とは違います。でも、乳幼児なりに衝動が強くコントロールが下手であるという、そして注意散漫であるというような特徴を測定していったわけです。

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資料6
 最初のリサーチ・クエスチョンとして、3歳未満の段階で母親が就労したかどうかで、いまお話したような「キレる系」の問題行動が本当に発達するかを検討しました。生後6ヵ月、18ヶ月、5歳、8歳、10歳、14歳は、この6つ時点で、小さいうちはその萌芽的な形態、8歳からはChild Behavior Check Listを実施して、その問題行動傾向をそれぞれの時期で3才未満での就労復帰群と非復帰群で比較しました。すると、生後6ヶ月の時点では、就労復帰群、早期に就労復帰したグループでは12.4%、非復帰群では13.36%でした。有意水準(その差を普遍化できるかの統計的な確かめ)でいいますと、多少差はついておりますが、大きな差ではなく、+が1.72とついていますが、これは大きな差ではなく、ややその傾向が見られる、すなわち生後6ヶ月の時点では就労復帰したグループの方が、そういう衝動コントロールのところでの問題行動はより低いレベルにあるという傾向がうかがえました。

 次の1歳半と5歳の時点では、ここに*が一つついていますけど、これも大きな差ではありませんが、統計的に有意なレベルとして就労に復帰したグループの子どもの方がよりExternalizingな問題傾向が低いという意外な結果が得られました。実は私も二人子どもがいまして、産休あけから子どもを二人とも保育園に預けて働いていましたので、この解析をするときには手が震えました。もしも世間一般や私も不安に思っているとおり、Externalizing Problems傾向が高く出たらどうしよう、と非常に怖かった思いが今でも蘇ってくるのですが、意外なことにその乳幼児期の段階では、就労を復帰したグループのほうがより低い、より衝動のコントロールというところでは問題行動を示す傾向が低かったという結果が得られました。その後、8歳、10歳、14歳、就学後ではまったく有意差はありませんでした。

 もう一つの抑うつ傾向についてです。小学生でもうつ病になりますが、抑うつ傾向も私たちは子どもの精神的な健康ということで重視して研究テーマにしています。この抑うつ傾向でも、子どもが小さいときに母親が就労復帰したグループと非復帰群では差がない、つまり母親が早期就労復帰したとしても、大きくなって精神的に落ち込みやすいということはないことがわかりました。

 以上のように子どもが3歳以前での母親の就労復帰が、「キレる系」の問題行動や仰うつ傾向の発達を積極的に進めるということはありませんし、むしろ「キレる系」の問題行動では小さい段階では不思議なことにそれは緩和するような方向に作用している様相が示唆されたわけです。

 これは補足的なデータで本筋ではないのですが、私たちの研究では子どもに対する愛着感についても赤ちゃんのときからずっと中学生になるまで質問調査をしています。子どもに対する愛情に関するデータを見ても、生後1ヶ月でも18ヶ月でも5歳でも10歳でも、就労に復帰したグループと復帰しなかったグループの母親とでは差がありませんでした。この調査は母親自身からの証言をもとにしたものですが、その裏をとるために、子どもから見た母親の就労はどうかということも私たちは聞いています。

 ここでデータに示しましたのは、母子関係の良好さです。母親が早期に就労復帰したグループと、そうでなかったグループを比較しても、10歳時点での母子関係の良好さには差がありませんでした。もう一つ、父親から見た母親の養育態度も評定していますが、それも前述の二つのグループで差がありませんでした。つまり、子どもに問題がでなかったということと同時に、親子関係の大まかなところでも子どもから見ても、父親が評価してみても特に影響がないことを確認しました。

 少し複雑になりますが、キャリアパターンと子どもの問題行動の発達との関連についてもご報告します。

 先の表と同様に、数字で表されているのはExternalizingな問題行動傾向の子どもの発達段階のそれぞれでの得点です。もし本当に3歳児神話が正しければ、継続して常勤職にある1のグループこそ、どんどん子どもが悪くなっていかなければならないですね。この継続常勤群と専用主婦群の因果関係をみると、母親が仕事に出たために、その後子どもの問題行動が発達したというよりも、子どもの問題行動が先行していて、その後お母さんが働きはじめたという歴史がここから見えてくるわけです。

 全てを括ることはできないのですが、他のグループに比較して夫婦関係が希薄であったり、子どもに問題があるなど、家庭内に不適応が先行してあって、母親たちが活路を見出して働きに出るのですが、いろいろな体制が取れていなかったり仕事上でも大変だったりということが、子どもの問題行動を軽減するよりはむしろどんどん深まっていくような悪循環を繰り返している可能性があります。しかし、少なくとも一貫して仕事を続けていたグループと一貫して専業主婦だったグループの子どもの問題行動は、途中から働き始めたグループよりも低いことがこのデータでみえてきたわけです。

 この点はもう少し詰めて考えなくてはいけませんが、子どもが大きくなった時点で母親が働いているかいないかだけで聞いてみますと、一貫して就労しているグループと中断したけれど復帰したグループの結果が一緒になりますから、子どもの問行動のレベルが結果として高く出る可能性もありますので、どういうスタイルで母親が就労していたかを少し詳しく見ていく必要があると思っています。

