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●探訪・子ども研究室-12-
(2006年6月23日)

今月のナビゲータ:加藤正太さん(中京大学大学院情報科学研究科認知科学専攻)

Welcome to Miyata's cafe! みんなで一緒に素敵な場を作ってみませんか?

 中京大学豊田キャンパス16号館通称メディア棟の7階にある宮田研究室。私たちは出会いの場、学びの場、異文化が触れ合う場を、何らかの企画やWorkshopを通してデザインしています。
 企画を通して参加者が様々な体験をするだけでなく、企画を行う私たちもまた異文化を体験し、そこから様々なことを学べるのがこのゼミの魅力の一つ。宮田研究室はいろんな人が入りやすい場であり、新しい文化やまだ知らない私たちの一面に出会うためのきっかけが溢れている場所だと私は思っています。

Playshop with Playful spirits

 ゼミ生にとっても参加者たちにとってもより広い異文化に触れ合う機会・場としてWorkshopやPlayshopという場を私たちは提案しています。
 宮田研究室ではいろんな人たちとコラボレーションをして毎年企画を行っていますが、なかでも私が一番思い入れが深いのが「English Playshop」。子供たちが英語に触れる機会を作り、異文化体験をするための場として愛知県西加茂郡郡藤岡町(現豊田市)国際交流協会、宮田研究室、そして中京大学の交換留学生を中心とした英語講師たちが協力して、企画に取り組みました。
 「Playshop」は言葉の通り、遊びや活動を通して楽しむことを学びへと繋げていく企画。EnglishPlayshopでは、英語を聞く・話すといった言葉の使用だけでなく、言葉が少なくても触れ合うことのできる遊びを考え、子供たちや英語講師たちが一緒になって遊びながら互いの文化に触れ合い、学ぶことを考えました。
 最初は表情が硬く英語講師を眺めていただけの子供たちも、身体を使った遊びをくり返すうちに笑顔を見せ始め、英語講師たちの話を聞くことでコミュニケーションのきっかけをつかみ、最後には英語講師たちと一緒に笑い声を上げ、夢中になって遊んでいました。
 このEnglishPlayshopでは、子供たちの元気な姿を見ることで自分も元気をもらいました。また、子供と一緒になって遊び、関わることを通して子供一人一人が彼らの世界をちゃんと持って生きており、英語講師や大学生との交流を得て柔軟に彼らの世界を変えようとしていることを感じました。「子供だから」と決め付けてしまうのではなく「彼ら一人一人の目線に立って、考えにちゃんと耳を傾ける」ことの重要性を知り、そこからどんな体験をして欲しいのかどんな学びが必要なのか、これからの子供達への学びの場について意識を向ける面白さを実感することができたと思っています。

異文化三段階モデルとファシリテーション

 Playshopのような異文化が触れ合う場は参加者にどのような作用があるのでしょうか。
 宮田研究室では様々な文化を持つ者同士が集まり出会う「多文化」、互いが知り合うことを通して文化の違いを意識する「異文化」、互いの文化を超えて両者がコラボレーションする「超文化」の三段階のモデルがあると考えています。それぞれの段階でどのようなアクティビティ、ファシリテーション、サポートが参加者たちにより意味のある体験になるのか、そして参加者たちがPlayshopで体験したことを他の場面や日常で活かすために、参加者がプロセスを振り返ること、経験を表現し、共有し、日常に繋げるための研究も行われています。
 EnglishPlayshopでは、子供たちが英語講師たちに言葉の壁を感じることや、言葉が通じないとコミュニケーションができないという先入観を崩すために、言葉を使わず身体を使った「人間知恵の輪」などのアクティビティを行い、両者の気持ちと緊張を溶かします。次に互いを知り文化差を意識するために英語講師が自国を紹介。子供達は話を聞きながら気になることを質問したり、英語講師に自分達の街について話すという多文化から異文化へのデザインを意識しました。つまり、体の触れ合いから心の触れ合いを行い、互いを理解し始めたところで、超文化段階として子供と英語講師が協力することで行えるアクティビティを考えたのです。そしてPlayshopの体験を振り返り、参加していないご両親や友達へ体験を伝えるために、体験を形に残すツールとして、一日の体験を「子供が大人に読む」絵本にまとめ、持って帰ってもらいました。
 ゼミ生たちは、英語講師と子供たちの交流の掛け橋となるファシリテータとして、緊張して周りの輪の中に溶け込めない子供に声をかけ、一緒になって遊び、絵本の素材となる写真を撮り、データを集めて絵本を作り上げ、印刷をしてまとめていくといったことを行いました。各段階で参加者達たちへ自然に空間へ入り込んでもらうように、場をデザインし、交流のデザインを考え、ファシリテータの動きをデザインしていき、体験をその場限りのものにしないためにリフレクションのデザインを考える。これらの研究が宮田研究室では行われています。
 
これからの宮田研究室

 新年度が始まると共に宮田研究室に新しい仲間が加わりました。まずは、自分たちをどんなチームにしていきたいのかを何週にもわたって話し合い、チームとしての意識を共有してから、今年度行われる企画に取り組んでいます。
 6月2日に行われた「異質な文化の接触によって生ずるさまざまな教育の問題を学問対象として取り上げ、その研究を促進しようとする」『異文化間教育学会』のプレセミナーでは、同志社女子大、関西大学、神戸芸術工科大学と共に「異文化間教育におけるワークショップの意義を考えるワークショップ」を行いました。そして「アートによって妻有地域の潜在力を呼びさます」『大地の芸術祭-越後妻有アートトリエンナーレ2006-』では、その活動の記録をなんらかの形にして発表をしようと考えているところです。
 他にも「学びの感性に着目し、学びが持つワクワクドキドキする楽しさと、私たちそれぞれが持っている学びの潜在的可能性に挑戦する」『ラーニングアートプロジェクト』、会社でその生活のほとんどを過ごした団塊世代の方が退職後に自分探しや生涯学習を行えるような場を作ろうと豊田市が企画した『保見地域カレッジ』なども進行中で、私自身今からワクワクとした気持ちでいっぱいになっています。
 宮田研究室の活動を通して、いろんなことを学び、体験するのは必ずしも参加者たちだけではありません。ゼミ生自身も活動の中でなにかを学んでいきます。その変化に何か方向性がありそうだと感じ、ゼミ活動を通してゼミ生がどのような学びをしているのか、その学びは参加者とゼミ生同士のコラボレーションに影響しあっているのか、どのようなコミュニケーションを行っていくのかを研究し、それが継続し、より世界へと広がっていく交流へといかに繋がっていくのか、調べていきたいと考えています。

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中京大学情報理工学部、大学院情報科学研究科 宮田義郎ゼミ
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