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Q1. 「総合的な学習の時間」はなぜ創設されたか?

A.  ■ポイント
  1. 変化の激しいこれからの社会に「生きる力」の育成を目指す。
  2. 自ら学び、自ら考える主体的な学習態度を育てる。
  3. 学校で学ぶ「知」と生活との統合を図る。

 ■解説
  1. 変化の激しいこれからの社会に「生きる力」の育成を目指す。
    これからの教育にとって必要なのは、社会の変化に主体的に対応できる子どもの育成である。そのため、国際理解や情報、環境、福祉などの社会生活にみられる課題を追求することによって、豊かな人間性や社会性、国際社会に生きる資質や態度を身につけることが重視されなければならない。

  2. 自ら学び、自ら考える主体的な学習態度を育てる。
    「総合的な学習の時間」は、何よりも子ども一人ひとりが課題を見つけ、自ら学び、自ら考える主体的な学習態度を身につけることが必要である。また、そうした学習活動を通して、学び方やものの考え方、問題追求の方法、豊かな創造性や感性を身につけることがねらいとされる。

  3. 学校で学ぶ「知」と生活との統合を図る。
    これまでの学習はとかく知識偏重に陥って、学校で学んだことが社会生活に生きてはたらくことが十分でなかった。そうした学習傾向に対して総合的学習は、体験活動などを主体にした生活の問題を追及することによって、学校で学んで得た「知」を生活に生かすなど、「知の総合化」が図られることが期待されている。

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Q2. 総合的学習を教育課程にどう組み込めばよいか?

A.  ■ポイント
  1. 学校が目指す子ども像を明らかにする。
  2. 総合的学習のタイプや内容を明らかにし、特色を出す。
  3. 実施時期を工夫して、集中的に取り組ませる。
  4. 柔軟な時間割の設定ができるようにする。
 ■解説
  1. 学校が目指す子ども像を明らかにする。
    これからの学校は、学校の創意工夫による特色ある教育、特色ある学校づくりが求められるようになる。そのためには、学校独自の特色ある教育を通して、子どもたちがどのような人間になっていくのかを具体的に明らかにすることが必要である。そして、主体的に「生きる力」を、子どもたちが身につけることが最終的な目標となる。

  2. 総合的学習のタイプや内容を明らかにし、特色を出す。
    上記の「目指す子ども像」に子どもたちが近づけるような、「理念と実践」を結びつける方策を工夫する。例えば、地域にみられる様々な課題から現代的課題に結び付けたり、あるいは、総合的学習を一つの課題で完結するのではなく、複数の課題を用意し、子どもたちがそれらを段階的に学習することで「目指す子ども像」を達成できるような方法もある。

  3. 実施時期を工夫して、集中的に取り組ませる。
    一年間を見通したスケジュールが必要となる。そのとき、子どもに余裕を持たせつつ、継続的に学習活動に関われることが望ましい。例えば、最初にふれ合いの場を設定して、子どもが自己課題を見出しやすくしたり、長期休暇に実際の学習活動に取り組ませたり、さらに2学期には、まとめと発表の仕方を学ぶなども一つの方法である。

  4. 柔軟な時間割の設定ができるようにする。
    総合的学習では子ども自身の体験を重視しており、探究活動や体験学習の時間を持つこと必要である。時間割は従来の1教時45分や50分ではなく、例えば2教時連続で設定したり、活動内容次第では1日に集中的に取り組めるようにすることも有効であろう。また、子どものやりたい意欲や発展的な課題設定に合わせて変更できるような柔軟性も必要である。

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Q3. 総合的学習はどう構想すればよいか?

A.  ■ポイント
  1. 課題解決型の学習をイメージする。
  2. 子どもの興味・関心や問題意識を中心に構想する。
  3. 必要に応じて変更できるような、柔軟なプランにする。
  4. 学年チームでの話し合いを十分行い、企画していく。
  5. ネットワークをフルに活用して、体験学習先を開拓する。
 ■解説
  1. 課題解決型の学習をイメージする。
    自ら課題を見つけ、よりよく課題を解決する能力を育成し、ゆとりをもって、課題に取り組む態度を生み出すことが必要。子ども個々が課題発見することを重視し、その課題についての情報を集めたり、まとめ方や、発表・討論の力を習得させることが、総合的学習の構想の中心となる。

