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●探訪・子ども研究室-8-
(2005年8月18日)

今月のナビゲータ:加藤 裕代さん(岡山県立大学大学院情報系工学研究科博士前期課程2年)


渡辺研究室の紹介

私が所属する研究室は「知能情報処理学研究室」といいます。普段は渡辺研と呼ばれており、岡山県立大学・情報工学部・情報システム工学科・知能システム工学講座に属しています。主な研究内容は、人のコミュニケーション解析や、ロボット・CGキャラクタを介した身体的コミュニケーション支援システムの開発と評価です。「人がどのようにコミュニケーションしているかを明らかにすること」と「人と人が想いを伝え合うインタフェースの開発」を目指して研究しています。

研究室ではコミュニケーションについて多岐にわたり研究をしていますが、その中から一つ紹介したいと思います。

人と人がお互いの顔を見ながら会話する対面コミュニケーションでは、単に言葉だけを用いてコミュニケーションしているのではなく、頷きや身振り・手振りなどの身体動作を交えてコミュニケーションをしています。この身体動作によるリズムを対話者同士が共有し、互いに引き込み合うことで、一体感を感じるなどの効果があり、スムーズにコミュニケーションしていると考えられます。そこで、私達の研究室ではこの身体リズムの引き込みに着目し、コミュニケーションの媒体となるロボットやCGキャラクタに、引き込みを生じさせる身体動作を付加することで、対面ではなくロボットやCGキャラクタを介してコミュニケーションしている場合においても、対話者が円滑にコミュニケーションできるのではないかと考えました。(図1

引き込みを生じさせる身体動作を付与するためには、コミュニケーションの特性を明らかにしなければなりません。そこで、人の対面コミュニケーション時の音声と身体動作を解析し、音声のリズムと振幅から聞き手と話し手の身体動作を予測するモデルを開発しました。このモデルが導入されている「音声駆動型身体引き込みキャラクタInterActor」(図2)はコミュニケーション支援に有効であることが確認されています。

また渡辺研では、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)「新規産業創造型提案公募事業」支援で開発された世界初のインタラクティブコミュニケーション玩具「うなずき君」(図3)を商品化しています。うなずき君には上で述べた聞き手の身体反応モデルが導入されています。そのため、言葉は話せませんが、音声のリズムを感じて頷いたり首を振ったり身振りで答えるなど一生懸命話を聞く動作をするので、疲れた心を和ませてくれる癒しグッズになっています。


子どもを元気づけるコミュニケーションシステム

最近行っている研究として、子どもと大人の新しいコミュニケーションインタフェースを提案する研究があります。子どもは動物などのキャラクタに影響を受けやすいと考えられ、親が直接子どもに「〜〜しなさい」と言っても子どもは素直に言うことを聞かないのに対し、パペットなどのキャラクタを介し、親がキャラクタになりきって「〜〜したほうがいいよ」と言うと子どもは言うことを聞くという例は日常的に見られます。

そこで、大人が動物キャラクタに変身して子どもと会話をするクマ型ロボットのインタアニマル(図4)を開発しました。このインタアニマルは、大人の音声から話し手のコミュニケーション動作を、子どもの音声から聞き手のコミュニケーション動作を自動生成するため、大人が簡単に動物キャラクタになりきることができます(図5)。

また、大人の音声はボイスチェンジャを用いてキャラクタらしい音声に変換されます。インタアニマルを用いて子どもと大人がコミュニケーションすることで得られる効果として、大人が自然に子どもの目線にたつことができること、子どもが素直になり、キャラクタと楽しんで会話できるなどが期待されます。

現在、学習システムにインタアニマルと同等の役割を果たす動物型CGキャラクタを導入するシステムを開発中です。教師が動物キャラクタに変身して子どもに勉強を教えることで、子どもと教師が楽しんで学べ、子どもの能力を把握しやすいシステムを作りたいと思っています。


学外でのデモンストレーション

渡辺研では、開発したシステムを用いて、小学校や展示会など色々な場所でデモンストレーションをする機会が数多くあります。コミュニケーションについて研究を行っているため、子どもから大人まで様々な人にシステムを試してもらい意見を聞くことは、研究していく上でとても役に立ちます。

今年の7月にも、岡山リサーチパークで行われた子ども向け科学体験イベント「おもしろ体験でぇ〜」に参加し、上で紹介したインタアニマルを展示しました(図6)。多くの子ども達にインタアニマルを通してコミュニケーションの不思議さを体感してもらうだけでなく、インタアニマルに対して子ども達がどの様に接しているかを観察することによって、今後のシステム作りに役立てていきたいと思っています。ちなみにこのインタアニマルは、愛・地球博モリゾー・キッコロメッセの「プロトタイプロボット展」にも出展しました(図7)。愛・地球博でも子ども達の興味を一心に集め、ロボットシステムによる新たなコミュニケーションモードの可能性が示唆されたと考えています。


研究室の様子

最後に渡辺研の様子を紹介したいと思います(図8)。大学が緑に囲まれた場所にあるため、毎日静かな環境でプログラムを書いたり、評価実験をしたりと研究しています。研究室のメンバーにはどちらかというと夜型の人が多く(先生方は朝型ですが・・・)、夜に研究について話し合うことが多々あります。時々話し合っているうちに、いつのまにか雑談になっていたりなどということもありますが、他のメンバーと和やかに研究を進めています。

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岡山県立大学大学院情報系工学研究科 渡辺富夫研究室
 研究室のホームページはこちら
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