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●寄稿「子ども学は希望の領域〜CRN国際シンポに参加して」
(2007年2月14日)

CRNアドバイザリーボードメンバーである上田信行先生(同志社女子大学教授)より、CRN国際シンポジウム「子ども学」から見た少子化社会(2/3実施)に出席しての感想が寄せられました。

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2月3日(土)に国連大学のウ・タント国際会議場で開催された、 「子ども学」から見た少子化社会ー東アジアの子どもたちー というテーマの国際シンポジウムに行ってきました。

このシンポジウムはチャイルド・リサーチ・ネット(CRN)設立10周年を記念して開催されたもので、中国、韓国、日本の研究者たちが少子化社会の現状をふまえた上で「子どもの成育環境」「子どもの未来」について情熱的にディスカッションされたものです。

朝一番の特別講演では、大江健三郎さんが、“子どもー「人間の未来」のモデル”というテーマで、「二百年の子供」(中公文庫)というファンタジー作品をお書きになった過程で「人間の未来」について考えられたことをゆっくりと説得力のある口調で話してくださいました、ジャック=イヴ・クストー、エドワード・サイード、鶴見和子、ノーム・チョムスキーらとの交流を通して感じられたことも感動的に語ってくださいました。将来の子どもたちを考えることが人間の未来を考えることであり、未来世代への責任を我々大人は重く受けとめないといけないというメッセージが僕には強く印象に残りました。

続いての中国東南大学学習科学センター名誉所長のWei Yu先生の基調講演では、中国の「脳科学と教育」というタイトルで、「learning by doing」で21世紀の教育を拓いていこうと強くのべられ 、
「Hands on Inquiry Based Learning and Teaching」の大切さを脳科学の最近の知見と共に強調されました。中国でも「子どもが探求する環境をどうデザインするか」がやはり学習科学研究の重要課題になっているのだなと感じました。

その後のシンポジウムでは、中国から、華東師範大学の周先生、韓国からはテグ・カトリッック大学の朴先生、梨花女子大学医科大学の李先生、日本からは大阪人間科学大学大学院の原田先生、お茶の水女子大学の榊原先生らが参加して行われました。

シンポジウムは「子どもの成育環境としての少子化社会を考える〜日中韓の研究を中心に〜」というテーマで行われました。中国の「一人っ子」政策が子どもの成育に与える影響、韓国では2005年の出生率は過去最低の1.08まで落ち込み子どもを産むことに対する価値観が変わってきたこと、原田先生からは20年前の「大阪レポート」と最近の「兵庫レポート」を比較しながら子育て現場の変化についての報告がありました。

最後にCRN所長の小林登先生は、10年前に子ども学(child science)研究の普及と活性化のためにベネッセコーポレーションの支援ではじめられたサイバー子ども学研究所Child Research Netのミッションをあらためて振り返られ、エレン・ケイが実現できなかった「20世紀を子どもの世紀に」を「21世紀こそ子どもの世紀にしよう!」と結ばれました。

僕にとってこのシンポジウムは、小林先生が子ども学の柱とされている、
1)子どもの権利条約以降の子どもをどうとらえるか(子ども観)、
2)子どもの問題をどう分析し解決するか(Children's Issues)、
3)子どもの立場に立って学際的にモノやコトをどうデザインするか(Child-Caring Design)、

という3つの課題に積極的にどうかかわっていくかを改めて考え直すいい機会になりました。CRNのみなさま、ありがとうございました。やっぱり子ども学は「希望の領域」です!

【出典】
「ラーニングアート・プロジェクト日誌」2月5日掲載記事


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