●HOME●
●図書館へ戻る●
●実践保育研修会トップへ戻る●


「これからの保育の質を考える」〜まとめにかえて
小林登(CRN所長)、柳澤秋孝(松本短期大学教授)との総合討論
司会:磯部頼子(前全国国公立幼稚園長会長、ベネッセ教育研究所顧問)

磯部: 会場から寄せられた質問をもとに、この総合討論は進めさせていただきます。
まず柳澤先生への質問です。3,4,5歳ではなくて2歳児まで下ろしてプログラムをお考えになるご予定はおありでしょうか。また、0歳から2歳ぐらいまでは、どんな動きをしておけばいいのか、あるいはどんなことはしてはいけないのでしょうか。ということですが、柳澤先生お願いします。
柳澤: 2歳児のプログラムですけれども、将来的には0歳から3歳までのプログラムも作ってみたいなと考えています。今まで子どもの運動学をやってきて理解していますが、生まれて0歳、ここで7ヶ月、8ヶ月ぐらいから立つという動作が始まって、1歳ぐらいからやっと立てるようになりますね。ですから0歳から3歳までは脚力発育期という具合に捉えております。
 やはり、人間が立って歩くというのは、空間を移動する最低限必要なことです。まず3歳までの間は立って歩いて走る、この部分の機能をまずしっかり身につける。そして、3歳ないしは4歳から6歳ぐらいまでを、私は胸郭発育期、胸郭というのは要するに胸をとりまく、おへそから分けて、おへそから下の脚力、おへそから上の胸郭、そういう具合に捉えています。特に3歳、4歳の年少さんから腕を使う遊びを、と言いましたけれども、これをそのまま下に下ろしてしまうと逆に今度は立つ、歩く、走るという動作がちゃんとできなくなってしまう恐れもあります。そのようなことを対象に考えていただいて、0歳から3歳までは足の機能をしっかり身につけていただき、3歳から6歳までの保育園、幼稚園に入った段階で腕をとりまく胸郭の部分を中心にトレーニングしていくことが大切です。
 今現在みていますと、立って歩く走るということは全ての子どもが行っています。脚力、足の使い方は上手なのですけれども、今、私がやっている腕を使う動き、要するに足の動とき腕の動きがバランスのとれていない子どもたちがいっぱい育ってしまっているのではないか、やはり両者の部分の筋肉の使い方が上手くできることによって、運動が好きになっていく、またより動けるようになるというふうに私は捉えていますので、今日行ったプログラムをそのまま0歳から3歳の子どもには使わないでください。
小林: 先ほど巷野悟郎先生と少しお話ししたのですが、今、日本では赤ちゃんのタッチケアというものがあります。皮膚をさすって、大人でいえばマッサージに準ずるものをやると、子どもの育ちがよい。そもそもはアメリカのフロリダ大学で、小さな未熟児について始まったのです。それから、南米でも、カンガルーケアといってお母さんのおなかに未熟児を肌と肌を合わせ抱くように一緒にして育てるのですね。そうしても育ちが良いことが分かったのです。それを参考にして、小児科の先生が生まれたばかりの赤ちゃんにマッサージすることを始めたのです。それがタッチケアで、小児科学の会でも勉強会をしたりしています。それが、一つ参考になるのではないかと思います。また、昔から赤ちゃん体操というのを、小児科の先生は、やっていました。それこそ戦後まもなくぐらいから、赤ちゃん体操があって、熱心にやっていた人たちがいるのです。この頃あまり言わなくなったようですね。それで僕は柳澤先生に是非、それも勉強した上で先生のプログラムをお考えになったらいいのではないかと思います。
 ちょっとここで、プログラムの話をしますけれども、柳澤先生のいうプログラムと僕のいうプログラムは違うのですね。どうも、話し方がまずかったので混同してしまったと思うのですけれども。柳澤先生のプログラムは、本を広げたときにあるような、第一、第二、第三と書いてある章立て項目の並びというようなものをさしていますが、僕のプログラムはコンピュータのプログラムですから、そのところをぜひ、混同しないようにしていただければと思います。
このページのトップに戻る
磯部: 小林先生、そのプログラムのことについて先生がどこかにわかりやすく書かれたご著書などをおありでしょうか?
