10月 |
〜白いハティと黒いハティ(6/6)〜 |
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<今月の本>ルース・エインズワース作 『黒ねこのおきゃくさま』 |
不思議なことに、夜のうちに降り積もった雪の上に、黒ねこの足跡はひとつも残ってないのでした。不思議はもっと続きますが、それは読んでのお楽しみ。 この手の、不思議な結末は、洋の東西を問わず、民話や昔話にはよくあります。 いつのまにか、私たち読者は、黒ねこと毛布にくるまって眠るおじいさんといっしょに、身も心も、温まってすっかり心地よい気分になっていることに気づきます。 それにしても、人間はなぜ、動物に託して、何かを、あるいは真実を語ろうとするのでしょうか。 前回も書きましたが、やはり、同じ哺乳類という仲間の、少し原始に近い生きものへの安心感、憧れ、なつかしさが、無意識のうちに、私たちの体のどこかによみがえるのでしょうか。 |
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