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Vol. 21, No. 6, June 2005
1. 子どもの急性ストレス反応や外傷後ストレス障害についてのERの認識
2. アラーム(目覚まし時計)で夜尿症を克服する

子どもの急性ストレス反応や外傷後ストレス障害についてのERの認識

最近の調査により、小児救急医療の従事者の多くが小児患者が急性ストレス反応(ASR)や外傷後ストレス障害(PTSD)にかかる危険性について過小評価していることがわかった。

大人と比べて子どもはより急性ストレス障害(ASD)やPTSDの症状を起こしやすいように思われる。研究によれば交通事故による怪我の後、子ども5人のうち4人までがASR症状を経験し、約25%がPTSDを起こしている。これまでの調査では、成人のPTSDの全体罹患率は人口の8%から9%、小児患者についての研究では子どもの全体罹患率を13%から45%だとしている。

小児救急医療に携わる人々が子どもの外傷後ストレス反応にどの程度気付いているかどうかを把握するため、研究者らは現状の医師の認識と対応を評価する2ページにわたる無記名横断調査票を作成した。

米国小児科学会(AAP)救急医療部門の会員に対して、交通事故後のASRについての認識とPTSDを起す危険因子、救急医療のスタッフによる介入の実情について尋ねている調査票、計923通を発送した。被験者の基準は、救急科での臨床にあたっている医師と、一般救急医療、小児医療、小児緊急医療の認定医または認定医候補になるために救急科で研修中の医師とした。調査表を発送したAAP会員のうち287名がこの規準を満たした。

287名のうち、130名(45%)の医師が交通事故等の傷害後のPTSDについて、子どもは大人と比べてかかる可能性が高いと思うと答えたが、149名(54%)は子どもは大人と同程度あるいはそれ以下の可能性でPTSDになると考えていた。164名(57%)が交通事故後1ヶ月以内にASRを発症する子どもは5人に1人より少ないと考えており、これまでに報告されている頻度(5名中4名)で発症すると答えた医師はわずか20名(7%)にすぎなかった。また、248名(86%)が傷害の重篤度がPTSDの発症と関連していると思うと回答している。

調査はさらに、回答者が現在、患者の両親や家族に対してPTSD関連の情報をどのように提供しているかについても尋ねた。予想される症状について口頭での説明を少なくとも一度はしていると答えたのは、回答者中わずか52人(18%)だった。また、書面によって関連情報を一度でも提供していると答えたのは9名(3%)だけだった。回答者の大部分、287名のうち242名(84%)がプライマリ・ケア制度を通じて経過をみるための診察を一定期間続けたほうがよいと勧めているが、35名(12%)はそのような診察は勧めていなかった。

これらの結果から、子どもの救急医療にあたる医師の多くが、子どもがASRやPTSDを発症する可能性を過小評価していることがわかる。調査対象となった医師の大多数が子どもたちのケア改善には関心を示したものの、こうした取り組みについて実際にどのように患者の予後の改善に影響するのか、それを評価するための効果的な手段や裏付ける証拠を求めている。トラウマに苦しむ子どもたちに、そのケアを実際に提供しようとする試みには障壁があるようだ。

「この問題について、現場の医師の認識と望ましい臨床診療の間のギャップを埋めるためには、医師教育ならびに評価と介入の系統だったアプローチが必要だ」と著者らは述べている。

Ziegler M. 他:子どもの外傷後ストレス反応;小児科救急医療従事者の認識と診療.
Pediatrics 2005;115:1261-1267.

アラーム(目覚まし時計)で夜尿症を克服する

3,152人の子どもを対象に行った55件の個別試験(「コクラン・レビュー抄録集・失禁項目」に登録されている)の結果を総合すると、子どもや青少年が夜尿症を克服するには、デズモプレジンや三環系抗うつ薬などを投与するよりも、アラーム(目覚まし時計)を使う方が長期的にみてより大きな効果が期待できるということがわかった。デズモプレジンの方がより即効性が期待できるが、治療全体を通しての効果は、アラームの方が大きかった。アラームを使った治療を受けなかった子どもに比べると、アラーム治療を受けた子どもの約3分の2が治療期間中に夜尿症を克服することができた。おねしょをしたからと、罰を与えるのは逆効果であった。研究者によると、アラームを使う方法は、子どもは始めのうち家族の監督や支援を必要とするかもしれないが、三環系抗うつ薬がもたらすような副作用の心配はないという。また、アラームを使った治療法と他の治療法との比較、再発率の追跡調査など、より質の高い研究が必要であると結論付けている。


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, June 2005
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