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Vol. 22, No. 7, July 2006
児童虐待のスクリーニングの重要性
未成年者の飲酒によるアルコール産業の利益
若者の強迫神経症の新しいスクリーニング法

児童虐待のスクリーニングの重要性

2006年度米国小児科学学会で発表されたデータによると、児童虐待を専門としている小児科医であっても、実際に虐待が疑われるケースにおいて、子どもの発するサインから児童虐待を見つけ出しているとは限らないという結果が得られた。データは、児童虐待を専門とする57人の小児科医とニューヨークのプレスビテリアン教会モルガン・スタンレー小児病院内の児童養護施設に連れてこられた子どもの保護者732人を対象とした多面調査に基づいている。養護施設では、家庭内暴力の犠牲者やその家族を対象にカウンセリングを行っている。上記の調査結果によると、現在のパートナーもしくは配偶者から深刻な身体的暴行を受けているという報告件数は7.1パーセントあり、そのうちの15パーセントが子供の父親によるものであった。児童虐待が疑われる場合は、他にも虐待の被害者がいないか、何かしらのサインがないか、親、特に母親に対しスクリーニングする必要があることが、この調査結果によって明らかになった。「この情報は最終的なものではありません」と主任調査員ジョスリン・ブラウン医学博士は述べている。「しかし、親権を巡る紛争において、子どもの心身の状態をみて意見を述べる立場にある臨床医は、その子どもの親がパートナー/配偶者から暴力を受けていないかどうかについても注意を払うべきです。」さらにブラウン博士は、児童虐待の専門家でさえ、診察の際に虐待の兆候がないかについて注意して診るのを日常としていないという事実について、「子どもに対する暴力の背景にあるものを理解するために、専門家も含めて、もっともっと多くのことを学ばなければなりません。」と述べている。[ www.newswise.com ]

未成年者の飲酒によるアルコール産業の利益

コロンビア大学の全米薬物常習乱用センター(CASA)が発行した白書によると、2001年の未成年者の飲酒によるアルコールの個人消費額は、少なくとも225億ドルにのぼったという。また、CASAの報告および小児医学誌「Archives of Pediatrics and Adolescent Medicine 」5月1日号に掲載された関連記事のなかで、約26パーセントの未成年の飲酒者が、アルコール乱用やアルコール依存の臨床評価基準を満たしていることが明らかになった。CASAの白書で報告されている他の調査結果によると、毎日1万3000人以上の子供が初めての飲酒を経験していることになるが、15歳になる前に飲酒を始めた子どもは、21歳になるまで飲酒しなかった若者に比べて4倍の確率でアルコール依存になるという。これは、未成年者の病的な飲酒がアルコール産業にもたらす商業的価値を調査した未だかつてない研究である。CASAの調査は、アルコール産業の利益と国民の健康に対する利益は真っ向から対立するものであると結論づけている。CASAのセンター長であり最高責任者であるジョゼフ・A・カリファノ氏は、未成年者の親、研究者である同僚、メディア、およびアルコール産業の幹部に対し、未成年者の病的な飲酒の抑制を促す責任を担うよう呼びかけている。
[ www.casacolumbia.org ]

若者の強迫神経症の新しいスクリーニング法

若者の強迫神経症(OCD)のスクリーニング法が新たに開発された。小児科医以外の医師が症例に当たる際に非常に役立つだろうと開発した研究者達は述べている。親と子どもの両者を対象とした構造化診断面接は若者の強迫神経症の診断方法の基準となっているが、この方法による診断は高額な費用や時間がかかる上に、大学病院などの研究機関以外では、なかなか受けられない現状がある。新たな診断法である強迫神経症診断基準 (Obsessive-compulsive-scale: OCS)は児童行動チェックリスト(Child Behavior Checklist: CBCL)から8項目を使用している。OCSの精度を調べた初期の研究で、60パーセンタイルから70パーセンタイルを調べたところ、OCSの特異度と敏感度、陰性・陽性適中率は非常に高いものであった。この診断基準が、スクリーニングのための十分な精神測定特性を備えていることを示している。OCSを使ったスクリーニングテストは、時間もかからず、簡単にでき、多くの医療機関で実施可能な上に、費用も安くて、医師の偏見が介入することもない、と研究者達は述べている。[Geller DA, Doyle R, Shaw D, et al. Compr Psychiatry 2006; 47(3):234-240.]


The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, July 2006
Reproduced with permission of John Wiley & Sons, Inc.
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