発刊宣言 |
「子ども」の再発見のために |
我々大人たちが、しばしば語る言葉に「最近の子どもが見えなくなった」ということがあります。
このことばの根拠としては、年々の出生率の低下によって、現実に子どもを目にすることが少なくな
ってきたばかりでなく、急激な社会構造の変化の中で、これまで我々が抱いてきた「子ども像」や「
子ども観」と「子どもの実像」との間に大きなズレが生じてきたことが指摘されています。
「『子ども』は近代において発見されてきた存在である」ということばは、フランスの歴史学者フィ
リップ・アリエスの有名なことばですが、それをもじっていえば「『子ども』は現代において再び消
えた」ということもいえるのではないでしょうか。
(1) 子どもをめぐる今日的なテーマを毎号設定し、さまざまな学問分野を自由に横断して論じながら、
その諸相を浮き彫りにしていく。
子どもは我々大人のかつての存在であったという意味で「過去」であり、我々の次世代という意味で
「未来」であります。 |