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島内行夫(しまうち・ゆきお)

べネッセ教育研究所代表

e-mail shmauchi@crn.or.jp


日本における子どもとマルチメディア


 現在,日本の大多数の親たちはテレビゲームやマルチメディアに対する次のような問題で毎日子どもたちと格闘し,また不安を抱えています。

(1)子どもたちはテレビゲームに熱中しているが,果たして子どもたちの成長にとって害はないか。(肉体的あるいは精神的に)
(2)テレビゲームは将来何かの役に立つのか。例えばコンピュータを学習するために役立つとか、思考力がつくとかメリットはあるのか。
(3)テレビゲームに熱中するあまり、基本的な生活習慣が崩れないか。現実に,家庭での学習時間や外で遊んだりする時間が少なくなっているのではないか。
(4)コンピュータやポケットベル,携帯電話がもたらすコミュニケーションのあり方は,子どもたち同士の人間関係を希薄にしないか。
(5)子どもたちはコンピュータがもたらすバーチャルな世界にひたる代償として,現実的(リアル)な感覚が貧しくなるのではないか。

 こうした親たちの不安の原因は,今日の情報化社会があまりに急激に進展していることに対する大人自身の漠然とした不安の表れであることと同時に,今の子どもたちが直接その情報化社会,マルチメディア社会の波をかぶっていることにあります。つまり大人たちは,彼らの成長とともにメディアの発達があったわけですが,今の子どもたちは誕生したその日からテレビを中心とするメディアの洗礼をうけることになります。日本では,文字を覚えるより先にテレビゲームに熱中する子どもが表れています。また、こうした子どもたちが将来どのような大人になっていくのかはだれも予想できないわけで、日本の大多数の親たちも、また子どもたちも、このような情報化の大きな波に翻弄されているといってよいでしょう。今回の国際シンポジウムでは、世界的な視野から子どもとマルチメディアに対する考え方が数多く出されることを期待しています。
 当日の私の報告では,最近のベネッセ教育研究所の調査の結果から子どもたちのマルチメディア体験や親とのコミュニケーションのあり方など多角的に子どもの実態を調査することにより,子どもとメディアの関係を明らかにすることを試みたいと思います。
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