時間利用専門家によると「親は働きすぎ」 |
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親は、仕事する時間、子どもと過ごす時間、またはリラックスする時間が十分にもてないと思っているとすれば、あなたは正しい。コーネル大学の時間利用専門家W.キース・ブライアント博士によると、2人の子どもを持つ親は、育児に毎日7.5時間費やしているという。これは、従来専門家が推定していた数字の約3倍である。というのは、かつての研究は、育児のみをしていた時間を数えていたためであるが、現在の研究は、これに親が子どもと一緒に過ごす時間を加えている。例えば、宿題を助けたり、食事を作ったり、家事をしたり、趣味のことをしたり、車を運転したり、食事をしたり、着替えをしたり、その他の活動をすることにより、現代の家庭生活の時間は過ぎてゆく。
ブライアント博士とキャサリーン・ジック博士(ユタ大学)は、「時間使用期間パネル研究(1975-81)」、「11州時間使用調査(1977-78)」、「米国時間使用データ(1985)」に基づき、2人の子どもを18歳まで育てるのに費やされた親の時間数を分析した。それは、なんと約57,661時間であった。 ブライアントによると、この研究は、親は子育てに1日あたりわずか1時間42分しか使っていないとする過去の研究が、親の実感と違うということで行われた。 また、この研究結果によると、母親が家庭外で働く家庭とそうでない家庭では、あまり差がなかった。子育ての期間、母親が働かない家庭では、両親が子どもにかける時間は1日約7.7時間であったが、母親が働いている家庭では、7.3時間であった。それは、1日あたり約23分の差に過ぎない。 その他、この研究は以下の事実を指摘している。
著者たちは、今日の親たちが、かつての親たちより、より少ない時間しか子育てに費やしていないということについては、証拠がないと言っている。事実、ブライアントとジックは、むしろより多くの時間を使っている、としている。この研究の要約は最近のコーネル大学の「Consumer Close-Ups」に掲載されている。 |
扱いにくい子ども |
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なぜ、兄はのんきなのに、弟は扱いにくい子どもなのか。おそらく、それは、先天的あるいは後天的など、様々な要因によるものであろう。しかし、最も扱いにくい子どもを育てる苦闘のいくつかは避けられるはずだ――親の権威を失わずに。
あなたは、レストランにいる。――7ヶ月ぶりに――そして、クリストファーはすでにそこにはいない。彼はブースの端で落着かない。彼は、2度水をこぼし、そして、今は、お姉ちゃんは太った鼻くそだと叫んでいる。 もし、そこにステラ・チェスがいたら。彼女は、児童心理学の大権威でニューヨーク大学メディカル・センター教授。夫アレキサンダー・トーマスも児童心理学者で、子どもの気質研究の先駆者。チェス博士だったら、何というであろうか。 「たとえば、『あなたを家に連れてかえって、罰を与えます。』と叱っても、『そんなことをしてはだめ。』とたしなめてもだめでしょう。」とチェス博士は言っている。チェス博士は、引退後も、研究者や医者の相談にのっている。「基本的に、あなたがなするべきなのは、『あなたは、わたしと食事に来たかったの? あなたはここにくる必要はなかったのよ。あなたが望むなら、帰ってもいいのよ。』ということで、『いい子にしていないのなら、おまえは、腐ったちいさな悪がきだ。』などどののしることではない。「あなたは・・をしたいの?」という言葉をいれれば、親のすることすべてが、子どもとの関係強化に繋がる。 親が、子どもに徐々に新しいことがらを触れさせれば、子どもは、不慣れな状況に備えることができる。例えば、違う食事やレストランでのマナーなどである。「状況によってするべきこと、してはいけないことのリストを与えなさい。例えば、野球の試合に連れていったら、『ホットドックを散らかさないように。』ということなどである」 子どもは子ども。