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資料7
 まとめです。3歳未満での母親の就労は、日本のサンプルについて見ても児童期、思春期の問題行動や親子関係の良好さとは関連しないことが一つ明らかになりました。さらに乳幼児期についてはむしろ問題行動の発達を抑制する効果を持つ可能性が示唆されました。後半についてはどうしてなのかをこれから探っていきたいと思っていますが、母親の精神的な安定性について考えてみると、ワーキングマザーは心身ともに疲れ果ててはいますが、子育てのストレスに関しては専業主婦よりも低いという統計が一般によく見られます。母親の精神的な安定性や子どもがより早いうちから広い対人ネットワークの中で育つことの意味など、いろいろな子育てに関する媒介変数を具体的に追求していくことが今後の課題だろうと思います。

 母親のキャリアパターンとの関連では、一貫して母親が就労している場合には子どもの問題行動のレベルはどの時期でも低かった、一方で妊娠・出産で退職したグループ、出産後就労復帰したグループ(復帰時期は中断後常勤群平均3.68才、中断後パート群で平均6.71才)では子どものExternalizing Problems傾向の高さが先行していく可能性が示されましたが、この点について今後もう少し詳しく考えていきたいと思います。

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資料8
 この赤ちゃん学会で多くの報告がなされたように、わたくしも研究上のサンプルの子どもたちを生まれる前、新生児のときから見ていますので、赤ちゃん時代の発達の大切さと特異性については個人的にも非常に実感するところです。質、量共に本当に大きな成長発達をする時期であると同時に、対人関係をはじめとする赤ちゃん自身の社会経験の最初のパターンが作られるという意味で、環境整備は絶対的に重要だと思います。子どもの側から見て環境というのを考えていく重要性はとても大事だと思っています。しかし、問題は赤ちゃんの成長発達にとって必要な環境とは具体的に何なのか、それを明らかにしていくこと、いつ誰がどのようにそれを保証いくのかという具体的なことを考えていくことが、とても重要です。その意味で3歳児神話は一つの重要な発想ですけれども、そういう発想をこえてトータルな視点での環境整備を考えていくことも重要と思います。

 赤ちゃん自身にとって何が必要か。現在の日本の家庭でさまざまな社会的な制約がありますが、それはどこまで供給可能か、ある意味では供給不可能なラインがたくさん明らかにされてきていると思いますが、そうであれば、その供給不可能な個所を行政が具体的にどうサポートしていけばいいのかを、科学的なエビデンスを元に冷静な検討がされるということと、そもそも子どもはやはり社会全体で育てるという養育の公的な性格に対する社会的なコンセンサスが早くできることが必要ではないかと考えております。

以上です。ありがとうございました。

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<質疑応答>
----私は、小児科医です。ここでの先生がたのお話は、お母さんの立場の話で、子どもの立場が弱いような感じがしました。最近、働くお母さんに大変ショッキングなデータをアメリカ政府が委託して行った乳幼児調査から出ています。菅原先生のデータとも関係すると思うのですが、長時間の保育、保育所、3ヶ月から4歳半までの乳幼児を長時間保育した結果、4歳以降に乱暴で反抗的な行動が見られるというものです。その原因には、母親が育児と仕事のバランスがうまく取れず、子どもにストレスがかかってしまうからのようです。子どもにストレスが加わることは一般に子どもの発達によい影響は与えません。今の、キレる子とか校内暴力とか学級崩壊などを、子どもの立場にたって、この問題について話を聞きたいのですがいかがでしょうか?

菅原――発表の中でも少し触れましたけれどもそうした子どもの乱暴なExternalizing Problemsと概念化しておりますけれども、そういう問題傾向というのはある程度、かなり小さな段階から萌芽的な形態見られます。申し訳ございませんが、ご提示いただいた研究結果は詳しく知りませんので、いつからその研究がスタートしたかということによっては更に因果関係を詰めていきますと、最初にその問題があった可能性も一つは否定できないと思います。

 しかし、おっしゃるようにそういう萌芽的な形態があったとして、そして更に長時間保育のストレスがかかって冗長されるということはあるかもしれませんが、母親の就労による長時間保育によって、もともと持っていなかったものが生まれたのかどうかは科学的にきちんと見ていかなくてはならないと思います。

 私が解析したのは、母親の就労の有無という非常に大きなところですけれども、実はハーヴェイらの研究でも保育時間の長さについて少し関連が見られていました。やはり長すぎる保育時間は、ご指摘のとおり子どもにストレスがかかりますので、何もなくてもストレスがかかるところに更にそういう萌芽的な形態を持った子どもにもっとストレスがかかってそれが磨かれていく可能性がありますので、その保育の内容とともに時間の問題を含めて丁寧に検討されなければならないと思いますし、自分の研究でもそうしていきたいと思っております。

----編集職についています。菅原先生の調査において、就労する親の経済状況はパートのところでお話がありましたけれども、例えばこれがアメリカの調査でしたら、これがホワイトカラーで二人が働くことで非常に高収入を得ている夫婦とそれから働かざるを得ないブルーカラーというように分けるでしょうし、そういう経済的な要因というのは先生の場合どういう風に考えられていますか?

菅原――はい。収入もその時々に聞いていますので収入との関係も見ておりますけれども、私たちのデータの範囲では、その収入と今の当該のExternalizing問題傾向との間には関連はみられませんでしたので、少しアメリカと日本の違いがあるのかもしれません。



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