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現代っ子は健康か不健康か?

山中龍宏×庄司順一×塚原 富 司会:加藤忠明


子どもは不健康と言われがち
加藤: きょうはお忙しい中を座談会に出席していただいてどうもありがとうございます。「現代っ子は健康か不健康か?」ということでお話をうかがえればと思います。
 一般的に子どもの死亡率はうんと減っていますし、いろいろなこわい病気が少なくなっているので、その意味では子どもたちは健康と言えると思います。
 しかし、例えばWHOの健康の定義ですと、「健康とは、身体的、精神的および社会的に完全に良好な状態であって、単に疾病がないとか虚弱でないというだけではない」ということになっています。その定義に従うと、ほとんどの子どもたちは不健康だともとらえられます。
 今回のテーマはさまざまな言い方が可能で、明確にはお答えにくいとは思いますが、まずそれぞれの先生に大まかな見解をお話しいただければと思います。
山中: 確かにマスコミでは「最近の子どもは不健康だ」と言うんですが、私自身はあまり不健康だとは思っていないんですね。
 私は小児科の臨床医ですので、主に体のことを見ているんですけれども、医学的にと言いますか、体について言えば、今は非常に健康な状態なんです。
 命を長らえる、命を助けるというのが医学の基本だとすると、死亡率は今、非常に低くなっているんですね。とりわけ日本の乳児、生まれて1年間の子どもたちの死亡率は、世界一低くなっている。もう生まれた赤ちゃんはほとんど死なないと言ってもいいぐらいですね。
 食料品もたくさんあって、栄養状態も改善しましたし、それから衛生環境もよく、上下水道も完備されました。予防注射もできましたし、抗生物質ができていろいろな細菌も制覇することができました。新しい医療技術によって、今までだったら入院しなければいけない病気にかかっても、現在では学校へ行きながら、注射をしながら、普通の生活をしている子もたくさんいるわけです。そういう意味で言うと、今は昔に比べれば健康状態はよほどいい。
 それでは、なぜ現代っ子は不健康と言われるかと言うと、どこからそういう議論が発生してくるのかわからないんですけれども、私自身が考えているのは、やはり、大人が自分の子ども時代を振り返って、頭の中で比較をして、それと合わないと否定的になるということではないかと思います。今の子どもたちも、大人になれば、ひょっとすると、やっぱり自分たちの子どもを見て「不健康だ」と言うかもしれません。
 私は健康とは何かを十分理解した上で、どの部分が不健康なのかをはっきりさせたいので、現代っ子イコール不健康という考えは、あまりにも短絡的ではないかと思っています。
庄司: 2分法で健康か不健康かを話すのは、なかなか難しいと思うんですけれども、大ざっぱに考えれば、そんなに不健康、不健康と言うほど、子どもが不健康なのかという感じはします。
 ただ、では気になることが全然ないかと言うと、もちろんそうではなくて、例えば、外遊びが少ないのではないかと思うし、それから塾で夜9時過ぎぐらいまで勉強するというのは、あまり健康な環境ではないなと思います。
 つまり、子どもが不健康なのではなくて、不健康な環境に子どもが置かれているということなのではないか。本日の議論はそこら辺がポイントになるような気がします。
塚原: 私は保育現場での話をお聞きいただこうと思うんです。東京・板橋の高島平で私どもが受けいれている子どもは団地住まいという環境から陽に当たることが少ないと思われているのですが、126名を観察しますと、一言で言うならば健康であると言うことができるのではないでしょうか。子どもたちはよく遊びますし、それから泣きますし、怒りますし、子ども特有の行動を示していて、体の面では健康ではないかと思います。
 ただ、精神的な面では、問題があるように思われます。それが何に原因するかというと、親が子どもに接するとき、言うなりになるという甘やかしにあると思うのです。保育園で私は22年間子どもと接していますが、22年前の子どもたちと今の子どもでは、やはり親のしつけが違っている面があるのではないかと思います。今の子どもの方が我慢強さというような精神面が弱くなっているような気がします。
