自分を豊かに表現することについて、このコンセプトブックの筆者たちが話し合いました。
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美 弥:
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表現が豊かになることのひとつの大きな意味は、自分の考えたことや感じたことを目に見えるかたちにすることですね。このプロセスで自分自身の新たな面を発見することができるようになるのです。
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ヒレル:
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それは本当に大事なことですね。ある作家は「私がものを書くのは、自分の考えていることをみつけるためだ」と言っています。すべてを自分の中に封じ込めていたままでは、成長し、発達するための変化は望めません。同じものを付け加え続けるだけです。
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リアン:
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人々が内なる自己を表現することによって、素晴らしいものがたくさん生まれてきました。それらは、あらゆる種類のすばらしい芸術です。
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信 行:
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何だって表現になり得るのです−デザインも、メディアをつくることも、ダンスや歌だって自己表現の手段です。
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美 弥:
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でもそうはいっても、誰もが楽々と自分をさらけ出せるわけではありません。私たちを縛っているものを越えて、お互いにどのように手を差し伸べ合うことができるでしょうか?
ここが自分を表現しやすくなるための最初の大きなステップだと思います。
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ヒレル:
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お互いにサポートし合えるようになれば、自分を表すことにも自信がもてるようになるでしょう。他の人が自分の考えていることに耳を傾け、関心を示してくれれば、他人と考えを共有することも楽しくなります。
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義 郎:
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まずはリラックスして、お互いの間をつなぐ「相乗作用」を感じとりましょう。そうすれば、自分たちが最も楽しく感じられる表現方法が見えてきますし、他の人の自己表現も心から耳を傾けられるようになります。
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リアン:
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あらゆる自己表現の方法を尊重し、その価値を認めることができれば、学校は現在とは全く異なる場所になるでしょうね。マルチメディアとはマルチ、つまり様々な表現という意味なのです。
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義 郎:
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相手がだれであろうと特定の表現方法を強制しないように気をつける必要があります。世の中にはことばを使うことを好む人もいれば、描くことを好む人もいます。さらには音楽を好む人、あるいは……という具合に、私たちは声に表された表現に対してだけでなく、沈黙に対しても耳を傾ける必要があります。そうすれば、自分自身の中や自分のおかれた状況の中に喜びを見出すことができますし、また他の人が喜びを見出す手助けをすることもできます。
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