  2. 子どもの興味・関心や問題意識を中心に構想する。
    子どもが地域などでの体験活動や様々なふれ合いの場で、どんなことに興味・関心を持ったか、教師は十分留意することが大切である。いわば、子どもの興味・関心に教師が興味・関心を持つことが大切で、そこから子どもの問題意識を高めていく。

  3. 必要に応じて変更できるような、柔軟なプランにする。
    子どもたちの体験的な課題解決が総合的学習の中心になるので、計画を立て実行することは難しい。例えば、予定していた体験学習が行えないこともある。そこで、教師たちがある程度の体験学習先を見通して、相手先の事情に沿うような学習計画も必要になる場合もある。各家庭や地域に広く周知徹底することが基本である。

  4. 学年チームでの話し合いを十分行い、企画していく。
    計画を立てるときに話し合いの場を持ち、事前に教師たちの間で共通理解を図る。また子どもたちの学習活動の段階でも、教師たちがそれまでの成功点や問題点を持ちより、計画の修正などを行えるようにする。

  5. ネットワークをフルに活用して、体験学習先を開拓する。
    上記3とも関連する。学校の所在地域(校区)だけでなく、様々なネットワークを利用し、体験学習先を開拓するのが望ましい。学習の場が多様になり、広がることで、子どもの興味・関心により応えられるようになることが望ましい。

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Q4. 実践に向けた教職員の協働体制づくりをどう進めるか?

A.  ■ポイント
  1. 全教職員がかかわる協働体制づくりを進める。
  2. 学年主任などをリーダーとして、効果的な推進を図る。
  3. 教師それぞれの特質を生かしたティーム・ティーチングで実践する。
  4. 保護者・地域との連携や協力関係を重視する。
 ■解説
  1. 全教職員がかかわる協働体制づくりを進める。
    総合的学習は、地域に根ざすその学校独自の学習形態である。教科書がない。教師は指導経験がない。そこで必要なのは、それぞれの教職員が総合的学習への認識を高め、協働で遂行しようとする意識である。そのため、このような総合的学習をしたいという、それぞれの教職員の発案が大切にされ、それに基づいて話し合いがなされ、総合的学習の形が除々に生まれていく。

  2. 学年主任などをリーダーとして、効果的な推進を図る。
    その場合、学校一斉は難しい場合がある。そこで各学年で取り組むなど、学校組織を小集団化して、コミュニケーションが行いやすくする。当然、学年主任がチーフになる。 ただし、学校の課題について精通した教師がいれば、活動内容などのリーダーはその教師がなってよい。コンピュータの指導は若い教師がリーダーとなり、ベテランの女性教師は主任として全体を見ながら支援に回るなどが行われても良い。

  3. 教師それぞれの特質を生かしたティーム・ティーチングで実践する。
    教師それぞれも得手・不得手があったり、上手・下手がある。ただ、これまでの学校は、教師を教科の専門とみなして、その他の得意技を活用してこなかった傾向がある。国際理解、情報、環境、福祉、健康など、それぞれについて得意な教師がいるかもしれない。そうした教師の優れた特質を生かすのも総合的学習では大切である。その上で、教師間のティーム・ティーチングを多様につくり、効果的な実践を進めたい。

  4. 保護者・地域との連携や協力関係を重視する。
    総合的学習では、保護者・地域との連携や協力関係を強めることが最も大切である。地域には様々な生産活動などで、知識や経験、ものの考え方の豊富な人材がたくさんいる。これからの学校は、そうした人材について、ゲストティ−チャ−として学校に招くだけでなく、子どもたちが地域に出かけて多くの人材から学ぶようになる。そのことを学校が積極的に進める必要がある。

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Q5. 学年内の協働体制をどうつくればよいか?

A.  ■ポイント
  1. 取り組む課題について意識の統合を図る。
  2. 子ども主体の活動について相互に協力し支援体制をつくる。
  3. 必要に応じて打ち合わせを行い、子どもの活動状況を把握する。
  4. 個別対応がよく行われるように、子ども個々の取り組みについて連携する。
 ■解説
  1. 取り組む課題について意識の統合を図る。
    何よりも学年がまとまって課題を設定し、学級を越えた子どものグループなどができやすくなるよう配慮する。そのためには教師間の共通認識や指導・援助が基本になる。課題設定について学年内でよく話し合い、試行錯誤しながらも、子ども個々が自己課題を見いだせるように相互に協力しながら援助することが大切である。

