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子どもと電子リアリティ

 第7号の特集は筑波大学の岩田洋夫氏の監修による「子どもと電子リアリティ」だ。今われわれを取り巻く情報メディアはディジタル化という大きな変革期にさしかかっており、日常生活にも急激な変化がもたらされている。ポケベル、ビデオゲーム、CD、ファックス、パソコン通信と、子どもたちの世界にもデジタルメディアは急速に浸透している。そんな中、電子メディアが提供する新しいリアリティは子どもの世界にどんな影響を与えるのか。本特集はそのような今日的な問題を、子ども研究の専門家だけではなく、電子メディアの開発者・研究者も含めて検討していく。

 現代の電子メディアの特徴をあげるとすれば、それは良きにつけ悪しきにつけ身体感覚の喪失にある。電話やテレビに始まる電子メディアは、われわれが見たり聞いたりできる世界を圧倒的に拡大した。しかし、一方でわれわれの経験する実感の世界をゆがめているのも事実である。テレビの中で人を殴ったり傷つけたりしたとしても、その痛みはまったく伝わってこない。電子メディアの伝える情報が現実と遊離した仮想の情報であるのは明らかである。しかも、電子メディアがこれほどわれわれの日常の中に入り込んできたことはない。本特集の成果は子どもだけではなく、大人にとっても電子メディア社会を考える糸口になるものと思われる。

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