小林: 『育つ育てるふれあいの子育て』(風濤社)という本があります。そこにわかりやすく書いたつもりですので、是非ご関心をお持ちの方は読んでいただければと思います。
 僕が、プログラムという発想をもったのは、もう15年ぐらい前なんですが、これはイギリスの有名なノーベル賞候補にもなったような大脳科学者が言い出した考え方で、素晴らしいと思いました。例えば、前頭連合野ということは、この辺だということが皆さん分かっても、医学的知識が無いと、よくは理解出来ないじゃないですか?そこには知性のプログラムがあるんだよ、というと、前頭連合野で支配するのだということは知性でのプログラムで支配することなんですね。そういう風に僕はあえて脳の解剖学を使わないでも理解できるようにという意味で、脳をコンピュータに例えたプログラムという発想で説明しようと思ったわけです。
 プログラムという言葉は、脳の力というふうにとっても良いと思います。走る力はどうして出るのだというと、それは脳に走るプログラムがあるからだ、という事ですね。子どもはそのプログラムを持って、足の筋肉で走るのです。先ほど柳澤先生がお尻の筋肉をきゅっとしめて、こちらの二つの筋肉を動かして供応関係を作るというのは、大脳の中で色々なプログラムが、コンピュータのように連絡を取りながら働いているわけです。プログラムを動かすことによって、二つのプログラムを組み合わせるという発想ですね。まったく、考えなく走っているのではなくて、みんな脳に情報を集めてプログラムを動かしているのですね。
磯部: ありがとうございました。今日のテーマとして、「心とからだを育てる」ということで、今のお話は大変大事ではなかったかと思っております。
 もう一つ、先ほど申し上げました通りに、柳澤先生が実際に保育所のお子さんたちと関わっている場面を見せていただきまして、私、二つほど本当に目から鱗というところに行き当たりました。そのことについて少し先生にお話いただき、皆さんにも今日のお土産として是非お持ち帰りいただきたいというように思います。また私の思いの他に一つ、そのことに関わってご質問がございました。それはどういうことかといいますと、肥満で明らかに鉄棒とか跳び箱ができない、誰が見ても無理な子がいる学級ではどうしたらいいのということです。私が見ましたときには肥満児もおいででしたが、もう一人、肢体不自由のお子さんで両足に装具をつけている子がおりました。そのお子さんを柳澤先生はちゃんとみんなと同じ体験をさせているんですね。私は以前そういうお子さんと出会った時に何も無理しなくていい、みんなと同じじゃなくていいのではないかなって思ってしまったんです。ところが先生はそのお子さんにも先ほどもお話があったさかさ逆感覚というのを大変配慮しながら経験できるようになさっていたんです。
 もう一つは私どもが子どもたちに「気をつけてやるのよ」と言ったり、鉄棒でも何でも支える時後ろ側からやっていませんか?柳澤先生は前側から目と目を合わせてやっていらしたのですよ。そのへんのところのお話を是非先生にお願いしたいのですが。
このページのトップに戻る
柳澤: 運動ができる子ども、逆にいうと放っておいても勝手に動くんですね。やはり一番気をつけなくてはならないのは肥満タイプの子で苦手としている子どもや僕は運動できないんだと思っている子どもです。
 私が行って、プログラムを最初やりますと、そういう子どもたちは輪に入ってきません。見学しています。そういう子を無理やり入れることはしません。そのまま、「見てなさい」「でも、そのままじっと見ていられるかな」と言っているうちに10分か20分すぎると僕と一緒に遊んでいる子どもたちがワーワーキャーキャー言い出すものでやりたくなるんですね。それで自然にプログラムの輪に入ってくるわけです。それでその時に私が必ず見ているのが実際に体を動かしている子どものグループと、見学している子どもです。その子どもがいつ入りたいような目をするか、それを見ているんですね。
 ですから逆にいかに面白く子どもたちに動いてもらうか、そうすると運動をしていないその子の目がだんだん輝いてモジモジしだします。その時に間髪いれずに「おいで!」と「やってごらん」と誘うと動き出す。動きはやはり鈍いです。鈍いですが、今まで動かなかったものを自分の意思で動かしてみたいというところから初めて子どもが実際に動いた、でも、その動きは動いている子どもたちから比べると非常にまずいというか上手くない動きです。でも、その動いたという自信、僕が喜びをもって「うわー、すごいね〜こんなに上手にできるんじゃないの。なんで今までやらなかったの」というと、また、その子は自信を持ってくれます。