加藤: 先生方のお話を聞いていると、現代っ子は身体的な面では健康だろうということですが、実際に、小児科の外来でアレルギーの病気が増えていることは事実だろうと思いますが……。
山中: 私も別に現代っ子がすべて健康でいい状態と言うつもりは毛頭ありません。実際、気管支ぜんそくなどに見られるように、アレルギー疾患の子どもは増えているわけですから。けれども、不健康と言う場合には、やはりその実態を、感じではなくて何か測定できるものできちっとした統計処理をして証明する。それがない限りは、直観的な判断をそう簡単に現代っ子の健康状態に結びつけるのは危険ではないかと思っています。
 また、その一方で、ある数値を出すと、その数値よりちょっとでも外れるとすぐ病気だと騒ぐこともありますね。例えば、コレステロールの値は上限を220mg/dlと決めると、221だと「これは大変だ。病院に行け」、219だと「いい」と言う。全体像を見ないで、数値だけに踊らされる。医療技術が進み、人々も医学に関する知識をいろいろ学んできたけれども、逆に言うと、あまりにも数値だけに注目したために、かえって不健康といいますか、心配症になる。そんなところも気になりますね。


心の健康にもベースラインを
加藤: 身体面とは違って、精神面では気になることがあるというお話もありましたが、次に、子どもの心の病気について考えていきたいと思います。
 心の病気が本当に増えているのかどうか。私たち医者のほうから見ると、やはり心身症などは増えているんじゃないかと思いますが、実際に心理相談をされている庄司先生、いかがでしょうか。
庄司: その前に、「心の病」という言葉があるけれども、こういった言葉を安易に使っていいのかどうかですよね。「心の病」と言っても心身症とかいじめとか登校拒否のことを言っているんだと思うんですが、子どもは人間関係や生活体験が、もろに心理面の健康に影響してくるわけで、それをはたして病気と言ってしまっていいのかどうか……。
 私は相談所に来た人だけしか見てませんので、世の中で心身症が増えているのかどうかというのは本当はわからないんです。ただ沖縄の離島の乳幼児健康診査に10年前に参加した経験から、こんなことを思っています。
 その健診自体はもう20年ぐらい続いているんですけれども、初期の頃は、とびひなど皮膚の問題が多かったり、体の発育があまりよくなくて、沖縄は独自の成長曲線をつくらなきゃいけないかなということが話題になったりということがありました。つまり、体の病気や発育に関する問題が多かったようです。
 しかし、この10年間に、いわゆる心身症というのか、チックですとか、吃音や緘黙、それから登園拒否のような、都会で出会うことの多い症状が沖縄でも増えたという感じがしますね。
 そして、そのような心身症的な相談の増加と、沖縄が少子化傾向にあることや(10年ほど前は、5、6人子どもを産む人も少なくなかったように感じたものです。)団地で生活する人が増えてきたことと、時期的に一致しているなという感じがします。
 そういうことから、都会化することと心身症との間にはなんらかの関係があるのかなとは思います。ただし、それは、心の病気が増えてきたというよりも、むしろその子を取り巻く家庭とか社会のありようが変わってきたことが、子どもに反映しているということだと思います。
山中: 質問ですけれども、個人のレベルでは確かに病気はあると思うんですけれども、集団で見て初めて増えてきたかどうかということが言えると思うんです。ベースラインとしての、健康と思われている子どもたちの心理状態をチェックしたデータは、何かあるんでしょうか。チェックと言いましょうか、比較する場合には、どこかにベースラインが必要ですよね。例えば20年前の心理的に健康な状態とか、今の健康な状態とか、何か指標がないと比較しにくいと思うんですけれども、そういうものはあるんですか。
山中龍宏氏
庄司: どうでしょうか。ないのではないでしょうか。今回の座談会で難しいなあと思ったのは、「現代っ子」と、昔の子どもを時代的に比較する話ですね。心理的な問題では20年前の状況についてはしっかりした資料は少なく、印象しかないわけですからね。
