今から10年ほど前、初めてパソコン通信というものを体験しました。パソコン通信は、草の根ネットなど相手の顔の見える範囲での情報交換が魅力でした。現在、インターネット教育利用の共同研究を進めているメンバーのほとんどとは、地元の草の根ホスト局で知り合いました。インターネット教育利用で全国的に活躍している小学校の先生方がいます。これらの先生方、実はインターネットが今日のようにブレークする前から、直接の知り合いだったり、ハンドルネームは知っていたという人がほとんどでした。コンピュータをネットワークに接続し、コミュニケーションの道具として使う文化を持っていた先生方が、今日、インターネットの教育利用の実践を支えています。 1) 鈴張小学校UUCP接続プロジェクト・100校プロジェクト 1994年、広島市立鈴張小学校と共同で小学校をインターネットに直結する試みを実施しました。95年から通産省・文部省の100校プロジェクトが始まりました。「中国・四国インターネット教育利用研究会」を組織し様々な共同プロジェクトを展開しました。 2) 千羽鶴プロジェクト・子ども千羽鶴プロジェクト 被爆50年の1995年、鈴張小とカリフォルニア・アリアンザ小学校のメッセージ交換から始まった千羽鶴プロジェクトは多くの学校間の平和学習プロジェクトしてひろがりました。96年広島市立長束小学校が展開した子ども千羽鶴プロジェクトでは、数万羽の折り鶴が世界中から届けられ、平和集会の会場は折り鶴で埋め尽くされました。 3) NTTこねっとプランとインターネット俳句の会 昨年から始まったNTTこねっとプラン。100校の鈴張小学校とこねっとの呉市立三坂地小学校を生中継で結んでインターネット俳句の会を実現させました。 インターネットそのものは子どもにとってはVirtualなメディアです。先方から届いた電子メールを先生が印刷して子どもたちに見せるという段階の交流もVirtualの域を出るものではありませんでした。 子どもたちのインターネットを通した呼びかけが、体育館を埋め尽くす折り鶴として実を結んだ時。自分の作った俳句に離れた教室の子どもが生中継で感想を言ってくれた時。そこにあるものはVirtualな世界の虚無でなく、実感をともなった感動ではなかったかと思います。Your Virtual comes true! インターネット教育利用の可能性はVirtualな世界から相手を通して実感をともなった感動を創造するところにあると思います。 |