朝日新聞社出版局編集記者 服部 桂
「活字を中心としたカリキュラムにとっては、テレビや映画、パソコンやゲーム機から受ける情報は、真面目でない遊びに近いもので、本来の教育の内容ではないと見なされる。しかしそれはほんとうにそうなのだろうか」。服部氏は、いつの時代も新しいメディアによる情報や教育は、一段低いものとしてしか考えられなかったことに疑問を投げかけると同時に、インターネット活用によってもたらされる教育の新時代を予測する。 |
東京大学工学部機械情報工学科助教授 廣瀬通孝
子どもに早くから電子メディアを与えると現実と仮想現実(バーチャルリアリティ)の区別がつかなくなるという批判から、氏は距離を置いている。一方的な批判または技術礼讃ではなく、すでに子どもの周りには電子メディアは浸透しきっているという事実を、氏は見つめようとしている。 |
メディア研究者 加藤のぞみ
エクスプロラトリアムとは、サンフランシスコにある科学博物館の名称である。そもそも物理学者フランク・オッペンハイマー氏の「発見の喜びを多くの人とわかちあう」という思想のもと生まれたこの博物館は、旧来の「博物館」のイメージとはかけはなれている。音と聴覚、触覚、視覚、電気、熱と温度、光などに分類された600を越える展示物は、どれも行儀よく「展示」されてはいない。まるで来館者に「自分たちを楽しんでくれ」と訴えかけるように、テーブルや工房に置かれている。その周りではスタッフ同士、来館者同士が議論をしたり、操縦方法を教え合ったりと、来館者はよりよい物を作るプロセスをじかに体験できる。 |
帝京大学文学部社会学科助教授 宮田加久子
「創造性」を「新しい問題を適切に解決する発想によって、新しい価値あるものを創り出す能力」とした場合、電子メディアが創造過程において果たす役割は大きい。アイディアとなる情報の提供、バーチャルリアリティなどの技術による仮想空間上での表現、さらにはコンピュータネットワーク上での仮想空間で、現実からの役割や制約から解放されて、別の自分の仮想世界を築くこともできる。 |
作曲家 冨田 勲
「私の音楽的感覚からすると、電子音とアコースティックなものとの区別はありません」。世界を代表するシンセサイザー奏者の冨田氏は、現代のハイテク楽器を駆使して生まれる電子音のルーツを、われわれが太古から親しんできた自然エネルギーの中に見出す。電子音=人工的というイメージが持たれるのは、文化的利用の歴史が浅いからに過ぎないからだ、と。 |