  2. 子ども主体の活動について相互に協力し支援体制をつくる。
    総合的学習の活動の基本について、例えば(1)課題を発見する、(2)課題を追究する、(3)まとめと発表を行う、などのように共通認識し、そうした活動のプロセスにおいて教師個々がどのように子ども個々に働きかけるかなど、教師の支援のあり方についても相互に学び合い、協力し合う雰囲気をつくる。

  3. 必要に応じて打ち合わせを行い、子どもの活動状況を把握する。
    子ども個々の課題追究は校内のみでなく、地域に広がったりすることから、学級でまとまって行われる学習活動は少なくなる。そのため、個々の子どもの学習活動が見えにくくなることから、必要に応じて打ち合わせを行い、子ども個々の活動状況について情報交換や意見交換を行うことが大切である。

  4. 個別対応がよく行われるように、子ども個々の取り組みについて連携する。
    総合的学習は、自ら学び、自ら考える、と言われるように、どの子どもも学習態度や学習の仕方を身につけることが目指されている。そこで何よりも個別対応が大切になる。どの子にはどのようなアドバイスを、どの子には活動の場面でどう援助するかなど、細かな指導のあり方について学年内で話し合い、教師相互が学び合う雰囲気をつくるようにする

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Q6. 子ども主体の学習活動をどう支援したらよいか?

A.  ■ポイント
  1. 子どもが課題を見いだせるように、出合いの場をつくる。
  2. 子どもの課題発見については、子どもの興味・関心に教師が興味・関心を持つことが大切である。
  3. 課題追究のために、学級内やグループ内などの協力関係が高まるようにする。
  4. 学習活動を広げたり、深めたりするためにファイルを持たせ、情報の収集や学習成果がわかるようにする(ポートフォリオ学習)。
 ■解説
  1. 子どもが課題を見いだせるように、出合いの場をつくる。
    学校が決めた課題に対応して、子ども個々がどのような自己課題を発見するかは極めて重要である。その場合、何もないところから課題を見つけることは難しいのは当然であって、川辺へ連れていって環境問題に気づかせたり、外国人を招いて国際理解への関心を高めるようにする。

  2. 子どもの課題発見については、子どもの興味・関心に教師が興味・関心を持つことが大切である。
    総合的学習では、自ら課題を見つけることが基本であるから、最初に出合いの場をつくり、やりたいこと発見に導く。その場合、子どもの自己課題が幼稚でもその子はこのような課題に興味・関心があるのだ、と考えて子どもの興味・関心に教師が興味・関心を持ってほしい。子ども自ら見いだした課題が、やがて優れた課題を生み、追究活動も高まっていくからである。

  3. 課題追究のために、学級内やグループ内などの協力関係が高まるようにする。
    子ども個々が課題を発見したあと、学級で話し合ってみると、似た課題を見いだしている子どもがいる。そのような場合には、チームやグループを作って、相互に協力し合う関係をつくる。課題追究を手分けして行ったり、発表の仕方を分担するなど、仕事を通した仲間づくりを推進する。

  4. 学習活動を広げたり、深めたりするためにファイルを持たせ、情報の収集や学習成果がわかるようにする(ポートフォリオ学習)。
    子どもが学習活動を行う場合、是非ファイルを持たせたい。学習計画、収集した資料や情報、写してきた写真、新聞の切り抜き、学習プロセスでの感想などをファイルする。そのような学習活動をポートフォリオ学習と呼んでいる。最近はポートフォリオ評価がさかんに言われているが、活動プロセスに応じたポートフォリオ学習は教師が評価する場合に便利なものである。

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Q7. 体験活動はどう組めばよいか?

A.  ■ポイント
  1. 自分が体験できる学習活動の仕方について学ばせる。
  2. 問題解決的な学習課程を仕組む。
  3. 課題に応じた体験活動ができるようにする。
  4. 自分で体験活動できる機会や場を広げる。
 ■解説
  1. 自分が体験できる学習活動の仕方について学ばせる。
    これまでの体験学習は教師が子ども全員を引率して行うことが常であった。総合的学習では、子どもそれぞれの課題が違うことから、個人やグループで地域の中で体験活動することが多くなる。その場合、訪問する相手に電話でアポイントする、聞きたい内容をしっかり通させるなど、子ども個々が身につけることが大切である。

  2. 問題解決的な学習課程を仕組む。
    体験学習する場でどのようなことを行えばよいかを考えるために、子どもは自分の行う学習活動の見通しをもっていることが大切である。例えば、自己課題はこうだから知りたいことは何か、そのためにどのような場所のどんな人を訪問したらよいかなど、基本が問題解決的な学習活動であることがわかることである。

