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第1回CRN子ども学シンポジウム
「中高生のデジタルな友達づくり」

慶應大学教授 石井威望先生
基調報告に寄せるビデオより


●キーワードはモーバイル
 このプリクラには私も大変驚いたわけですが、この1年ぐらいで起こった一つの大きな社会変化だと思います。特に若い女性が大部分で、圧倒的な人気でみんなやっておられる。その意味で考えますと、こうした人々がやがてオフィスで働くようになり、あるいは大学へ進学し、また10年ぐらいたつと、多分お母さんになるわけで、プリクラホームなんていうことも将来考えられるかもしれません。

 とにかくプリクラ自身は、かつてのテレビの普及と同様に、まだ街頭の特殊な場所でみんながみているという状況かもしれません。しかしこれは、ビデオでいえばホームビデオのような形でどんどん家庭に浸透していく、あるいは海外にももっと広がるのではないでしょうか。かつて携帯電話やPHSもそうでしたが、これは非常に普遍的な人類が求めている道具じゃないか、そんな気がするわけです。

 つまり、大きな変化というのは、人々が時代に対して普遍的に求めている部分が解放されたということではないか。そのように見ますと、アジアだけでなく世界中でプリクラ的なことーー要するに、電子的なメディアから、ある意味ではちょっと古いかもしれませんが、紙の上にプリントするということに人類は大変な喜び、新しいライフスタイルを見出しているのかもしれないと思うわけです。

 そのように、これを、時代がどういうトレンド、流れにあるかということの一つのシンプトーム、症状、シグナルとして考えるとすれば、やはり一つの重要なキーワードは”モーバイル”、”動き回る”ということだと思います。

 プリクラも、あまり大きな絵だと持って歩けないわけですが、小さいのでアルバムや手帳のような形で持って歩くことができる。そのあたりモーバイルですね。あるいはマイクロコミュニケーションというか、人々は動き回りながら、お互いに出会ったといにそれを見せ合ったりするということが現実にあるわけです。

 こういうことを日常的に、毎日毎日、人々がたくさんトレーニングしている。モーバイルコミュニケーションというのは、通常、携帯電話やPHSですが、そういう従来のものに加えてプリクラのようなものも加わってきて、今、将来の本格的な変化へのウォーミングアップをしているようにも考えられるわけです。

 ではその結果、どうなるのかということになりますが、私は世の中全体のスピードやカレンダーの動きが猛烈に速くなるのではないかと考えます。最近”ウエップイヤー”という言葉がよく使われます。ウエップというのは、インターネットのようなネットワークのことですが、このウエップイヤーというのは、大体3ヵ月が1年という感じで、4倍ぐらいのスピードじゃないかといわれています。ですからたった1年でプリクラがこうなったと言うけれども、ウエップイヤーでは4年ぐらいかかってこうなったという感じにもなるわけです。従って、どんどん変わる、こういうプリクラ現象みたいなものは、ウエップイヤーの中では非常に大きな意味を持ちます。

 事実、プリント倶楽部のインターネット版は「放課後倶楽部」と呼ばれているものですから、1人の人間がポケベル、PHS、携帯電話と、何役もやっているわけで、将来大人になったときに、お互いがウエップイヤーをベースに、大変な社会的行動をするだろうーー例えば生産性がグンと上がるとか、あるいは今まで非常にさまざまな対応ができるということが起こってくるのではないかと思います。

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