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Vol. 13, No. 10, October 1997
1. 食卓をともにすることで、十代の子どもの非行は防げる
2. 子どもとうまくコミュニケーションするための12の秘訣




食卓をともにすることで、十代の子どもの非行は防げる

 1日1回でも食卓をともにしていれば、十代の子どもが非行に走るリスクは軽減できる、と最近の研究者は指摘している。

 研究者たちは、12歳から19歳の子どもが、大人と食事をすることで何か変化が起こるかどうかは不確かとしているが、コネチカット小児病院医療センター、精神発達障害主任研究員のボーデン博士は、何らかの良い効果があると言う。

 「両親のうち1人か2人、あるいは祖父母の誰と一緒に食事をするかは問題ではない。調査によれば、素行に問題のない子どもは週5回大人と食事をしているが、非行問題のある子どもの場合は週3回であった」とボーデン博士は指摘している。

 以前の調査には、思春期の子どもの大人との食事時間と学業成績には関係があるとするものもある。また、ほかに、大人との食事時間の減少とともに飲酒が増加するとの研究結果もある。

 ボーデン博士の同僚のザイツ博士(シカゴ、ディポール大学心理学部)は、地方に住む12歳から18歳の思春期の子ども527人を対象に、何らかの中毒症や依存症になっていないか、希望を持っているか、学業に対して熱心か、親との関係はどうか、などについて調査した。

 調査結果は、176人は素行に問題ないとされたが、351人は問題ありと分類された。この調査によれば、大人と食事をともにする時間を調べるだけで、75%の確度で、子どもがどちらの分類に入るかを当てられる。問題のない子どもたちは平均週5.389日大人と食事をしているが、問題のある子どもたちは、平均週3.344日であった。

 ボーデン博士は、家族との食事時間は子どもの素行に関係あるが、それがなぜであるかについては解らないと言っている。彼の調査は、食事中の大人と子どものコミュニケーションが関係しているのではないかということを示唆している。つまりそれは、子どもに自覚を持たせ、家族の一員としての重要性を確認することにもなるし、また他のふるまいにも関係するきちんとした生活を教えることにもなりうると言うのだ。

 ボーデン博士は、この大人との食事時間が、その家族できちんとした行儀が教えられているか、のサインになっている可能性があると確信している。彼は、食事の時間を増やすことで問題を解決しようとはしていないが、親と過ごす時間を増やすことで非行を防げるのではないか、と言っている。

(シカゴでの第105回米国心理学学会でのボーデン博士の発表を参考にした。)







子どもとうまくコミュニケーションするための12の秘訣

 子どもとうまくやっていくためには、どうしたら良いだろう。我々の社会における多くの問題は、大人と子どものコミュニケーションがうまくいっていないことを反映している。ジョン・ブラッドショーは、家族が行き詰まったりうまくいかなくなるのは、ストレスをうまく扱えず解決策を考えつかないせいだ、と言う。

 解決策は、子ども自身が持っている。多くの場合我々は、子どもが問題を解決できることに気がつかず、その結果、子どもに代わって物事を決めてしまう。しかし、子どもが問題解決に参加すれば、彼らの考えたり聞いたりする力は向上する。彼らの自我が成長するのである。以下に、あなたとあなたの子どものために、有効で実践的な12の秘訣を示す。

秘訣1  子どもの姿勢に近づく

 子どもが座っているときには、あなたも座る。もし立っていたら、あなたも立つ。腕を組んでいたら、あなたもそうする。子どものボディーランゲージを真似ることは、子どもとの関係をつくる。関係をつくれたら、ボディーランゲージを真似せずとも子どもは心を開くであろう。

秘訣2  子どもに話したいだけ話させる

 目的は、子ども自ら結論に到達させることである。あなたは最小限の指導と言葉に限るべき。また対話は、あなたと子供の間の問題を明らかにし、意味ある議論をももたらすであろう。

秘訣3  子どもの感じ、考え、信じることを注意深く聞く

 子どもが、本当の自分を表現できるようにするべき。あなたの気持ちを子どもが感じ、子どもの言葉を親密に聞いていれば、子どもはあなたの気持ちを尊重する。

秘訣4  子どもとコミュニケーションするときは、子どものキーワードを使う

 ただし、ものまねや、くどくならないように気をつけるべき。子どもが「誰もが私を好きではない」と言ったなら、「そう。誰もあなたが好きではない。では、今までに誰かあなたを好きだった人はいなかったの?」といった具合に反応してあげられるだろう。

秘訣5  子どものために、物事を解決してやったり救ったりしない

 子どもに問題の答えを与えることで、学習する機会を子どもから奪うことになる。

秘訣6  具体的に、子どもが理解できる言葉を使う

 子どもが幼ければ幼いほど、簡単な言葉を使うべき。考えや気持ちをはっきりと伝えることが必要で、そのためには、言葉はシンプルであるべき。

秘訣7  コミュニケーションの間に沈黙の時間を与える

 問題解決には時間がかかる。子どもは、彼らの内なる世界を理解するのに時間がかかる。辛抱強くいるべき。

秘訣8  あなた自身が冷静に

 大きく深呼吸して、あなた自身が自然でオープンな態度になれるまで待つべき。これは子どもと同様に、あなたの考え、聞く能力を高める。

秘訣9  子どもに自発的に問題について語らせる

 もし子どもが問題を隠そうとしたり、話すことを拒否するようだったら、話し合う時間をとるべき。それには、少しでも時間をおいた方が良いだろう。

秘訣10  もし子どもの問題があなたに直接関係のあることだったら、あなたの考えや気持ちを子どもと共有する

 どんな場合が、あなたの責任、時間やお金に影響あるかを知るべき。そのような場合、お互いにとって良い解決策を見つけようとしなければならない。あなたと子どもの双方にとって良い方法を探すことが大切。

秘訣11  できる限り子どもに解決法を探させる

 子どもが探した解決法は、その子どもが一番実行に移しやすく、その解決法を自分自身のものとしていける。

秘訣12  子どもに答えを言ってしまうより、子どもに解決法を尋ねる

 あなたの問いかけをきっかけに、子どもは解決法に気がつく。子どもの言うことを注意深く聞くことによって、子どもは自分自身で集中して考えるようになる。

 これらの秘訣を実行すれば、子どもとのコミュニケーションが、明らかに簡単で効果のあるものになるはずだ。




The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, October 1997
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Source; The Brown University, Adolescent Behavior Letter.
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