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CHILD RESEARCH NET FORUM


子そだてクリニック Q&A


[KOSODATE: 00120] /一覧へ戻る
題 名: アドバイス:幼児早期教育にはまっている
投稿者: Kaz
日 付: 1998 年 11月12日(木 ) 07:50:37

早期幼児教育に賛成か否か、ということに関する投稿ではなく、アメリカではクリントン夫妻が早期教育に力を入れている、という一文に関するコメントです。私自身は、現在アメリカに住んで21年になりますが、夫妻の提唱する「早期教育」とは、日本での乳幼児にビデオや教材を与える英才教育とは、まったく意味合いが違っているのでは、という気がします。アメリカでは文盲率の高さ、教育レベルの低さは社会的な大問題となっており、洲によっては、小学校の高学年になっても字をちゃんと読めない子供達が二桁のパーセンテージにも昇っている、という現実があります。その理由にはもちろん貧困、移民であるため親が英語を話さない、学習障害など様々な理由が絡み合っています。また、刑務所に入っている人間の文盲率が異常に高いという事実に基づき、将来犯罪者の存在が減っていく社会が出来上がるよう、出来れば学校の教科が難しくなる以前、小学校の3年生までにきちんとした読み書きの基礎を、そしてさらに溯って幼児のケアを、という長期的な展望にたった政策というように私はとらえています。さらにヒラリー・クリントンは、貧しい母親が経済を支えるために働かなくてはいけない場合、安心して預けられるデイケア施設の充実を訴えているわけで、実際、自分の机どころか、絵本など一冊もない、という家庭に育つ子供達が、アメリカには何十万人といるのです。また、アメリカでは2歳からほとんどの子が学校に行く、というのも、必ずしもそうと言えません。ナーセリー、プリスクールなどの意味でしょうが、5歳からは公立の学校が始まるものの、それ以前はすべて私立ですので、2歳から学校に入るというのは、それに入れられるだけの経済レベルに達している家庭に限ります。現在アメリカで必要と叫ばれているのは、日本の家庭なら、お母さんが特に「教育」とも思わずに普通にやっていることを、すべての子供達に、という底上げ的他なものだと、私は感じます。
一度、市で貧しい家庭の子供達を集め、そういう子達にチャンスを与えるため、特別な「早期教育」を行なっているという公立のクラスを見学しましたが、運動場では、サルワタリや縄跳びをやらせており、特に特別なこと、というのはしていなかったので、少し驚いたことがあります。しかし「貧しい家庭の子供達の知能が、今一つ発達しにくい原因のひとつとして、身体がきちんと動かせない、ということがる」という担当の方の話でした。こういう子達は、いわゆる普通の子供達がしているような遊びの経験が非常に少ない、ということです。
文頭にも書いたように、早期英才教育が否かどうか、ということではありませんし、いいとする理由はさまざまです。が、アメリカでは国をあげて早期教育にあたっている、ということが、教材を売る業者に都合よく解釈されたり、英才教育をサポートする理由として使われることには、非常に疑問を感じます。