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Vol. 16, No. 12, December 2000
1. 離婚家庭の子どもたちの置かれている状況を見直そう

離婚家庭の子どもたちの置かれている状況を見直そう

 「かわいそうに。あの子は崩壊した家庭からきた」1950年代以来、そのような常套句は、離婚がいかに子どもの発達にとって離婚が辛らつな影響力を持つかを示してきた。親が未熟で衝動的で子どもの面倒を充分にみないと、離婚後、子どもの問題行動や精神異常が起こるというものだ。
しかし、完全な核家族における子どもと離婚家庭の子どもについて比較したある専門誌の研究は、逆説的な結果が得られることを実証した。その研究によれば、これまで精神衛生の専門家が知っていることと言えば、それは離婚は親にとってはよいかもしれないが、子どもにとっては良いことではないということのみである。

 その点以外では,離婚が子どもに与える影響についてのわれわれの見解は間違っていたのであり、少なくともあまりに安易であった。過去10年の70以上の研究を調べた米国自動青少年精神医学学会誌は、結果的に親が離婚している子どもの心理的調整を理解する上で、要因の複雑性が見逃されてきたことを示している。最近の研究によると、親が離婚している子どもに見られる行動および学業の問題の多くは、親が別居する4年から12年前にすでにその前兆が現れていたとしている。親が離婚した子どものグループは均質的なものからはかけ離れており、彼らの心理的調整について一様に離婚していない親を持つ子どものグループと比較することは、長期的な結果で見ると、親が離婚した事実よりもより重要な多くの要因を無視することになる。

 その要因のひとつとは夫婦間の衝突であり、子どもに対して、様々なネガティブな影響を繰り返し与える。結婚生活において頻繁に生じる緊迫した、あからさまな両親の衝突は、離婚自体や離婚後の衝突よりも強く幼少期の心理的問題を予期する。
夫婦間の衝突は、高い度合いで親子関係を決定し、規律を損ない、そのために間接的に子どもの発達に影響を与える。夫婦間の衝突が暴力へとエスカレートすると、子どもに与えるネガティブな影響はより影響力の強い、持続的なものになる。大きく衝突する両親を持つ子どもの場合、思春期にいたる前に離婚した方が、あえて結婚生活を続けているよりも、多少良いということが今では明らかになっている。

 養育権協定のありかたもまた、離婚後の子どもの心理的調整に影響を及ぼす。離婚した両親が共同で法律上の養育権を持つ場合は、共有の意思決定を必要とするため、一方の親だけ(多くの場合母親)が養育権をもつ場合よりも両親のかかわりが大きくなる。その結果、おそらく、両親が共同で養育権を持つ場合には、よりよい離婚後の子どもの心理的調整が一貫して予想される。
しかし同じことが共同の物理的養育権についてはいえるわけではない。すなわち、離婚後に共同の法律上の養育権をもつ両親でも,両親の衝突が大きい場合は、子どもに与える影響は悪いものとなるということである。全般的には、離婚後の両親自身の精神的健康と彼らの子どもとの継続的な関係の質が、子どもの心理的調整を決定付けるといえる。

 離婚の際に仲介が入ることで、家庭の事態が改善できるという証拠が増えている。離婚教育プログラムは1990年代半ばに三倍に増加し、その種類はプログラムの範囲やアプローチにおいては様々であるが、結果は望みのあるものになっている。離婚調停をすることはずいぶん長い間可能であった。離婚調停をすることは、離婚調停をしない場合にくらべると、共同の養育権を獲得する場合が多く、離婚の調停中や離婚後の両親の衝突も決定的に少なく、父親の継続的なかかわりも大きくなる。

 離婚した両親を持つ子どもの心理的調整に影響を与える、離婚前、離婚までの間,離婚後の多くの要因の複雑な相互作用を認識することが重要である。
全般的にみれば、多くの子どもたちは離婚という事態を驚くほどうまく切り抜けている。より現実的なモデルを見ていくことは、われわれの子どもの回復力についての理解を助けるだろう。
それは、どこに焦点を当てて努力を注げば、壊れやすい子どもたちがこの発達におけるおおきな試練を潜り抜けるのを助けることが出来るかということも教えてくれる。




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, December 2000
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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