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●【特集】お産をめぐって
(2006年5月26日)

お産に携わる産婦人科医そして妊婦さんを取り囲む厳しい状況に関する報道が増えています。日本産婦人科医会の「助産師充足状況緊急実態調査」(2005年12月〜2006年2月実施)によると、24時間態勢の整備に加え、法を遵守した労働環境を維持するためには、分娩を取り扱っている医療機関(2905施設)において約6700人もの助産師が不足しており、出産を扱う産科施設の75%が助産師数が不足している状態にあります。*1

また、日本産科婦人科学会の調べによると、2003年4月から2005年7月までに、大学病院が産科医を派遣している関連病院のうち、約1割に当たる111病院が分娩の扱いをやめています。*2 2006年2月に福島県の産婦人科医が逮捕された出来事以降は、さらに分娩の扱いをやめる病院や医師が増えているといわれています。

一方、妊婦さんやこれから子どもを持ちたいと希望する人たちの間では、地域からお産の場が失われていく現状に危機感が高まり、「どうする?日本のお産ディスカッション大会」などの動きが見られます。

そんななか、CRNドゥーラ研究室にこんなメールが届きました。

…産科医不足・助産師不足が叫ばれている今こそ、ドゥーラという職業の必要性を強く感じます。お産の主役は母親なのに、最初から医療に頼りすぎ医者任せの妊婦が多いと思います。結果過度の医療介入お産になり、医者はさらに激務になり、母親はお産の満足感が得られず子育てが困難になったり、訴訟は増え、それを恐れて医者はさらに神経質になり薬を出し安静を勧め、その結果人工難産が増えるという悪循環。<中略>もちろん医療の恩恵により助かる命もあります。医療を否定するのではなく、医療は本当に必要としてる人の為にあってほしいのです。産科医療の現場を救う為にも、母親自身のいいお産の為にも、生まれてくる赤ちゃんの為にも、安産の為の心と体作りが一番重要だと思います。ドゥーラはその母親の手助けとなる役割に最適なのではないでしょうか?…

アメリカや中国では、産婦人科医と助産師に加え、ドゥーラ(Doula)と呼ばれる人がお産の場に立ちあうことがあります。ドゥーラとは、妊娠、出産、育児を援助する女性のことをいい、分娩監視人、分娩付き添いなどと同義。主に陣痛・分娩期の女性とその家族に付き添い、マッサージ、励まし、情報提供などいろいろなかたちでエモーショナルサポートを提供します*3。小林登CRN所長は1977年以来折りに触れてドゥーラを紹介していますが*4、残念ながら日本では定着するに至っていません。

お産をめぐる話題がホットな現在、ドゥーラについても多くの関心を集められたらとCRNでは考えています。「ドゥーラ研究室」には、ドゥーラに関する文献や情報、アメリカにおける研究の紹介などが集まっていますので、ぜひご利用ください。


*12006年5月1日読売新聞記事参照
*22006年4月14日読売新聞記事参照
*3「ドゥーラ−その役割と実践−」参照
*4例えば「わが国でもドゥーラ制度をつくろう」など。


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