山中: 身体の医学のほうでは、身長も、体重も、体力も測定値があるから比較できるんですけれども、心理的なことは、そういう意味では非常に難しいですよね。
庄司: それから、心の問題をもつと言われる子どもが増えているのか、それとも問題の現れ方が変化しているのかということもあるわけです。一時、心因性の視力障害が話題になりましたけど、ああいったものも、増えているという話もあるんですが、トータルにはあまり変わらなくて、問題にされやすさの順位が変わっているということもあるのかもしれない。
加藤: 沖縄の健診には私も10年前に行きましたけれども、確かにあんまり心理的な相談はありませんでしたね。親子がそこでうまく生活できていれば、外から見て「あなたは心の病気ですよ」とは言わない方がいいわけで、ベースライン自体も、ある程度時代で変わっていくだろうと思いますね。心理的な問題の場合、親自身が悩んだら、初めて相談に乗るというスタンスが大切だと私は思っています。
庄司: そうですね。それに、相談に来るケースが増えているのか、それとも実数が増えているのかという点の判断も、難しいですね。よく、幼児虐待が増えていると言われますね。相談ケースは明らかに増えているんです。だけど、確かめようがないということもありますが、はっきり実数が増えているという証拠はないんです。むしろ、お母さんが子どもとうまくいかないと思うことを表現できるようになったということなのかもしれない。
庄司順一氏


親が楽な子育てに走っている?
加藤: 塚原先生の方から、家庭環境、しつけの問題が出ていましたが、もう少し詳しくお話しいただけますか。
塚原: 私の園の保母たちと話していると、話題になるのが、最近の子は小柄だとか、最近の子は昔に比べて幼い行動が多いということなんですね。非常に甘えんぼの子どもがいるということですね。先ほどから、先生方から印象で語ってはいけないという話が出ていて恐縮なんですが、どうも昔のようなたくましい子どもたちがいなくなってしまったような気がしてしようがないんですね。
 例えば、最近ごろごろと寝てしまう子どもが増えた。何かすると、もうひっくり返ってしまって、ひっくり返った後はごろごろ寝てて、なかなか自分で起き上がるということをしない。手を差しのべると、いやいやながら起きてくる。ゴローンと寝たらだれかが助けてくれる、ウエーンて泣いたらお母さんのように来てくれると思い込んでいるんです。思い通りにならないと、起こしてくれるまでそのままの状態でいるのです。こういう子どもに対してはいつも手を差しのべるべきなのか、しばらくほっといて、自分で立つまで待とうか、という話し合いをしているところなんです。

塚原 富氏
庄司: まず、なぜその子はそういうことをするんだろうかということを考える必要があると思うんですね。先生のところでは、それは「家庭で甘やかしたからだ」という仮説があるわけですよね。
塚原: ええ。親が甘やかしている可能性が高いと思います。
庄司: ただ、どう対応するかということについては、私は子どもが求めてきたときには、年齢に関係なくそれに応えてあげていいと思う。むしろ、どっちかというと、突き放される経験をもつよりは、甘えたい気持を受け入れるほうがずっといいと思います。
塚原: 甘えを増長させるのではなく、ある程度のけじめが必要とは考えられませんか。
庄司: 甘えが増長してもいいんじゃないでしょうか(笑)。
塚原: ああ、そうですか。
庄司: もちろん、実際にはお母さんと話したり、家での様子を聞いたりして、「こういうふうにしたらどう?」と助言することはあると思いますし、子どもがガマンすることを体験するのも大事だと思います。しかし、一般論でいえば、子どもが求めてきたときには、それに応えてあげていい。原則的にはそう思いますね。
塚原: 母親がかわいいからその子を甘やかしてしまうというのならわかるんですが、安易な育て方、楽な育て方を選んでいるのではないかという気もするんですね。
 例えば、私の園で毎年度末、3月になりますと、1年間の健康調査、それも栄養面での調査をするんですが、栄養士が1つのデータを出してまとめてくれました。
 この栄養士が全体的なアンケートの中から拾い上げたことは、子どもたちの間に偏食が多いということ、そしてこの偏食は家庭での献立が偏っていることに原因があるのではないかということです。
