デイケアに預けるべきか否か |
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ルイス・リプシット博士 子どもをデイケアに預けるべきか。預けるとしたらどのようなデイケアに預けるべきか。 これはとても不思議な問題だと思う。もちろん、昔からある問題であって、親が子どもを産み続ける限り続くであろう。 米国での、このデイケアに関する葛藤はたいへん深いものである。デイケアというと家庭の外のものを指しているようだが、そうでない場合も考えなければならない。結局、片方の親か両親が外で働いている場合、祖父母や親戚、または父親が子どもの世話をしていることもあるのである。これはもちろん、母親が昔からやっていることである。 デイケアの制度が進んでいる国、例えばフランスやスカンジナビア諸国では、米国人の悩みがわからない。なぜかというと、家庭以外での安全なチャイルド・ケアが可能だからである。これらの国では、経済的状況や両親の技能を活かすために、デイケアが、オプションではなく現代の必需品となっている。 デイケアが育児に必須と考えられている国では、すでに経済的、個人的な多くの問題を解決し、膨大なエネルギーと能力を費やして、親にとって働きやすい環境を作り出している。なかには家庭でのチャイルド・ケアを好む人もいるし、デイケアに預けたいと思う人もいる。さらには、近所の人3、4人で面倒を見てもらいたいと思う人もいるようだ。 米国では、デイケアの種類の増加が急速だったので、親は十分に対応できていない。しばしば選択肢を理解していない場合があり、子どもを預ける以前にデイケアの基準設定を十分に判断できていない。 多くの個人がデイケアを始めた結果、それらのいくつかのセンターや家では、とても劣悪で、危険さえもある状況がみられる。ここでは、よくマスコミで報道されるような最悪の例は取り上げないが、家のなかのチャイルド・ケア(専門のベビー・シッターなど)でも、完全な安全は保証されていない(訳者注:例えば虐待)。そうはいっても、親戚や母親によるチャイルド・ケアでさえも、必ずしも子どもはいつも十分に安全とは言えない。 今月のブラウン大学ニュースレターはデイケアを特集しており、その質、安全性、知りうる限りの危険性に焦点を当てている。なかには、家庭外のデイケアに預けることに猛反対する人もいる。ただし、デイケアに預けるのは、米国の親たちの現実である。米国の母親の60%は、産後数ヶ月で職場に戻る。デイケアは乳幼児にとって次善の策であるが、もっとも現実的である。だから、親や地域社会の責任者が監視することが極めて重要である。 さらに大切なことはデイケアの研究に資金援助を与えること、その結果を米国の家庭に伝えることである。内容は、デイケアの種類、環境の質や特色、子どもの発達に与える影響などについてであろう。 現在行われている優れた研究は、国立児童保健および人間発達研究所(National Institute of Child Health and Human Development,NICHD)で行われている。ここでは、デイケアに預けられている様々な子どもの、発達に関するデータを収集している。それは現在も進行中だが、もうすでに多数の文献が発表されている。デポラ・バンデル博士は、この分野でもっとも著名な研究者であり、このニュースレターのなかでもインタビューを受けている。筆者は、この研究の実行委員のひとりとして、米国ホワイトハウスで行われたチャイルド・ケア学会に参加した。クリントン大統領夫妻も参加し、この国のチャイルド・ケアの研究を政府が援助する重要性を確認した。こういった多くの人々の努力によって、米国でも質の高い、経済的にも恵まれたチャイルド・ケアを、すべての親が利用できるようになることを望んでいる。 |