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友達親子

 どんな親子でありたいですかという問いに、「友達のような親子」と答える親が増えてきた。現代の若い親は、威圧的な親になりたくない、子どもとはできるだけ対等な関係でいたい、そう考えるようになったのである。腕を組んで歩く親子、ロックコンサートを楽しむ親子、ペアルックの親子、アウトドアに出かける親子など、友達親子らしき姿は街でもしばしば見かけられるようになった。

 現象面には表れなくても、心理的な面で親子の関係が変容してきたという指摘も多い。そして、そのような風潮を否定的にながめる人もいれば、肯定的にながめる人もいる。否定的な人は、それを病理的な現象ととらえ、もともと親子に対等な関係などあり得ないんだと、ゆがみを指摘する。肯定的に語る人は、ほほえましい関係としてとらえ、さらなる成熟を望んでいる。

 しかし、本人たちが何を望み、まわりがそれをどうとらえたとしても、現代の親子は友達的な関係にならざるを得ない、という考え方もできる。実は、今回の特集の主眼はそこにある。価値観は多様化しているが、親子関係は一元化している。モデルをもたない現代の若い親たちにとって、基本的に選択肢は友達親子しかありえないのである。本特集はその背景を、社会学や心理学や教育学など、さまざまな立場から論じた。

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