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子どもたちの震災復興

 第10号の特集は東京大学医学部の中村安秀氏の監修による「子どもたちの震災復興」。1995年1月17日午前5時46分、阪神地区および淡路島を襲ったマグニチュード7.2の大地震は、瞬時にして多くの人命を奪い、街の機能に壊滅的なダメージを与えた。多くの子どもたちも震災に巻き込まれ、命を奪われたり、怪我をしたり、親を亡くしたり、友達を亡くしたりという被災にあった。特集を組んだ時点では、まだまだ震災の傷も生々しく、子どもたちの被害がどんなものであったかを確定するよりも、被害に遭った子どもたちへの対応こそが求められていた。とくに地震で親や家族を亡くした子どもたちについては時期尚早と判断し、本特集ではあえて触れなかった。

 今回の震災を通じて誰もが感じたのは、地域の連帯感であり、小さな共同体の力強さである。大きな機関、万全な組織というものは、予想される範囲内の出来事には力を発揮するが、予想もしない緊急時の出来事にはほとんど無力になる。とくに今回は学校が緊急の避難所となり、学校を通じてのネットワーク、つまり子どもを核としたつながりが被災者の拠点となった。国よりも小さく、県よりも小さく、市よりも小さな学校のつながり、自治という言葉を持ち出すまでもなく、日常を生きる場を大切にすることこそが、震災から得られた教訓なのかもしれない。

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