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ジェイ・ベルスキー博士講演会
(1997年10月31日 CRNでの講演より)
Human Development at Penn State University

ジェイ・ベルスキー博士

 ペンシルバニア州立大学人間発達学教授(Distinguished Professor)。子どもの発達と家族研究の分野の第一人者としてアメリカ国内だけでなく海外でも広く知られている。これまでに200を越える論文と、何冊かの著書が発表されている。もっとも新しいものは、The transition to parenthood: How a first child changes a marriage (Delacourt, 1994)(日本語訳:子どもをもつと夫婦に何が起こるか・草思社)である。
 ベルスキー博士は1952年、ニューヨーク市に生まれ、ロングアイランド近郊で育った。ニューヨークにあるヴァッサー・カレッジ在学中の研究により学士号、1974年コーネル大学院に進み、子どもの発達に関する研究で修士号を授与され、1978年、人間発達と家族に関する研究で博士号をとられた。
 この20年間、ペンシルバニア州立大学で研究を続け、1996年、Distinguished Professorshipを授けられ、現在も御活躍中である。様々な視点から家族のライフサイクルにおける早い時期に焦点をあてた研究を行っている。とりわけ、子どもが生後1年という時期での結婚の相互関係、親になることや乳児の発達、託児やアタッチメント・セキュリティなどについて注目し、アメリカで反抗期と呼ばれている2歳児に関する研究へと引き継いでいった。更に、託児が乳幼児の発達にどのような影響を与えるか、という大規模な研究プロジェクトにも参加している。ベルスキー博士の研究は、母親だけでなく父親に注目し、親子関係同様結婚そのもの、更には家族の相互関係のパターンを自然な状態で観察するという点で特徴的である。





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 多くの家庭では、子どもが生まれた後、母親が家庭の外で働くか否かで、非常に難しい選択に迫られる。残念ながら、多くの母親の場合、状況が許さず、働かざるを得ない。米国における最近の研究によれば、母親以外の保育は、生後6カ月から36カ月の母子関係をややぎくしゃくしたものにする恐れがあるという。但し、母親以外の保育の時間が、母子関係に悪い影響を与えるということでは、必ずしもない。もっと言えば、母親以外の保育の質が、高ければ高いほど、よりよい母子関係を築くことも指摘されている。質の高い保育は、言語発達や認知発達を促進する(この際、保育の時間は関係ない)。保育の質とは、子どもが如何に思いやりのある、かつ個々に注意を払われているかによる。これが意味するところは、必ずしも一対一の保育がよいということではない。むしろ、子どもによって違うニーズを持つことを認識しつつ、保育者が個々の子どもの必要や願望にあった注意を与えてあげるべきということである。すなわち、日常的に母親以外の保育に頼っている親は、保育の質の高さを求めるべきである。


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