 ですから肥満の子や障害がある子には特別に声をかけるようにしています。やはり運動を苦手とする子どもを誉める、ただ誉めるというそのことによってその子どもは本当に内からだんだんと目が輝いて、やってみるというところまでいきます。そして、やってみた。また先生に誉められた。どんどんどんどんエスカレートして調子にのっていくんです。そしてその部分の目の輝きや動きを見ていて、そういう子どもに影響を与えられるというところに私は一番喜びを感じています。
 できる子はできる。これはもう当たり前です。できない子が自分の気持ちで自分の意思でやってみよう。そういうものにいかに変化できるか、非常に難しい部分だとは思いますが、でも実際にやっていけば必ずこの部分まで到達すると思います。最初のうちは足に装具をしていて、プログラムの輪に全然入れなかった、保母さんも一人つきっきりで付いている状態だった子どもも、最初は見学させていたのですが、そのうち動きたい、やりたいというふうになってきます。ちゃんとした動きはできないですが、手でも、這ってでもやる。私も驚いてしまいましてね。「大丈夫かな、足、装具しているのに、また悪くしたら困るかな」と思ったのですが、その子の目は真剣でした。人と同じことをやってみたいという惹きつけるもの、これがいかに楽しいものであるか大切です。いやだと思っていても本当に自分から動きたくなる、その中に入ってやってみたくなる、そこまで持っていけると思います。回数を重ねていけば。
 次に、前からの鉄棒の補助についてです。補助の仕方もそうですが、子どもは非常に一つの動き、特に逆上がりにしても、前まわりにしても不安を持っています。不安を持っている時に後ろに補助がついていても自分の視覚の中に子ども、入りませんのでやはり付いていても不安です。ですから僕は子どもの正面に立ちます。正面に立って子どもが大人である私の顔をしっかり見て、要するに目と目で見つめ合う、ちょっと変な感じですけれども、それでしっかり大丈夫だよ、という合図を送ってやって子どもにその部分を挑戦させています。
 最初は怖がっていましても、回数を重ねていくうちに、安心して自信を持ってできる。いろいろな助力、スポッターといいますけれども、与えるときにはですね、やはり子どもの視覚の中に入っていることが子どもに安心感を与える一番の大事な部分です。この部分というのは特に鉄棒で、大いに使われると思います。正面に立ってですね、子どもの二つの目の視覚に先生がいるというだけで子どもというのは非常に安心感が持てて怖いけれども頑張ってやってみる。後ろでなんだかんだ言っても子どもたちはやりません。不安で不安で落ちたら怖いし困る。でも先生が正面に立っていることによって、これは逆上がりとか前まわりおりなどには、私は正面に立って座り込んで、子どもの目を見て一緒に活動します。
このページのトップに戻る
磯部: ありがとうございました。そういうことだったんですね。私、本当に鉄棒の援助をする先生のお姿を見て感激して帰ってきたわけですけども、今日の研修会、「保育の質を考える」ということでは、教師の存在、というのはとっても大きいと思うのです。そのような子どもたちとのかかわりの中で、柳澤先生はできたか、できないかこのプログラムがちゃんとマスターできたか、できないか、ということは一つの過程であると考えておいでなのだと思いました。
 何を大事にしていらっしゃるかというと、その子なりの達成感とか、充実感、というあたりではないかと思います。ご一緒にいらっしゃる柳澤先生が、共感しているといってしまえば、とても簡単な事なんですけど。先生のお姿からたぶん一緒に喜んでいらっしゃるんだろうなと思うのですけど、私どもが実際にそのプログラムを自分たちのできることからやっていく時に、どのようにすれば保育の質が高まるのかというようなご示唆、何かありますでしょうか。
