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Vol. 16, No. 6, June 2000
1. 家庭の雑用をやらせることは社会的個人責任を教えるのに役立つ

家庭の雑用をやらせることは
社会的個人責任を教えるのに役立つ


ロウナルド・P・バネット博士

 子どもに何か雑用をやらせることは、責任を経験する早期かつ継続的機会となる。生活の自立と自給自足は、究極的には、2種類の責任−個人的責任と社会的責任−の習得につながる。子どもは、作業を確認し、受け入れ、個人及び社会責任を果たすプロセスを学ばれなければならない。子どもは、親が教える責任を受け入れるとき、責任を学ぶ。

 ほとんどの家庭で、子どもの個人的責任を発達させる機会を作り出すことは難しくない。通常、トイレのしつけで始まり、親は子どもが自立に向かって前進するよう課題を割り当てる。自分で顔を洗い、歯を磨き、服を着て、宿題をし、学校に出席することは、親によって通常割り当てられる個人的責任の例である。概して、子どもは、個人的責任の存在を認めることは難なく容易にそれらを受け入れる。

 しかし、子どものために社会的責任を獲得する機会をつくるのは、親にとってより困難かもしれない。この点に関しては、家庭の雑用を割り当てることが、子どもに社会的責任を教える機会となる。家庭とは、最も基本的な、かつ実行が容易な社会の一形態であるからである。

 家庭の雑用を割り当てることは、社会的責任に関して重要な教育機能がある。第1に、家庭の雑用を割り当てることは、子どもが家族に貢献する感覚を経験することを可能にする。第2に、首尾よく貢献できたとき、子どもが達成感を経験し、達成したことに対する誇りを経験できる。誇らしく感じることは、精神衛生及び幸福のもとになる自我の発達において鍵となる要素である。更に、家族にうまく貢献し、それを良いと感じるという経験は、子どもと家族のつながりを強化するのに役立つ。

 子どもに家庭内の社会的責任を受け入れるよう教えることは、彼らが成長し自立するにつれ、家庭の外で遭遇するであろう多数の社会的責任に備えるための、まさに最良の方法である。ティーンエージャー、または、若い成人になる子どもにとって、家庭の外で社会的責任をうまく扱う能力は、貢献、誇り、自尊心、強い建設的な社会との繋がりを再び経験することなど多くの理由から重要である。

要求は尊重するべきである

 不幸にも、雑用は退屈である。新鮮さがなくなってきた頃、多くの幼い子どもや大部分のティーンエージャーは、雑用を最後までしなければならないことについて不平を言うかもしれない。おもしろいことに、要求を緩和することを決して考えない親ほど、個人的責任、例えば宿題や学校に行くことを言い訳にして家庭の雑用を免れることを、頻繁に許してしまう。

 なぜ今日の親の多数がそのような容易に利用可能で効果的な教育方法について突然手綱を緩めるかはわからない。社会的責任の発達と雑用の関係に気がつかないからか。それらを家族の絆を強化する方法と見なさないからか。社会的責任が一生のなかで重要な役割を果たすことに気がつかないからか。

雑用でお小遣いをあげるべきでない

 非常に幼い年齢から子どもに適切な家庭雑用を割り当てることをすすめる。それは決して害とならないであろう。実際、あなたの 10 代の息子や娘が、例えば飲酒運転しないようになれば、社会的責任感は人生を救うかもしれない。同じく、子どもは雑用をしたことでお小遣いをもらうべきではない。雑用の目的は、家庭に社会的責任について子どもに教え、ティーンエージャーや成人として更に大きい社会において直面するであろう多くの社会的責任を首尾よく果たすために最良で可能な方法を習得することである。雑用の価値は、それらを成し遂げることから学ばれた教訓にある−誇り、自尊心の発達、頼られ貢献を評価する他の者とつながっていることの経験などである。お小遣いをあげることは目的をくじく。

ロウナルド・P・バネット博士は、ブラウン大学医学部精神医学準教授及びブラッドレー病院の発達障害プログラムのディレクターである。




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, June 2000
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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