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![]() 記憶の中の博物館友人に「子どものころに行った博物館ってどんなところ? 何か覚えていることある?」とたずねたところ、「科学系博物館」という答えがかえってきた。否、そこが科学系博物館であるという自覚が彼にあったわけではなかった。名前はわからないけどこんな感じで…と、よくよく話を聞いてみると、京都の深草にある京都市青少年科学センターのことらしい。すぐそばに親戚の家があり、その家を訪問するたびに訪れたという。そこへ行くことは「楽しみ」で、ヒヨコの孵化の様子を順に見ることができたことや、プラネタリウムが記憶に残っているとのこと。 * * *
一般的に「博物館のイメージとは?」と、問うと「おカタイ、敷居が高い、暗い、古いものがある」という答えが返ってくることが多い。では、ひとりひとりの心の中で、その人が訪問したひとつひとつの博物館は、どのようなものとして記憶されているのだろうか。本当にそこは、おカタくて暗くて…というところなのだろうか。 * * *
この春から教育系学部の学生を対象に、博物館学の講義を担当することになった。受講生の多くは2年生。「博物館とは何か」という問いに各自がすでに答えを持っているわけではなさそうである。そこで、まずは自己の博物館経験を整理することで、博物館について考える手がかりを持ってもらいたいと思った。今までに行った博物館から5つ選び、憶えていることをあげてもらったところ、大学生の記憶の中の博物館像がうっすらとうかびあがってきた。 * * *
京都市青少年科学センター 記憶の中の「ヒヨコの孵化」は、第一展示場にある「ニワトリの発生」という展示のようです。問い合わせてみたところ、ニワトリの卵は孵化するのに3週間かかり、京都市青少年科学センターでは半日ずつ時間をずらしてニワトリの卵を孵卵器に入れて20日間温め、21日目の卵を見ることができるようにしているそうです。というわけで展示されているのは模型ではなく、今まさに孵化しそうな卵と、生きているヒヨコそのもの! 運がよければ、卵からヒヨコがかえるところを目にできるとのこと。電話でお話をきかせてくださった職員の方によると、「その瞬間に立ち会えた方たちは、みなさんとても感激なさいますよ」とのことでした。小学校低学年のころに何度も通い、多くの展示品を見ていた中で、25年経っても記憶にとどめているのはどうしてなのでしょう。なにがそれほどまでに印象的だったのでしょうか。もしかしたら彼は、幸運にも「その瞬間」に居合わせることができたのかもしれませんね。
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