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Vol. 18, No. 3, March 2002
摂食障害の予防:親へのヒント

摂食障害の予防:親へのヒント

Anorexia Nervosa and Related Eating Disorders, Inc.


 アメリカ人は痩身願望にとりつかれた社会に生きていると言っても否定するものはないだろう。私達が信奉している文化的理想とは、胸は整形手術で豊かだが身体は小枝のように細い(女性)か、筋肉が浮き出てみえる力強い身体(男性)である。影響をうけやすい沢山の人々、特に若者たちがこうした非現実的な体形やサイズを自分のものにしようと、ダイエットをしたり、エクササイズをして、危険な摂食障害の罠に陥り、医学的危険に身をさらしている。
 摂食障害の予防は治療にくらべてずっと容易であり、通常は親の役目である。その努力の大半は、組織化されたプログラムではなく家族によって行なわれる。言葉よりも行動がずっと強力なメッセージであることをいつも心に刻んでおこう。

罪悪感を取り除こう

 摂食障害のある子どもの親は普通善良な人で、子どもを育てるのにそれなりに最善を尽くした人たちだ。その努力にもかかわらず、子どもたちが拒食症や過食症、その他の病気にかかってしまう。科学者は、摂食障害が起るのは個性を決定する遺伝子の影響がこれまでに考えられていたよりもずっと強いものであるからだという。影響をうけやすい人が、減量は人生を幸せにすると信じ込んで、ダイエットを始めるときに、これらの因子が活動しはじめるように思われる。
 この時、親は自分自身に罪悪感を感じ、現実を否定をしがちだ。どちらも役に立たない。何かをしたとか、しなかったとか(これが現在の問題に関係があるかも知れないし、無いかもしれない)について嘆くより行動をおこして、子どもの主治医やメンタルヘルス専門家と会って問題を評価すべきである。治療を始めるのが早ければ早いほど、元へ戻すのがやさしい。症状を無視することが長く続けば続くほど、また親が子の今の状態は"一時のこと"と希望的に思うときが長ければ長いほど、回復への途は遠い。
 状況が手に負えなくなる前に、以下のガイドラインを読んでいただきたい。こどもの自尊心を育て、現代の若者がどっぷり浸かっているメディアが発する有害なボディ・イメージと戦うため、健康な環境を創りだす提案を役立てていただきたい。

健康なロール・モデルという贈り物を家族と友人にあげる
 女性の場合は、サイズや体型を問わず自身の身体について気楽に考え、楽しもう。自分の容姿を批判してはいけない。そうすることは、外見にこだわり、自身の身体を批判的にみるべきだと他人に教えてしまうことである。

他人、特に女性や子どもの容姿を決して批判しない
 「大根足」だとか「でか尻」などの言葉は、冗談でも人を深く傷つけ、自尊心を損なう。身体がすべてではないことを忘れてはいけない。あなたと同じように、彼らににも才能、能力、希望、夢、価値観、目標がある。自分が望むように、他人にもしてあげること。

同様に、家族のだれかが容姿について他人をからかうことをさせない
 遊び気分でからかっても、否定的な結果を生むことがある。

痩せた身体ではなく、元気で健康な身体の大切さを強調する
 目標は、痩せた身体ではなく健康と元気であるべきだ。

子どもの容姿ではなく、ありのままの姿、個性、やっていることを誉める
 魅力がないと思っている子どもにかっこが良いと言ってやるのでは心配させるばかりで、自尊心を傷つけることになり、子どもはあなたの言うことを信用しなくなる。

特に重要なこと。あなたはダイエットをしてはいけない。絶対に
 第一に、ダイエットをしても上手くいかない。すぐにやせることができるといった、危険で非現実的なメッセージを子どもに伝えることになる。ダイエットの代わりに、栄養たっぷりの食事と元気になるためのエクササイズを健康のため日課にすべきである。
重要な事実:摂食障害が生じる三つのリスク要因は、
1.ダイエットをする母親
2.ダイエットをする姉妹
3.ダイエットをする友人
これに加えて、激しいダイエットをする女子は、ダイエットをしない人にくらべて摂食障害を生じる可能性が18倍高い。

ダイエットではなく、健康的な食生活をすすめる
 ダイエットすることと健康的な食生活を送ることは違う。美味しい食物を食べることはよいこととするが、フレンチフライやアイスクリームを罪悪視すると、これらが禁断の果実になるだけである。

食べてはいけない物を決めない
 「悪い」食物を決めないこと。健康な食生活とは、ほぼすべての食物を適度に食べることである。さらに正常な発達や体重増加の程度を学ぶべきである。それは雑誌やテレビで見ることとは違う。子どもたちの正常で健康な発達を心がけるべきである。

食事の時間は楽しく過す
 家族や親しい友人との食事を楽しもう。週に一度は、家庭かレストランで家族に特別のご馳走をしよう。健康のため食物に気をつけるのはいいことだが、カロリーや脂肪分の計算、体重にこだわりすぎると、影響をうけやすい人は食物を怖がり、その結果食べることを恐れるようになる。このような先入観やいやな予想から拒食症や過食症になる人が沢山いる。

子どもが頑なにダイエットの決心をしている場合は、医師や栄養士に結果を監督してもらおう
 医師や栄養士は健康な食生活と体重レベルの情報を提供し、「良い」食物と「悪い」食物に関する神話を否定し、現実的な減量目標を教えてくれる。さらにダイエットが手に負えなくなったら、専門家にすぐ介入してもらえる。

子どもが積極的なライフスタイルを確立し、これを守るように手助けする
 スポーツクラブの会員権に大金を払ったり、スポーツプログラムのプロモーションをする必要はない。自転車にのったり、歩いたり、水泳をするなど、楽しく毎日できる活動をすすめよう。元気な身体は、健康なセルフイメージを促進する。

思春期におこる身体の正常な変化について子どもたちに話す
 身体が女らしい曲線を持つことが「肥る」ことだと解釈する子どもがいる。女の子は、正常な発達が一般的な健康、特に健康な子どもを産むのに必要だということを学ぶ必要がある。男の子たちにもこの話を聞かせて、思春期の男性の間に広がっている「肥った女の子はごめん」のメンタリティーを乗り越えさせる必要がある。

雑誌、テレビ、映画で見る非現実的なイメージについて子どもたちと話しあう
 モデルや女優の中には、整形手術をしたり、摂食障害になって「美形」を保っている人たちがいるのだと話してやる。これは真実なのである。痩せるのがいいことだとメッセージを発信し、身体のイメージについての不安感をそそり、広告製品にお金を使わせるスポンサーがいることを教えてやるべきである。痩せているからといって、人気が出たり自信がつく訳ではないのは、タバコを吸う場合と同じである。タバコとダイエット製品の広告手口はほとんど同じである。

最も大切なことは、いかに健康で責任あるやり方で自分の身体に気をつけているかを態度で示すことである―言葉で時間を無駄使いすることはない。
 有能な人が、いかに自分の責任で問題を解決し人間関係をうまくし、自己を破滅させることなく人生に満足していけるかを、示してやる。

 ANRED情報は、医療や心理学的ケアに代わるものではありません。摂食やエクササイズ障害についての身体やこころの問題については、主治医やメンタルヘルス専門家に相談してください。摂食障害についてのさらに詳しい情報や利用できる手段については、ANRED www.anred.comまで。



The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, March 2002
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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