  3. 課題に応じた体験活動ができるようにする。
    問題解決的な学習スタイルを知っていると、自己課題に応じてどのような体験活動をすればよいかなどがわかり、次々に追究が発展していく。その場合、課題追究が自分の意欲から生まれることが大切であって、子ども個々の学習活動を大切にして教師は適切なアドバイスを行うことである。

  4. 自分で体験活動できる機会や場を広げる。
    子どもは課題追究が面白くなると、土曜日や日曜日、あるいは夏休みに親にお願いして体験活動を行ったりする。親子共学が行われることもある。また、どこか旅行した機会を使って体験活動を行う場合もある。その基本は課題追究が面白くなることで、自分で体験活動できる機会や場を広げることは大切な学習である。

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Q8. 地域の人材や施設などをどう活用すればよいか?

A.  ■ポイント
  1. 総合的学習は学校のみで行うという考えをやめ、地域を生かす方策を考える。
  2. 地域の人材の持っている知識や経験、ものの考え方を活用する。
  3. 子どもが自然体験、社会体験できる機会を多く設定する。
  4. 地域の人材や施設の活用について学校や教育委員会が地域に周知徹底する。
 ■解説
  1. 総合的学習は学校のみで行うという考えをやめ、地域を生かす方策を考える。
    これまでの学校教育は、自校の子どもたちを自校の教師が教えるということで進められてきた。しかし、多様な課題や地域の生活課題を学ぶ場合、学校のみではとうてい無理である。例えば、生産活動にしても、海のテーマにしても、教師の持つ知識は僅かなものであって、しかも教師がそれらをすべて知ろうとすればますます多忙になってしまう。また、その必要もない。

  2. 地域の人材の持っている知識や経験、ものの考え方を活用する。
    地域には、生産活動など、多様な分野で知識や経験を持ち、ものの考え方の優れた人がたくさんいる。そのような知識や経験を総称して「ナレッジ(知識)」と呼ぶが、地域の人材を活用したり、施設・設備を活用して幅広く学ぶことができれば子どもが個性的な学習体験を広げられる。ナレッジ・マネジメントが総合的学習の基本である。ゲスト・ティーチャーはその一環である。

  3. 子どもが自然体験、社会体験できる機会を多く設定する。
    総合的学習の場として、地域にはどのような体験活動の場や施設などがあるかをおおよそ調べておく。それを教師が知って子どもに指導するのではなく、子どもが活用できるかどうかが重要なのである。総合的学習は自ら学ぶことが基本であるから、できるだけ自然体験や社会体験できる機会を多く設定したい。

  4. 地域の人材や施設の活用について学校や教育委員会が地域に周知徹底する。
    総合的学習の考え方や実施の仕方が、地域に広がることを地域の人達に知ってもらうことが極めて重要である。子どもが突然現れても、総合的学習をやってるんだ、という人々の理解があれば子どもは学習しやすい。そのためには、学校のみでなく、教育委員会も地域に周知徹底を図る。そのようにして地域全体が学びの場になり、さらに安全な場になることである。

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Q9. 表現力を高める学習活動にどう取り組めばよいのか?

A.  ■ポイント
  1. 表現の対象を明らかにし、相手意識を持たせる。
  2. 体験活動でのそれぞれの成果を交流する機会を設定する。
  3. 全体発表の機会を持ち、より良い表現の仕方を学ばせる。
  4. 卒業に際して論文を作成し、学習の足跡を後輩たちに伝えさせる。
  5. 家庭や地域にも伝える。
  6. 区(市)役所に提言する。

 ■解説
  1. 表現の対象を明らかにし、相手意識を持たせる。
    発表の際に他のグループに内容が十分に伝わるように、表現の方法を工夫し、そのために写真や資料を適宜活用させるのが良い。そのためには、どんな表現活動を準備するのか、そのためにどのような情報を収集するのかを、体験活動の前に明らかにする必要がある。

  2. 体験活動でのそれぞれの成果を交流する機会を設定する。
    例えばテーマごとの小さな発表会を設定し成果を持ち寄ることで、お互いの研究活動の向上につながるようにするのも良い。

