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Vol. 16, No. 5, May 2000
1. 行動を修正することで子どもの行為を形づくる

行動を修正することで子どもの行為を形づくる

カンチャン P.クラーク医学博士、ダナバン D.クラーク医学博士

 誰もがかつて、親の立場が容易だろうとは言わなかった。

 我々は2人とも、精神科医になる過程で小児科や内科で見習をしていた間、とてもきつい激務を続けた。実はそれが、もっともリラックスできる期間だとは気がつかなかった。親になって、医師の見習いや緊急治療室より、もっと油断のできない、妄想にとりつかれた生活を送ることになった。子どもとのきずなの強さは、簡単には他のものと比較できない。

 乳児や子どもは、かわいく、愛らしい。人類の生存は、これらの特性が子どもに存在することによって、必要な養育が保証される。乳児は、親の一次本能が防御の1つであるほど無力な状態で人生を始める。子どもが成長する間、親の子を守りたいという欲求は続き、子どもの行動は、安全に、好ましく、幸福で、良くしつけられた子どもとなるよう形づくられてゆく。しかし、これら望ましい行動は、起こりえない。なぜなら、大人は子どもより「より大きく」、親と子どもの間の結び付きが強いからだ。子どもをコントロールするために、おとなの権力、すなわち、体格、腕力、お金を使わないことは、重要である。このような親の行動は、子どもと敵対的であったり、過度に従順であったり、挑戦的な子どもにする結果に帰着するであろう。

 子どもは、親に気に入られることを望む。もともと子どもは賞賛、承認、愛を引き出すよう動機づけられ、そして、子どもが、小さく、無力で、従属している状態であるうちは、この動機づけは長く続く。

受容

 一生懸命子どもの話を聞くなどして、子どもの行動を受入れる親は、子どもの自立を助ける。時折突き放す態度も難しいが必要である。しかし、子どもも、問題を解決する間違った方法を考えたりなど、誤りを犯すことができる必要がある。子ども自身が助けを借りながら問題解決をし、その結果にも責任を持つように図るべきである。これは、子どもに問題解決の所有権を持っていると考えさせる。子どもに考えを述べることを許し、それに耳をかたむけることによって、大人は、子どもが孤独ではないことを子どもに教える。

親としてのスタイル

 しつけの概念は、しばしば両極端となる。1日中過度に子どもに命令を与えて、非常に厳しい親がいる一方、子どもを罰するにはあまりにも疲れて、もしくは恐れていて、しつけをほとんど行わない親もいる。

 教師や育児専門家の研究では、子どもと共に幸福で遊び心をもって過ごす人々のほうが、過度の命令をする人々よりストレスが少ないことを示している。遊び心の質は、前向きな関係を築き、親と子どもの両方を助ける。「子どもと遊ぶのにはあまりにも疲れている」と感じて勤務先から戻る親は、靴を脱いで、床に座り、子どもと遊んだらよいだろう。それは、親と子ども両方にとって良い。

 ある親たちは、子どもを罰することを恐れているようだ。おそらく、子どもの虐待の罪で告発されるのを恐れる、もしくは、育児の「専門家」の本を読み、子どもの自尊心を損なうことを心配するからであろう。しかし、子どもは、罰をうけるべきタイミングを分かっている。親が何か正しくないという印象を持ったら、それを無視するべきでない。大抵の場合、子どもの行動を信じるより、親には、より良い判断力をもっている。子どもや家族の価値を直接知らない「専門家」によって書かれた本のために責任を放棄するべきでない。

限度を決め実施する

 親は、明確な限度を決め、子どもに一貫してそれらを実施するべきである。限度が10回に1回でもずらすことを許されると、その子どもは、毎回その1回を得ようとするであろう。親は、決して「あまりにも疲れている」べきでない。そして、子どもに簡単に屈服するべきでない。しかしながら、少々の子どもの分別のない行動をを無視することは、受け入れるべきである。冷蔵庫に貼られた25の規則をすべて実施することは、ほとんど不可能であるかもしれない。その代りに、2〜3の規則を選択し、しばらくの間ずっとそれらを実施する。子どもが最初のわずかな規則に従うことに成功するとき、親は次のレベルの行動に移ることができる。親は子どもの行動をより成熟した適切なレベルに頻繁に修正することにより、子どもの行為を形づくることが可能になる。

自負心を支える

 自負心は、現実の成果と認められた行動によって支えられるべきである。自負心は、限度としつけによって築かれた「やりとげる」感覚に基づく。間違いを正されない、またはしつけられない子どもは、やりとげるという感覚を知らない。

 良いことであれば、子どもを賞賛し、報いることは、同じく非常に重要である。子どもは、愛情を必要とする。親を喜ばせることによって子どもは、前向きに強化される。これは、親と子どもの両方にとって良い状況である。

カンチャン P.クラーク医学博士とダナバン D.クラーク医学博士は、セントラ・ヘルスのピードモント精神科センターの成人精神科医及び小児精神科医である。この記事は、最初セントラ・ヘルス・バージニア・バプティスト病院の精神衛生サービスニュースダイジェスト・ニュースレター(1999年12月、13巻、no.4)に掲載された。




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, May 2000
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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