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ウェアラブル日記

y ぴゃんこ

1998年9月5日(金曜日)


今日は、フジタのサンケンさんにうかがい、ウェアラブルについての意見交換を行いました。

今回、PCなどの機器をどうやって身につけ、肌着のように自然に持ち歩けるかという実験を行っている。(もちろん、今はたいへんですが。。。将来には、そんな時代がくるんじゃないかなぁっと思っています。)そして、いまプロトタイプのバージョン2までできている。しかし、これまでは、どんどん思い付く物を思いつくままにつけたしてきただけであり、そろそろ次のバージョンを考えるために新しいコンセプト
を考えなければならない。

それには二つある。まずは「何をやるか
」を考えることである。そして二つ目は「分散をどうやるか」である。

今のプロトタイプはフル装備
の状態である。これを一般の人が、みんな欲しいかといえばそうではない。人によって何をやりたいかという目的は違う。その目的に合わせた機械の組み合わせというものを考えなければならない。また、今の実験は私だけが単独でやっていて、他とのコミュニケーションをやっていない。これからのウェアラブルを考えるうえで、すべての人がこういったものを見つけて外出するような世界のことまで考える必要があるだろう。その時には、現在のPCがInternetにつながり、現在のように発展していったように、私たちの体についている電脳も他の人の電脳とコミュニケーションを取り合うようになるはずである。また、そういった時代には、建物や道路など、空間そのものが現在とは全く違ったものになるであろう。

そこで、ウェアラブルの研究が次の段階に入るに当たり、まず、複数間のコミュニケーション
を実験していきたい。その際には、私が現在やっているようなフル装備の状態の人を複数作ることから始めるのではなく、まずはシンプルな状態から「何が必要なものなのか」を実際に生活してみることによって考えていく。だから、最初はPHSぐらいを持ち歩いているだけである。まあ、これは、現在では、ほとんどできあがった状態である。だから、その上に「コレが欲しい」とか「これがないと困る」といったものをつけ足していくのである。その実験をする時には、まずは、普段はPHSぐらいしか使ってない人を何人か集めて実験に参加してもらい、一方では、フル装備を経験した私がいったんそれらを外してみて、「いったい何が必要なのか」を考える。ウェアラブルの感覚を知らない人と知っている人の両方の視点から考え、それぞれの意見を近づいていく必要がある。

次のような話を聞きました。昔と比べると、「待ち合わせ」が変わってきている。昔は待ち合わせをするのに、「場所
」「時間」は絶対に前もって打ち合わせをしておくものであった。しかし今ではそういったことを厳密に前もって決めるということが少なくなってきている。それは携帯電話が普及したことにより、それを使ってその場でコミュニケーションをしながら落ち合えばいいからである。(最近の中高生は、ケイタイのせいで待ち合わせ時間にルーズになったという話もある。また、彼らは、目立つもののある場所ではなく、電波の入る場所で待ち合わせをするのである。)
しかし、そんな中で勘違いが起こることがある。例えば、三越前といっても違う三越の前で待ち合わせても会うことはできない。当たり前のことだが、そういったことが現実に起こるのである。それは、そのコミュニケーションが携帯電話という音声のみで行われているからである。しかしウェアラブルになれば音の他に画像
位置情報使ってコミュニケーションすることが可能である。言葉だけでやっていたコミュニケーションとは次元が上がったコミュニケーションが可能になる。そうすれば、待ち合わせといったものが、変わっていくかもしれない。言葉そのものがいらなくなるかもしれない。思い付いたときに近くにいるからということであったりするような待ち合わせもあるのかもしれない。これは、待ち合わせに限ったことではなく、生活そのものが変わっていくということは間違いないことである。


体に端末をつけ足していくという実験は、今のバージョンで、ほぼ限界だと思う。だから、次は新しいコンセプトでやっていく。

今スグ、変えられそうなところは電源の問題や音の問題である。その部分の改良はこれからも進めていきたい。また、この実験をやってみて分かったことがいろいろある。実はナビゲーションをつけて歩いても都心部では全然、GPSの電波がこないので役に立たないとか、あまりにも縮尺の小さい地図は、歩いているくらいだから見回せばすむのでいらないとか、反対に日本全図があっても大きすぎて困ると言ったことなども分かった。そういった細かいことは、これからもどんどん改良を加えていきたいと思う。

また、私の格好自体がアーミー服
のようになってしまい(今、アーミー系の服が流行っているので、まだましなのであるが。。)、他の人から見て威圧感があるとか体にわるそうに見えるのはやはり良くない。デザインの面も、これから改良していかなければいけない点である。

さしあたっては、ターゲットとして、「街の中での利用」、「地方の農村での利用」、「学校の中での利用」、「病院の中での利用」、「業務の中での利用」などを研究していきたい。特に、私自身は、街の中での利用に興味がある。これは準備ができ次第すぐにでも初めてみたい。また、学校や病院でも利用できるかどうかは協力していただける所があればぜひ実験してみたい。

また一方で、そういったことをやる上でどういったインフラ
が必要になってくるかという視点も加えていきたい。そして、この着る電脳がネットワークにつながることによって、多くの新しいことができると思うが、それをリアルタイムでカバーし、サポートするサーバー的なシステムがどうあるべきかなどについても考慮していきたい。次の段階ではそういった新しい視点も加えて、ウェアラブルといったことを考えていこうと思う。












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