  3. 全体発表の機会を持ち、より良い表現の仕方を学ばせる。
    例えば、全体発表会を学校行事の一環として位置づける。1年生は2年生や3年生から発表や表現の方法を学ぶことができる。また、子どもの発表意欲も一層高まることが期待できるため、表現や発表の方法も個性的になるなどの向上が期待できる。

  4. 卒業に際して論文を作成し、学習の足跡を後輩たちに伝えさせる。
    研究成果を卒業前に論文としてまとめることも、表現活動の一環として有効である。後輩たちへの参考資料になるだけでなく、自分の学習の体験を書きとめることは「自分探しの旅」を支援する方法として有効だからである。

  5. 家庭や地域にも伝える。
    調べたり、話し合ったり、まとめたりした成果を、家庭や地域の方々にも知らせ協力を仰ぐ(課題によって)。

  6. 区(市)役所に提言する。
    例えば、環境宣言(今、わたしにできることなどとして)をする。

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Q10. インターネットで学ぶ力をどう育てていけば良いのか?

A.  ■ポイント
  1. 新しいコミュニケーションのスタイルを体験させる。
  2. テーマに沿って必要な情報を収集する力を育てる。
  3. 体験したことについて情報を発信する力を育てる。
  4. 外部から評価してもらえる良さを生かす。

 ■解説
  1. 新しいコミュニケーションのスタイルを体験させる。
    学校の中だけの活動だけでなく外部との接触も、子どもたちの学習意欲の向上に役立つ。特に情報収集、情報発信の場としてのインターネット上でのコミュニケーションを子どもが経験することは、今後の時代に学ぶ力を育む意味では必要な事柄である。

  2. テーマに沿って必要な情報を収集する力を育てる。
    インターネット上の「生きた情報」をより良い学習活動に生かすには、適切な情報をいかに収集し、それをいかに効果的に活用するかがポイントとなる。コンピューター室にコンピューターの操作技能に優れた教師を配置し、生徒の充実した活動を保障できるようにしておくのが望ましい。

  3. 体験したことについて情報を発信する力を育てる。
    自作ホームページ活用の一例として。例えば体験活動を通じて感じたことや考えたこと、主張したいことをホームページに載せるなどすると、情報の発信に際して工夫をするようになる。それにより、情報発信の力が育まれる。

  4. 外部から評価してもらえる良さを生かす。
    総合学習に限らず、例えば芸術系の科目の時間に作成した作品を紹介するためにホームページを作成し、ネット上の人々に感想を求めるなどの活動が考えられる。

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Q11. 総合的な学習の時間の教育課程上の位置付けや授業数は?

A.  ■ポイント
  1. 教育課程上では必置の時間。
  2. 年間総授業時数は配当されているが、週単位では配当されていない。

 ■解説
  1. 教育課程上では必置の時間。
    小・中学校の教育課程は、国語や算数(数学)などの各教科と、道徳,特別活動の枠外として、総合的な学習の時間によって編成されるものとなっている。総合的な学習の時間は必ず設置しなければならない時間である。ただし、何学年で何を指導するというような内容は示されていない。各学校が創意工夫を生かし、教科等の枠を超えた横断的・総合的な学習などを展開することになるので、詳細な規定項目はない。

  2. 年間総授業時数は配当されているが、週単位では配当されていない。
    小学校第3学年・第4学年が年間105単位時間,第5学年・第6学年が年間110単位時間配当されている。中学校では各学年最低で70時間、最大で第1学年100時間、第2学年105時間、第3学年130時間配当されている。毎週一定時数を割り振るだけでなく、子どもたちの学習が効果的に展開されるように、各教科との関連を図ったりして、配当するのが良い。例えば、特定の時期に集中的に実施したり、体験学習などの活動時間を確保しやすくするために、2時間連続で設定したり、場合によっては1日に集中的に実施するなどの工夫が考えられる。1年間を見直し弾力的に時数配当をする。

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Q12. 総合的学習の評価はどうすれば良いのか?

