離婚家庭の子どもたちの置かれている状況を見直そう |
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「かわいそうに。あの子は崩壊した家庭からきた」1950年代以来、そのような常套句は、離婚がいかに子どもの発達にとって離婚が辛らつな影響力を持つかを示してきた。親が未熟で衝動的で子どもの面倒を充分にみないと、離婚後、子どもの問題行動や精神異常が起こるというものだ。 その点以外では,離婚が子どもに与える影響についてのわれわれの見解は間違っていたのであり、少なくともあまりに安易であった。過去10年の70以上の研究を調べた米国自動青少年精神医学学会誌は、結果的に親が離婚している子どもの心理的調整を理解する上で、要因の複雑性が見逃されてきたことを示している。最近の研究によると、親が離婚している子どもに見られる行動および学業の問題の多くは、親が別居する4年から12年前にすでにその前兆が現れていたとしている。親が離婚した子どものグループは均質的なものからはかけ離れており、彼らの心理的調整について一様に離婚していない親を持つ子どものグループと比較することは、長期的な結果で見ると、親が離婚した事実よりもより重要な多くの要因を無視することになる。 その要因のひとつとは夫婦間の衝突であり、子どもに対して、様々なネガティブな影響を繰り返し与える。結婚生活において頻繁に生じる緊迫した、あからさまな両親の衝突は、離婚自体や離婚後の衝突よりも強く幼少期の心理的問題を予期する。 養育権協定のありかたもまた、離婚後の子どもの心理的調整に影響を及ぼす。離婚した両親が共同で法律上の養育権を持つ場合は、共有の意思決定を必要とするため、一方の親だけ(多くの場合母親)が養育権をもつ場合よりも両親のかかわりが大きくなる。その結果、おそらく、両親が共同で養育権を持つ場合には、よりよい離婚後の子どもの心理的調整が一貫して予想される。 離婚の際に仲介が入ることで、家庭の事態が改善できるという証拠が増えている。離婚教育プログラムは1990年代半ばに三倍に増加し、その種類はプログラムの範囲やアプローチにおいては様々であるが、結果は望みのあるものになっている。離婚調停をすることはずいぶん長い間可能であった。離婚調停をすることは、離婚調停をしない場合にくらべると、共同の養育権を獲得する場合が多く、離婚の調停中や離婚後の両親の衝突も決定的に少なく、父親の継続的なかかわりも大きくなる。 離婚した両親を持つ子どもの心理的調整に影響を与える、離婚前、離婚までの間,離婚後の多くの要因の複雑な相互作用を認識することが重要である。 |