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子どもジェンダー学入門

 第12号はお茶の水女子大学の耳塚寛明氏の監修による「子どもジェンダー学入門」だ。「ジェンダー(gender)」とは、生物学的な性別を意味する「セックス(sex)」と区別された、社会=文化的性別のことを言う。ジェンダーは、「家事・育児は女の仕事、男は外で働いて稼ぐ。職場での管理的役職は男性が就くもの。デートの食事代は男性が負担する・・・・」というような、女性と男性にふさわしい役割や行動、立ち振る舞いを指示する約束事ととらえることができる。私たちは日常生活において、ごく自然に、この約束事から逸脱しないで生き続けている。そして、約束事からはずれると「ちょっと変だ」と思ったり、あるいは約束事からはずれているものに社会的制裁を加えることさえある。

 男らしさ女らしさの基準が時代によって移り変わっていくように、ジェンダーは決して固定された現象ではなく、さまざまに組み替えられて、その内容は変わっていく。現代われわれがどのようなジェンダーを獲得しているのか、その答えを見つけ出すには子どもが1つの手がかりになる。子どもたちの生き様を観察することによって、性別秩序に支配された私たち自身の姿と、性別秩序を再生産する隠れた諸制度の姿を見つけ出すことができるからだ。本特集は、子どもを取り巻くさまざまな言説を分析することで、ジェンダー形成のメカニズムを明らかにしていく。

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