 食品を考えたときに、栄養的な面では、1日に何種類の食品を食べるようにということが言われておりますね。園ではそれを実行しているんですけれども、家庭ではそれができていないんですね。
山中: たぶん栄養士さんが言うのは、食事はやっぱり手づくりがいいというようなことでしょうが、最近は、栄養を考えたものもいろいろありますし、働いている女性も増えている時代ですから、手づくりだけがいいという言い方をするのはあまり合理的じゃないと思うんです。手づくりがすべていいかというと、そんなに上手でないお母さんもいるだろうし、レトルト食品をうまく組み合わせたっていい時代ではないかと思うんですけれどもね。
 それに、実際にできないわけでしょう? お勤めを持っていると。
塚原: そうですね。しかし、今は土曜日も休みが多くなりましたでしょ? そうしますと、もう少し親の手づくりのものが出てきてもいいのではないかと思うんですね。でも、「スーパーの食堂に行って食べてきた」「コンビニで食べた」という言葉が、結構子どもから出るんですね。
 そして、私どもが、子どもがふだんあまり食べていない手づくりふうのものを出しますと、ごそっと残るんです。なぜ残るかといったら、食べ慣れないからです。どっちかというと、コンビニエンスストアとか、そういうところで買ったものに似たものが出るとよく食べるという傾向はございます。
加藤: ただ、子どもの頃にファーストフードで育った若いお母さんというのは、子育てのときに比較的不安が少ないんですよね。結局、自分が小さい頃からそこら辺で買ったもので育っていて、それでいいという印象があるから、偉い先生が「手づくりがいいですよ」と言ったって、聞く耳をもたないし、その方がかえって育児不安が少ない。ですから、あんまり手づくり手づくりとか、心の点が問題だとか言うのは、私もちょっと引っかかるんです。むしろ、お母さんたちの育児不安を軽減するような方向で考える方がいいのではないでしょうか。
加藤忠明氏
塚原: 20年前と比べれば、今は高学歴の母親が増えていますから、衛生的にまずいことをしているので指導しなければなどということはなくなりました。非常に合理的で賢いお母さん方が増えました。しかし、子どもが自分でやる気をもってしようとしているのに先にやってしまうなど本当に子どもさんのことを考えておられるのかなという点が、私などはどうしても気になります。


心身よりも環境が病んでいる
加藤: 個々のケースではいろいろ問題がある例もあると思いますが、最後に子どもの健康管理をどうしたらいいかというところで少しお話をうかがえればと思います。
山中: 今の子が健康か不健康かと言われたときに、不健康というのは子どもが不健康なのではなくて社会が子どもに不健康な状況をつくっているのではないか、そういうことがたくさんあるだろうと思うんですね。
 例えば、たばこはいろいろなデータからすると決していいことはないわけですよね。もちろん子どもによくないし、妊婦さんが吸えば赤ちゃんは小さくなりますし、流産の確率は高くなりますし、子どものそばで吸えば気管支ぜんそくなど呼吸器疾患が増えることはわかっています。
 ところが、今の社会というのはすべて便利が優先され、たばこは、どこでも買えるようにと、そこらじゅうに自動販売機を置いて、子どもでも平気で買えるようなシステムをつくっているわけです。アルコールも、10年前くらいから自動販売機でいつでも買うことができるようになりました。世界でそういうことをやっているところはなく、WHOはわが国に対して禁止するように言っています。アルコールもたばこも20歳以上にしか売ってはいけないことになっているし、それなら、売る人が顔を見て、子どもには売らないようなシステムをつくらなきゃいけないのに、日本は便利便利ということで野放し状態でやっています。
 つまり、子どもが不健康なのではなくて、そういう悪い環境をつくっている文明、社会が不健康であると言いますか、そういうことに対してまじめに取り組んでいないんだと思うんです。今の子どもたちが不健康なのは、社会によってそうさせられているのではないかというところがたくさんあります。
