ルポライター 山村基穀
子どもたちが一番最初に手に取る「性差」あるものは、おもちゃなのかもしれない。山村氏は、色とりどりのアイテムがぎっしり並んだ玩具売り場から、玩具の作り手が持っているであろう男子・女子を分け隔てる意識への追求を始める。 |
鳴門教育大学教授 佐々木宏子
「わが国の児童文学作品の中でジェンダーの観点から話題になる作品には、まだ伝統的な性別役割を再転倒させたようなぎこちないものが多く」あると氏は指摘する。非婚の母、十代の父母、父親の失業、離婚など、ジェンダーの変化を背景とした外国の絵本が翻訳される際にも、「ハズバンド」を「ご主人」と訳したり、妻から夫への会話が敬語になっていたりする。このようなバイアスをつけた翻訳は、原書の持つ意味を変質させてしまい、まったくの別作品にさえなる可能性があることを氏は危惧する。「日本語が持つ女言葉や男言葉、敬語や階層の違いを表す表現の多様さなどが、改めて伝統的なジェンダーの強化としっかり結びついていることに気づかされる」。 |
関東学院大学助教授 中村桃子
「女の子が『男ことば』をなぜ使うのか?」という問いに、「生物学的性別説」や「ジェンダー説」は答えてはくれなかった。中村氏はジェンダーを「性による2分法に基づいて構築された支配構造」ととらえるジェンダーシステム説を用いて、この現象を読み解いていく。 |
東北学院大学教養学部助教授 片瀬一男
親が子どもを社会化する際に重視する価値観は、子どものジェンダー形成に大きく影響し、それらは親の職業や子どもの年齢・性別と関係があると、片瀬氏は分析する。 |
お茶の水女子大学大学院人間文化研究科助手 中西祐子
同じ学力を持つ2人の女子生徒がいるとする。両者は自分の進路を選ぶ際、どのような選択基準を適用するのだろう? 中村氏は、進路決定の場面で登場する各学校の「スクールカラー」「校風」は、明かに社会的役割の差を反映しており、教育「過程」に潜む属性主義の現れだと指摘する。 |