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Vol. 16, No. 3, March 2000
1. 「タイムアウト」は、子どもを前向きで正しい行動に導く

「タイムアウト」は、子どもを前向きで正しい行動に導く

オット・J・アーノシュット博士

 子どもたちが、怒って騒ぎ立てたり、わがままを言ったり、相手を強制することが良い方法ではないことを、我々は子どもに教えなければならない。我々は、好ましくない行動が報いられないことを確かめなければならない。我々は、高圧的方法、監禁、強制が決して良い結果ももたらさないことを保証しなければならない。

 2歳のよちよち歩きの幼児が周りの人を強制することができないと思っているなら、考えなおすべきだ。実は、よちよち歩きの幼児が怒りを示すことはあり得る。実際、最初に公表された、寝ることを拒否する幼児の行動に関する研究(1959年)は、「暴君的である」と子どもの怒りを表現した。

 絶叫したり、ものを投げたり、壊したりすることが、自分の思い通りにするのに役立つということが分かると、子どもはさらに繰り返す。さらに、親に同様の衝撃を与え続けるために、これらのいたずらをエスカレートさせなければならないことを学習する。子どもの怒りにすぐに屈服する親は、子どもと一緒にいる時間の大半が1つの大きな長い実権争いであるということがわかる。

 親は、これらの関わりを恐れるようになる。子どもをスーパーマーケットに連れて行くのをやめる。子どもの増長する要求を受け入れるために、生活を変えようとする。子どもが親のベッドで眠りこむことや、ソファでテレビを見ながら寝てしまうことを許してしまう。入浴したり、食事をしたり、歯を磨くなど、基礎的な雑用を子どもにさせることが、非常に難しいことだと発見する。そのような子どもは、しばしば、毎日生活することの技術が欠如している。なぜなら、母との戦いに集中しているからである。

 通常、親が心理学者に助けを求めるのはこの時点である。

 もし、これらの行動が、子どもの内在する満たされない欲求の表れであったならば、これらの子どもは虐待され無視されているのかもしれない。しかし、それは、数百もの研究が示すものではなく、そして、臨床の経験が示唆するものでもない。

過度に関わる母親

 むしろ、ひどく立腹する子どもには、子どもをすぐに助けたり、深く関わろうとしたり、子どもの欲求が満たされているか非常に心配する母親がいることが多い。これらの母は、立腹が内的精神的苦悩の徴候であるということや、適切な応答をしなければ子どもの欲求を満たすことができないという考えにおびえる。この考え方は、子どもの立腹を助長しまう。親は、遅かれ早かれ子どものすべての欲求を満たせば、困った行動が終わるであろうという絶望的な希望を持ってしまう。

 親が助けを求めるまでに、子どもを甘やかすという不安な願望と、困った行動に対する激怒とが絡み、これらの母親たちはひどい矛盾に陥る。

 一貫した感情的でない方法で実行される簡単な「タイムアウト」の過程は、そのような強制的な立腹行動をなくす。もし、立腹が内在する感情的問題の徴候であったのなら、「タイムアウト」は、恐らくは機能しないであろう。(「タイムアウト」法の他の見解については、"Time out to correct misbehavior may aggravate it instead, " (著者Peter Ernest Haiman, Ph.D., 出所:The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, Vol.14, No.10, October 1998.)を参照)。

学術研究は「タイムアウト」を支持

 数百もの研究は、「タイムアウト」法で、立腹、抵抗、不服従をなくせることを示している。徴候疾患モデルの擁護者は「タイムアウト」法は、フラストレーションを増大させ、生涯調整問題に帰着するであろうと警告する。しかし、数百もの研究調査のうちのいずれでも、これは観察されなかった。

 子どもが「タイムアウト」の後で怒り、挑戦的になるという考えは、研究によって40 年に渡り反証されている。私は、むしろ反対が真なのではと思っている。何が受け入れられる行動であるかを教えられていない子どもは、成長してコンプレックスを持ち、強制的関係をもつ傾向がある。そして、与えるよりむしろ要求することによって他のものを扱う傾向がある。なぜなら、これが幼い時常に報いられたからだ。

 そのような子どもは、いかに自分は十分に与えられていないかに焦点を合わせる傾向がある。公平に扱われなかったとか、十分に供給されなかったとか。この疑いには証拠がない。しかし、私の臨床の経験は、立腹によって家庭を支配してきた子どもがコントロールが効かなくなり、そして、過度に断定的で、利己的である子どもになることを示唆している。

 「タイムアウト」は、教育の道具であり、しつけの方法であり、そして、何が受け入れられるか、何が望まれるか、いかなる行動は報われないかを子どもに説明する方法である。「タイムアウト」は、子どもを育てる方法ではないが、一部ではある。

抑制されない表現は破壊的

 「タイムアウト」アプローチに反対する人は、感情を抑えることを子どもに教えると主張する。しかし現実には、自由な抑制されない表現をすることは、結婚、家族、職場、街の歩道のような社会関係において破壊的であることである。我々は人間として、感情を抑制する建設的な方法を学ばなければならない。

 「タイムアウト」が不適当な行動に対する優れた教育方法であると同時に、暖かく、前向きで、励みとなる子育ての一部であるはずだ。

オット・J・アーノシュット博士は、1970年代、オレゴン大学健康科学センターの ハンフ博士の育児トレーニングプログラムにおけるコーチの1人であった。ハンフ法は、全国で多くの臨床、研究上の育児トレーニングプログラムを産みだした。アーノシュット博士は、アラバマ州モンゴメリーの行動医学PCで心理学サービスのディレクターである。連絡先:(334)272-3889。




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, March 2000
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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