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Vol. 16, No. 8, August 2000
1. 活発な父親の性格に着目しよう
2. 子どもを中心に置いた育児は攻撃的行動を止める

活発な父親の性格に着目しよう

 最近の研究によると、父親がより育児に関わるのは、父親の労働時間が一般より短い場合や母親の労働時間が一般より長い場合、母親が夫婦関係がより親密であると回答した場合などである。父親が高い自負心や前向きに心理的調整を行う性格を持つとき、そして子どもが男子であったとき、父親は同じく育児に活発に関わっていた。

 国立小児健康人間発達研究所(the National Institute of Child Health and Human Development(NICHD))の初期育児研究ネットワークによって行なわれた研究も、伝統的な育児についての信念をあまり持たず、より年長で、夫婦関係が親密な父親の場合、父親が子どもとの遊びに敏感であることを報告している。

 一方、研究者達が予想していたことに反して、父親の育児への参加と母親の雇用とは基本的な関係を見出さなかった。また同時に、母が働いていなかったり、パートタイムのみで働く世帯において、父親が伝統的でない考え方を持っていれば、父親が育児活動に積極的であったとの報告もあった。他方、母がフルタイムで働く世帯では、父親の考え方にかかわらず、育児に参加する傾向がみられた。

 研究者たちは、母親がフルタイムで働いていることは、父親が内在する信念に関係なく育児の責任をもつことを必要とする家族生活を求める、と考えている。

――家庭心理ジャーナル(Journal of Family Psychology)2000年6月号



子どもを中心に置いた育児は
攻撃的行動を止める


 学齢の子どもによる不適応な行動パターンは、大人になったあとの将来問題を避けるため、変えるべきと、小児期の問題と後の失業の可能性との関係を研究する研究者は言う。最近の研究によれば、ある種の育児方法や社会行動を学ぶことは、攻撃的子どもがらせん状に悪化するのを止めるのに成功してきた。

 成年期まで攻撃的行動を繰り返すことから、攻撃的子どもを保護するにはどうしたらよいかを調査するために、フィンランドの研究者は、369人を、小児期及び成人期に、様々な調整方法や家庭環境を異なる時代で調査した。調査対象者は、順応不良のサイクルを研究する進行中の研究の参加者の一部であった。

 その研究は、1968年に始められ、データは、年齢8、14、20、27、33、36の参加者から集められた。著者は、8歳時に攻撃的であった子どもたちが、学校不適応、飲酒、職業選択肢の欠如、最終的に長期の失業などを含んだ不適応のサイクルを始めるということを明らかにした。

 子どもを中心に置いた育児(子どもを支える親、子どもの生活に関わる親、暖かい家庭環境に関連している親)や、前向きな社会行動(高いストレスや不快感などの感情を自制すること)は、攻撃的子どもが成人となったあと長期に失業する可能性を減少させた。

 対象者は、4回にわたって評価された。8歳時には、教師が子どもの攻撃性レベルを評価した(他の子どもを傷つけ、物を壊し、理由なしでだれかに暴力をふるい、または年下をからかうなど)。同じく教師は、前向きな社会行動に関して子どもたちを評価した(困難な状況の際合理的に行動し、状況を打開すべく交渉力を使い、弱いものの側に立ち、他人に好意的であることなど)。14歳の時点では、学校への順応不良を、学業や学校生活への関心などを基に、教師によって評価した。27歳で、対象者は職業や飲酒行動について報告した。

 研究対象者は、同じく親との関係や家庭環境について回想するよう求められた。27歳と36歳の間で(311人が対象)、長期失業の発生率は、対象者の間で顕著な差になった。

 「あまり子どもを中心に置かなかった親より子どもを中心に置いた親のほうが、子どもの学業に興味があったように思われる」と著者は言う。「親の援助や監視は、攻撃的子どもが、順応不良のサイクルから離れて、前向きな発達へ向かう機会を提供した。」

 更に、前向きな社会態度を学んだ攻撃的な子どもは、友人達により受け入れられた、と研究者は言う。これは、子どもたちが社会的技術を身につけ、学校生活を容易にし、仕事を得られるよう助けた。

K.コッコ・L.プルキネン「小児期の攻撃性と成年期の長期の失業:順応不良及び予防要因のサイクル」発達心理学2000(Developmental Psychology 2000)36(4):463-472.




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, August 2000
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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