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医学・生物学の立場から

Child Research Net 所長  小林 登

生まれたばかりの赤ちゃんは、産声を泣き止めると、周囲をゆっくり見回し始める。視覚は大人並ではないが、パターンは充分認識することが出来、視覚情報を求めているのである。赤ちゃんは、インフォーメーション・シーカーとして生まれてくる。

生まれたばかりの赤ちゃんは、テレビに無関心であるが、やがてテレビの音楽の方に 向き、チラチラする画面を見るようになる。おすわりできるようになれば、テレビの 画面をじっと注視し、ハイハイできるようになれば、テレビに向かって近づいていく 。やがて立っちできるようになれば、テレビをさわり、スイッチをいじり始める。1 歳近くなって歩けるようになれば、親や兄弟のやることをまねて、スイッチの入れ方 をマスターし、やがて自分の好きな番組を選ぶようになる。赤ちゃんは、マルチメデ ィアの代表というべきテレビが大好きなのである。

幼児期に入った子ども達がファミコンやゲームで夢中になっている姿、プリントクラ ブで夢中になっている思春期の女の子の姿をみても、子どもがマルチメディア好きで あることは明らかである。大人にとって近寄りがたいマルチメディアも、子どもはイ ンストラクションを読むことなく、短期間のうちに使い方を覚えてしまう。

子どものもっているインフォーメーション・シーカーとしての力、マルチメディアを 操作する力は、何か生得的なもののように思われる。だからこそ、我々はマルチメデ ィアの機器を開発することもできたのである。

私たちは今、子ども達のもっているこの力をどのように使って、マルチメディアを学 ぶよろこびに生かすか、またマルチメディアの影の部分をどのようにして防ぐかを考 えなければならないときにある。


図1 新生児・乳児が関心をもつもの


図2 幼児のテレビ視聴時間


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