柳澤: 実技講習でもお話させていただきましたが、やはり、子どもと同じレベルになって子どもと一緒に動く。私もいろいろな保育園・幼稚園に行きますが、特に運動の場面になってきますと、口だけで色々なことを言っている先生方がかなり多いですね。それで「できるだけ動いてやっていただけませんか」と申しますと、「もうちょっと私、年なもので、あんまり動きすぎちゃうともう次の日動かなくなるもので」と回答が返ってくるのですが、やはり子どもは耳で聞いて理解するよりも、見たものに対しての反応、要するに模倣をするという部分で、一番印象付けられます。先ほどもお話しましたが、ぜひ先生自ら動いてみることをしていただきたいです。子どもの前に行って突然動き出して、次の日体が動かなくなってしまわないように、ちゃんとしたストレッチをして、日頃から運動しておいて子どもの前で即座に使えるような体作りぜひお願いしたいと思います。
 自ら動くと、動くものに対して子どもを惹きつけられる、この部分が一番子どもたちの、特に運動の場面では大事だと思います。口でどんなに偉そうなこと言っても、子どもたちは頭の中で理解してくれません。動いてその形を示すことだと思います。
このページのトップに戻る
磯部: ありがとうございました。小林先生には、最後におまとめを頂きたいと思っておりますので、ここで今日グループ協議をしていただいたので、是非、ご質問したい、というグループ、ありましたら、一つか二つ、のご質問受けたいと思います。どなたか代表でいかがでしょうか。
 よろしいですか。今まで皆さんのご質問の中からもいくつかお答えいただいたかなと思います。それでは先ほど、私が各グループをまわらせていただいたところ、キーワード的に拾ったのは、ケガの問題でございました。そのケガについては、きちんと基本を押さえれば、このプログラムでのケガということはないのかな、とは思うのですが、そのことについては柳澤先生はどのようにお考えでしょうか。
柳澤: ケガをするということは突拍子もない動きをしたときに起きます。私の考えてきたプログラムというのは、そういう部分をなくす意味で徐々にレベルアップしている形になっていますので、私が直接、今回の研究対象園の10園に年6回、計60回行きまして、751名の子どもたちを教えさせていただきましたけれども、ケガはほとんどありませんでした。動きが活発になって、擦り傷、切り傷といったケガはかなりありますが、骨を折ったりという大きなケガはありません。逆に、ケガについての保育者の考え方ですが、あんまりこういう事は大きい声で言っちゃいけないのですが、僕は擦り傷、切り傷、小さいケガはいっぱいした方がいいと思うんですね。そういうケガを何回も経験していると、大きいケガはしなくなります。でも、今の子どもたちは、転んだこともない、要するにケガをしないできていて、最後にとんでもない大きいケガをしてしまう、ということが考えられます。ですから、擦り傷、切り傷、の小さい部分は私はケガとは考えておりませんので、段階を経て徐々にレベルアップしていく事によって大きなケガ、というものは防げると思います。
磯部: はい、ありがとうございました。先ほどから何回も本日の研修のテーマを申し上げておりますが、私どもが実際に子どもを指導するときに、どうあったらよいのかという一つは、内容的なもので、このことについては柳澤先生のご実践をご紹介いただきました。本日は一番はじめに小林先生が心と身体のプログラムを同時に動かす、そのようなことが大事だとおっしゃいました。子どもたちが心と身体を同時に動かすということ、心の躍動感、心をどう弾ませるのか、ということについては、先生方が魅力的である、先生方のその動き、先生方の存在が魅力あるものである、ということが必要なように思いました。是非小林先生に、先生がお考えになる魅力ある先生についてお話いただき、それを最後のまとめにしたいと思います。宜しくお願いいたします。
このページのトップに戻る
小林: 保育の質を決めるのには、いろいろな考え方が僕はあると思うのですね。施設の問題、それから保育をする保育士さんたちの問題、それ以外にも、例えば雰囲気といいますかね、保育の場の問題といったらいいようなものもあります。今のお尋ねは保育士さんの質そのものの問題のように、私は受け止めたわけですね。それでどういう保育士さんになったらいいか、という質問と、私は理解したのですけれども。
