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●探訪・子ども研究室-10-
(2005年10月28日)

今月のナビゲータ:佐藤朝美さん(東京大学大学院学際情報学府修士課程1年)

学習環境の最先端の研究室

私が所属する山内研究室は、本郷キャンパスの片すみの暫定の建物にあります。暫定といいつつも、研究室の中は、他の学生が羨ましがるほど素晴らしい環境に仕上げられています。コンピュータからプロジェクタやスキャナー、ビデオやデジタルカメラの備品に至るまで、情報通信(ICT)環境が自然に使えるように整備されていることに加え、学習に関わる書籍なども数多く備わっており、体系的に整理整頓されています。テーブルや本棚、インテリアなども実にシンプルかつ美しく配置されています。

この研究室では、情報通信技術を学びの場に導入する際に、学びを支える環境(空間・活動・共同体・人工物)をどうデザインすれば学習を有効に支援できるのかを、実践的研究の中で明らかしていくことを志しています。まさに研究室自体も学びの場としてデザインされているわけです。


BEATの多様な活動

研究室における取り組みの1つに、2004年に始動した「東京大学大学院情報学環・ベネッセ先端教育技術学講座」(Benesse department of Educational Advanced Technology:BEAT)があります。BEATでは、携帯端末と学習とを結びつけ、新しい利用法を探っています。BEATの研究内容や、モバイル・ユビキタス技術の教育利用に関する最新動向はメールマガジン形式で月1回配信されており、最近では「5分でわかる学習理論講座」のコーナーが設けられ、私たち院生に大変参考になる内容になっています。公開研究会「BEAT Seminar」では、2005年度には「デジタル教材の系譜・学びを支えるテクノロジー」というテーマで、歴史的に著名なマルチメディア教材のレビューが行われています。

BEATの活動の一環であるプロジェクトには、新しい教育向けインターフェイスを提案した「モノ語りプロジェクト」、親子で取り組む科学実験教材「OYAKO de SCIENCE」や、小学校における携帯を使った授業の取組みなどが展開され、活気のある活動が行われています。


取り組んでいる研究から

研究室の院生は、幅広い領域でかつ幼児からシニアまでという幅広い年齢を対象とした学習環境に関する研究を行っています。また、大学院入学までの経験も様々で、心理学・教育学・情報工学など幅広い分野の人材が集まっています。

そんな中、私は幼児にとってのコンピュータメディア環境の最適なあり方について追求しようとしています。私は子育てをしている中、幼児を取り巻く環境において、メディアの存在の大きさを実感すると共に、その影響について考えるようになりました。特に、最近は、幼児を対象としたコンピュータメディア商品が多数見られるようになり、親として、その影響はいかなるものか、問題意識を持っています。また、メディア環境の変化によって学校教育のあり方も変わりはじめていますが、実際に、多くの子どもたちは、小学生以前の未就学園児時代にコンピュータメディアと出会っています。こうした現状からも、幼児とコンピュータの関係について、より多く検討される必要を感じています。

子どもを単純に楽しく喜ばせるものではなく、かといって、詰め込み学習をするのでもない、真の学びにつながるコンピュータメディア環境はいかなるものか、幼児とコンピュータとの良い関係はどのようなものか、探求をしていきたいと考えています。

研究室では、研究の方法論に関する学習のサポートや、春合宿・夏合宿を中心とした補完カリキュラムが組まれています。私は教育学の分野は本格的に学習する機会がありませんでしたので、こうした補完カリキュラムからの恩恵を存分に授かっています。先人の築き上げた学習理論や方法論について学ぶことで、研究の基礎を少しずつ身につけています。

また、他の院生の皆さんとはジャンルや対象年齢は異なるものの、"学び"という強い絆で結ばれており、様々な視点からのアドバイスや鋭い指摘を受けることが出来ます。このような充実した人的環境の中で、刺激を受けながらも、自分の考えの浅さを思い知らされることも多々あり、悪戦苦闘の日々を過ごしています。


研究室の裏話

研究室のメンバーのほとんどは、ソーシャルネットワークと言われる、インターネット上のコミュニティサイトに参加し、情報交換を行っています。山内先生も参加されており、東京大学本郷キャンパス近辺のおいしい食べ物などの情報を公開されています。メンバーはその情報をもとに食べ歩きを楽しんでいます。

また、メンバーの中に私を含め子持ちのお母さんが3人います。子どもの年齢(親の年齢も)は離れていますが、同じような環境の学生がいることは大変心強いものです。育児ネタなどを語り始めると止まらなくなります。3人とも一人息子なので、「どうして男の子って・・・」のような話は尽きません。


これから・・・

幼児は、学習効果を明確に計れる高学年以降と比べると難しい研究対象ですが、これからのICT社会においては、生まれたときからの発達段階に合わせたあり方が検討されるべきではないかと感じます。そして、教育は発達段階に合わせて考える必要はあるものの、トータルな視野を持つ必要もあると考えています。ICTと教育の真のあり方を幼児期から大人まで検討していける最も良い環境、まさに山内研究室はそのような環境であると私は信じています。

さらに現在、研究室ではBEATにおいて、ベネッセとノウハウを出し合いながら新しい学びのスタイルを提案している状況にあります。こうした取り組みの成果をさらに反映しながら益々充実していくことと思います。このような研究室で、院生活を存分に謳歌していきたいと思います。


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東京大学大学院学際情報学府 山内祐平研究室
*ホームページはこちら
*東京大学大学院情報学環・ベネッセ先端教育技術学講座(Benesse department of Educational Advanced Technology:BEAT)のホームページはこちら
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