――チェス博士が、半世紀にわたる何百人もの子どもの研究によって学んだことだ。たとえあなたがすべてなすべきことをし、クリストファーが、ディナーにゆくことを承知し、あなたが、すべての公衆でのマナーを、静かに、しかししっかりと説明したとしても、それでもなお、隣のテーブルの完璧に振る舞っている子どもに、ストローの紙を吹き飛ばしている彼がそこにはいる。 チェス博士によれば、そのような場合、誰かが、彼を家に連れて帰るべきとする。しかることも、誉めることせずに。 大事なことは、子どもとにらめっこしないことだ。「『親が黒と言っても、子どもは白という』と親は相談にくる」とチェス博士は言う。しかし、チェス博士がさらに追求してみると、子どもは重要なことは分かっているものだ。たとえば、道の真ん中に飛び出してはいけないとか。「そのことによって、この子どもが全く反抗的子どもではなく、一貫性さえあれば学ぶ能力があることがわかる。」 チェス博士とトーマス博士が1956年から続けている研究によると、10人に1人の子どもは、いわゆる「扱いにくい」気質という。高い反応の強度をもつ子どもたちは、新しいことが嫌いで、不規則な睡眠や食事の習慣が続き、そして、すぐに機嫌が悪くなる。 約6分の1の子どもはいわゆる「エンジンがかかりにくい」子どもである。彼らもまた、新しいものから身を引く傾向があり、変化への対応が遅い。しかし、彼らの否定的な感情の反応は、「扱いにくい」子どもよりはひどくない。一般のひとから見たら、恐らくシャイな子と呼ぶだろう。 5分2の子どもは親にとって理想だ。陽気な気性で、新しいものに対し積極的で、変化にすばやく対応する。そして、いつも機嫌がいい。 子どもの気質は遺伝か否か。確かに、気性は遺伝的部分があることを示す研究がある。それは、目の色のように変えられないものだという。 「普通、気質には継続性がある一方で、柔軟性もある。それは変えられるものだ。」とメルビン・ルイス博士(エール大学児童研究センター 児童心理学・小児科学教授)は言う。「気質は常に変わる内的要因や相互反応によって変えられる。」環境との相互作用は、子どもの気質について違った見方をもたらす。厳しい環境のもとでは、子どもの気質の特徴は変わる。それゆえ、ある程度は継続性があっても、変えられるものだ。 子どもの気質を知ることが、調和のある家庭、つまり、子どもの気質と環境の適応への第一歩だ。「子どもの精神病院の多くは、子どもを「治す」ことはできないかもしれないが、親子の関係を改善したり、適合性を向上させたりすることが、主な目的になるかもしれない。」と、児童・青年期精神医学の最も読まれている教科書の編集者であったルイス博士は言う。 チェス博士は「大事なのは、子どもの気質の性質を知ることであり、突然新しい状況に慣れろなどと、不可能なことを頼んではいけない。」と付け加えている。 陽気な気性な子どもに対しても、これはあたっている。「子どもが何でもやりたがり、すべての課外活動に参加してしまい、全く不可能なスケジュールになってしまうと、親はまた反対の悩みをもってしまう。」とチェス博士は言う。 このような状況では、どうしたらよいのであろうか? あなたは、子どもにいうだろう。なんでも挑戦してもいいけれど、勉強する時間を残しておくために、中から2つだけ選びなさい。「怒鳴らず、静かに、しかし必ずわからせるように。」とチェス博士はアドバイスする。 中には、子どもの視点から解決しようとする親もいる。しかし、大事なのは、親子関係を対照に考えずに、しつけの中で子どもの気質を尊重することだ。親のほうが、子どもより何がためになることがわかっているはずだ。 いいニュースは、ほとんどの子どもは、いずれ問題なくなることだ。「多くの場合、結局扱いにくい気質は、とんでもない大問題にはならないですむ、とチェス博士は言う。「いわゆる扱いにくい気質」を持つ子どもも、徐々に環境に慣れるにつれて、場を和ませ、あらゆる状況にスパイスを与える。 |
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