第9号は法政大学の稲増龍夫氏の監修による「消費社会と子ども」だ。子どもは学校と家庭と地域の存在として語られてきたが、現代のような成熟消費社会では、まずマーケットの存在として語られなければならない。子どもたちの深層心理にもっとも大きな影響を与えているのは、先生や親よりも、テレビタレントであり、アニメの主人公である。子どもたちの欲望は、いかに魅力的な商品を消費するか、いかに魅力的なメディアと接触するか、いかに魅力的なイベントに参加するかに向けられ、すべてのものはカタログ的なまなざしで眺められる。それは子どもたちのお小遣いの額が増えたためにぜいたくをするようになったなどという、単純な教育的まなざしをはね飛ばす欲望の構造上の変化だ。 |