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科学離れする子ども

 ここ数年子どもたちの「科学離れ現象」についてマスコミで取り上げられることが多くなった。小学校から中学校へ、さらに高校へと学年が進むにつれて、理科好きだった子どもが理科嫌いに変わっていくという。偏差値教育の弊害なのか、理科教育そのものの欠陥なのかといった議論が交わされるとともに、子どもたちに科学のおもしろさを再認識させるための教育の必要性が訴えられている。

 しかし、それらの「科学離れ現象」は、学校現場での教育のやり方を変えていくだけで、是正されていくような性質のものなのだろうか。子どもたちがおもしろがる楽しい授業をやりさえすれば、科学への好奇心は戻ってくるのであろうか。

 実は、自然科学への信頼のゆらぎは、子どもだけではなく、大人も含めてもっと社会全体に広がっている。例えば、「科学技術の発達と環境破壊は密接に関係している」といった言葉が流布しているなかで、科学への信頼感がかつての高度成長期のように確固たるものとして存在しないのは当然だろう。

 科学離れの背後にはもっと大きな文明史的な問題や科学そのものの限界の露呈という問題が存在している。それらの点を見逃すことなく「科学離れ現象」を分析し、時代にふさわしい科学教育の姿を考えていくべきだというのが、本特集を組むにあたっての基本的なスタンスである。

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