 個人に関してはいろいろな病気、体の病もあれば心の病もあって、それなりに対処しなければならないと思いますけど、子どもに関わる専門職、スタッフは、子ども総体の健康について社会的に何か活動しなくてはいけないと思いますね。
庄司: 子どものことを考えるならば、まずわれわれが子どもをどう考えるかというか、子どもを育てる上での価値観自体を考え直さなければいけないのかなと思います。
 陳腐な言い方で恐縮なんですけれども、1人ひとりをもっと大切に思わなければならない。例えば、学歴の高さだけが価値あるものととらえられるような考え方は、考え直さなきゃけいないのではないかなと思います。勉強が好きな人と勉強以外のことが好きな人がいる、運動が得意な子もいれば、友だちをたくさんつくれる子もいる。いろいろな子がいて、いろいろな生き方がある。よい成績をとることだけが基準としてあるのではない、そんなふうに思います。
 もう1つは、やっぱり遊びの大切さということを考え直してほしい。今は、子どもの発達に役に立つという観点から、知能を育てる遊びとか、言葉を伸ばすおもちゃだとか、そんなものばかりがさかんですが、もともと遊びというのはそういう何かの目的のためにするものではなくて、子どもが自発的に、自由に行うものです。だからこそ、そのなかで工夫したり、考えたりということが身につくわけです。大人が功利的に子どもと接して、あるがままよりもさらに伸ばそうとする形で遊びを考えるべきではないと思います。
塚原: 今のお話と少し関連するんですけど、先日スペインの保育園の視察に行ってきてちょっと反省したことがあるんです。日本の保育の状態は、規制が多過ぎるんですね。私どももどうしても行政の規制の枠にはまっていて、どうかすると、子どもの自由さを制限してしまうようなところがあるなということを感じたんです。
 あちらに行って、2歳以下の子どもの公立の保育園を見せてもらったんですけれども、 子どもは非常に自由にちょろちょろ動いているんです。あちらは靴のままで上がってきてお食事をして、靴を履いたまま布団の中に入って寝てしまってもなんとも思わないんですね。日本だったら「そりゃ大変だ」ということで「脱がせなさい」ということになるんですが、そうじゃなくて、おおらかなんです。
 そしてお食事になりましたら、もうそれこそ口のまわりをいっぱいに汚くしながら食べておりました。私どもの保育から言ったら、「汚れてるのを取ってあげなさい」ということになりますけれど、もうそのままなんです。そして子どもがそれを手で取って、テーブルにつけたって平気なんです。
 規制がなくて、子どもは自由に行きたいところに行き、保育者がその子どもの後を追っていって危険のないようにして、時間になったらまた連れ戻す。これも、1つの方法だなと思って見てきたんです。
加藤: 現代っ子は総体的に見れば健康であるが、社会や家庭がその健康さを維持できるようにバックアップしていかないといけない、今日はそういう話だったと思います。
 私自身は、健康不健康に関しては、最近は高学歴のお母さん方が増えて、そのせいで細かいところが気になるのではないかと思っているんですね。学校教育では細部を分析するような感じで授業が行われていますので、そういったやり方で子どもさんを見れば、いろいろと不安が生じてくるのではないかと思います。また、子どものこわい病気が少なくなったので、むしろ細かいところが気になるのではないかと思います。
 ですから、心配になったときにすぐに気楽に相談できる場所がもっとあってほしいと思いますね。それは健康診査の場でもいいですし、保育園でもいいし、心理相談の場でもいいんですけど。
 それから、今日はあまり話が出ませんでしたけど、マスコミも、本をたくさん売るためとか、テレビの視聴率を上げるためとか、そういう金儲け主義から人心を煽るようなことをやらないで、本当に子どものことを考えた上での情報を流してほしいですね。そんなことを思います。
 それでは、どうも貴重なご意見をいろいろありがとうございました。

(やまなか・たつひろ 小児科学)
(しょうじ・じゅんいち 心理学)
(つかはら・とみ 幼児教育学)
(かとう・ただあき 小児科学)

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