 だとすると、私の話の中で申し上げた様に、子どもたちの心を読みとって、それに手際よく対応するという力を持つこと、すなわちセンシティビティとインタラクション、という言葉をアメリカの学者達は使っています。そういう力を持っている事だと思うんですね。もちろんセンシティビティとインタラクションは、やさしさの力になるわけです。乳幼児期は、特にそのやさしさが重要だと思います。そのやさしさによって、子どもは生まれながらにして持っているいろいろな素晴らしい力、私流に言えばプログラムになるわけです。そういう優しさが、脳の生まれながらのプログラムを組み合わせていくのに重要な力になると思うのですね。生まれながらの基本的なプログラムが、色々と組織されて知性のコントロール、前頭前野で支配される様になる事だと思うのです。例えば、生まれながらのプログラムが組み合わされて知性のコントロールに入れば、例えば人のふりをみてその人がどういう事を考えているかというような事もわかる。すなわち、子どもは「心の理論」を持つこともできますし、例えば人生は平和であるとか、あるいは人はみんな自分にとってはやさしい人なんだという風に信ずる「基本的な信頼」"Basic Trust"というような力も出来ると考えるのです。
 そういう生まれながらにして持っている力、僕流にいえばプログラムは、神経細胞のネットワークを動かす、暗号を集めたようなものを、プログラムと考えていただければいいと思いますけれど。そのプログラムの基本的なものが、やさしさによって、乳幼児期にまとめられるわけですよね、優しさ、換言すれば、感性の情報が一番重要だと思うのですね。そうしたプログラムのまとまりが出来れば、これはこういう理由でしてはいけないのだ、というような知性の情報ですね。その知性の情報に基づいて知性のコントロールで行動するようになっていく、そういうプロセスが私は重要だと思うのですね。
 私は柳澤先生の今日のお話で、身体を動かす事の意味はどこにあるんだ、というところですね、先ほど言いましたその協応関係を作るというのも、あれも要するに子どもの持っているプログラムのいくつかを組み合わせて、一つにすることによってできるものだと私は思うのですね。それはなぜかといったら、大腿筋の筋肉を動かす神経細胞のネットワークと、手の指を動かす神経の細胞の脳の神経細胞のネットワークと結びつけると考えられているわけですから、全ては脳の中の夫々のプログラムを一つにする事ですよね。そういう発想で、見て下されば、私の申し上げたかったことは理解いただけると思うんですけども。その時に、やはりやさしさとか、子どもに対する思いやりなどという、私流にいうと感性の情報といいますか、子どもの心を動かす大人の心、優しさを大切にすることが、乳幼児期には特に重要だと、私は申し上げたいのです。ある程度の大脳の神経細胞のネットワーク構造が出来上がれば、僕流に言えばプログラムのほうが編成されていれば、知性の情報に基づいて、少しくらい厳しいしつけをやっても、いけないと言って叱ってもですね、何してもいいのではないかと思うのですね。
 ですから、まさに21世紀は脳の時代といわれておりますから、保育も脳科学の知識を基にして脳の発達を考えながらやっていく時代に入ったと思うのですね。現在、日本政府の研究費で、脳科学と育児だとか保育、さらに教育との関係を研究するようなプロジェクトが動き出しているのです。
 そういった意味で先生方は是非、脳の仕組みをよく理解して、保育の質を高める、一つのいい方法として、柳澤先生の運動、保育援助プログラムというものをですね、上手く使っていただきたいと思いますし、また、それぞれの園で、修正なり改良して、柳澤先生のプログラムを利用して、もっといいアイディアのプログラムを是非作っていただきたいと思います。
磯部: ありがとうございました。先ほど、柳澤先生のプログラムを実践されている小山台保育園の園長先生のご報告がありましたが、参加された方がどれだけ、この研修会に魅力をお感じになったかがポイントになります。皆様がそれをそれぞれの園に戻られて、園の先生方に伝えていただき、そして活用していただければ、この研修会大変役に立つのではないかな、と思っています。先ほど小山台保育園の先生がおっしゃったように、子ども達が毎日、やはり心躍らせて幼稚園、保育園に登園してくる、そんな幼稚園・保育園作りを目指すのが私どもの仕事、役目ではないかと思っております。
 本日は大変短い時間、そして上手くまとめられたかどうか不安ですが終了することができました。みなさんのご協力、それからご質問いただきました先生方、本当にありがとうございました。心より感謝を申し上げます。この研修会で得られたことを私どもが実践し、また、柳澤先生にお戻しすることが、今日の研修会へのお礼ではないかと思っております。 お二人の先生方、本当にありがとうございました。
このページのトップに戻る




Copyright (c) 1996-, Child Research Net, All rights reserved.