A.  ■ポイント
  1. 数値的な評価はせず、学び方、ものの見方・考え方、態度などについて評価をする。
  2. 総合的学習のねらいを明らかにして、評価の観点を決める。
  3. ノートの記述や報告書を使って、その都度評価していく。
  4. 教師の具体的なコメントでフィードバックする。

 ■解説
  1. 数値的な評価はせず、学び方、ものの見方・考え方、態度などについて評価をする。
    この時間の趣旨、ねらいなどの特質が生かされるよう、教科のように試験の成績によって数値的に評価することはせず、活動や学習の過程、報告書や作品、発表や討論などにみられる学習の状況や成果などについて、児童、生徒の良い点、学習に対する意欲や態度、進歩の状況などを踏まえて適切に評価することとし、例えば指導要録の記載においては、評価は行なわず、所見などを記述することが適当である。

  2. 総合的学習のねらいを明らかにして、評価の観点を決める。
    一連の学習・探究活動の段階毎に観点を決め、評価する方法が考えられる。例えば、「問題把握」の段階ではその着眼点について、あるいは「成果発表」の段階では、その発表・表現方法が十分に適切であり、内容が伝わったかどうかなどの観点に注目する。そして、子どもによる自己評価を加味することも必要だろう。

  3. ノートの記述や報告書を使って、その都度評価していく。
    子どもの学習・探究活動の過程で記入されたノートや、最後のまとめとして書かれたレポートや論文を参考にして子どもの学習状況を把握し、それに応じたコメントや評価を教師がつけて返却するなどの方法が考えられる。

  4. 教師の具体的なコメントでフィードバックする。
    上記3とも関連する。子どもの学習・探究活動の過程で、次の活動につながるような改善点や、その時点での活動で振り返るべき点などを、教師がコメントするように心がけたい。

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Q13. 総合的な学習の時間のねらいは?

A.  ■ポイント
  1. 〔生きる力〕を育てること。
  2. 自己の生き方を考えることができるようにすること。
  3. 様々な知識や技能を関連付けて総合的に働くようにすること。

 ■解説
  1. 〔生きる力〕を育てること。
    横断的・総合的な学習や児童の興味・関心等に基づく学習などの過程を通じて、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、よりよく問題を解決する力(これらをまとめて〔生きる力〕と表現する)を子どもが育てることにある。

  2. 自己の生き方を考えることができるようにすること。
    学習活動の過程で、情報の集め方、調べ方、まとめ方、報告や発表・討論の仕方などの学び方やものの考え方を身に付け、問題解決に向けての主体的、創造的に取り組む態度を育成することにある。また、それらを踏まえて、自分の考えや意見を持ったり、自分の良さに気付き、自分に自信を持ったりするなどして、自己の生き方について考えることができるようにすることも、ねらいの一つにある。

  3. 様々な知識や技能を関連付けて総合的に働くようにすること。
    各教科などで身に付いた知識や技能を相互に関連づけ、総合的に働くようにすることを目指す。学校で学ぶ知識と生活との結びつき、知の総合化の視点を重視し、各教科などで得られた知識や技能等が、子どもの生活において生かされ総合的に働くように支援することが大切である。

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Q14. 総合的な学習の時間の学習活動はどのようなものになるのか?

A.  ■ポイント
  1. 総合的な学習の時間の趣旨やねらいに即した活動。
  2. 子どもの興味・関心に即した内容。
  3. 地域の教材や環境に学び、校外に学習成果も発表し、地域の人々の協力も必要。

 ■解説
  1. 総合的な学習の時間の趣旨やねらいに即した活動。
    既に、文部省から示されている通り。時間の趣旨やねらいに即した活動であればどのような内容であっても構わない。あくまでも、学校の創意工夫を生かした教育活動を子どもの興味・関心に即して子ども自らが展開できるように支援することが必要である。活動の形では、自然体験やボランティア活動などの社会体験、観察・実験、見学や調査、発表や討論、ものづくりや生産活動など体験的な学習、問題解決的な学習など、地域社会との関連で進められる学習活動が多くなると考えられる。

  2. 子どもの興味・関心に即した内容。
    各学習単元や課題毎の具体的な学習テーマや学習方法などは、例えば、国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題、子どもの自らの課題意識や興味・関心に基づいて、地域や学校の特色に応じた課題など、学校の実態に応じた学習活動を選択・設定できるようにする。ただし、年間の指導計画や指導体制は学校・全教師が一体となって定め、指導にあたるなどの工夫をすることが必要。

  3. 地域の教材や環境に学び、校外に学習成果も発表し、地域の人々の協力も必要。
    地域の教材や学習環境を取り入れ、グループ学習や異年齢集団による学習などの多様な学習形態を工夫し、地域の人々から様々な協力を得ながら学び、その成果は幅広く学校外にも公表することが大切となる。それは、子どもが学習過程で社会との関わりを実感するためには、地域の人々などの理解が必要となるからである。保護者や地域の人々、公共機関などの協力なしでは、成果はあがらない可能性がある。

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