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子どものセクシュアリティ

 人間の性にまつわる現象は、大人であろうと子どもであろうと、心のエネルギーとして噴出するもので、一般化することがきわめて難しい。生物的な生殖の問題としてアプローチしても、社会構造的なジェンダーの問題としてアプローチしても、どこか説明しきれない残余の部分が残ってしまう。とくに情報としての性が異常に氾濫している現代では、どこまでが子どもたちのありのままの性で、どこからがメディアによってつくられた性なのかの区別はほとんどつかない。生物としての性も、社会的な性もメディアによって駆逐されたかのような印象さえも受ける。

 本特集を組んだ動機の1つは、そのような情報による子どもの性の攪乱にある。現代社会では、本来ならば表社会には決して出てこないさまざまな性が、メディアを通じてお茶の間にまでも流される。子どもの妄想がそのまま大人の屈折したアンダーグラウンドな性とメディアを通じて直結する。精神年齢の幼さが成熟と勘違いされるような奇妙なことが起こる。性教育の健全さがパロディになってしまうほど、メディアの性の氾濫はすさまじい。本特集では、そのようなメディアが提供する記号的な性の氾濫について触れながら、その一方で実感としての性、コミュニケーションとしての性を足がかりに子どもの性の世界を探った。

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