東京大学医学部小児科講師 中村安秀
1995年1月17日午前5時46分。神の振ったサイコロの一撃は、一瞬のうちに阪神地区のすべての人を「平等」に襲った。中村氏は阪神大震災の起こったこの日を、「日本が第3世界になった日」と言う。 |
埼玉県立小児医療センター付属大宮小児保健センター保健指導部医長 奥山真紀子
「日本全体にとって阪神大震災は戦後50年目に起きた新たなトラウマ(心の傷)であったのかもしれない」と、精神科医の奥山氏はいう。そうであるならば、直接被害を被った人びと、なかでも子どもたちの受けた精神的ショックは想像を越えるほど大きいだろう。 |
神戸新聞社会部記者 宮沢之祐
阪神大震災は、在日ベトナム人の人びとにも襲いかかった。差別や偏見、生活苦に耐えながら身を寄せるように形作っていたコミュニティも、そして彼らの心休まる居場所であった教会さえも、一瞬のうちに倒壊してしまったのだ。 |
筑波大学心身障害学系助教授 宮本信也
「子ども」「老人」「障害を持つ人」などをいわゆる「災害弱者」とすれば、障害を持つ子どもたちは2重の意味で災害弱者となると宮本氏は言う。氏は被災地の特殊学級で聞き取り調査を行い、震災後の障害児の状況と、今後の援助の可能性を示す。 |
駒澤大学文学部教授 山本康正
災害時に「学校」の果たす役割は大きい。しかし、その役割を最大限に生かせるかどうかは、平常時に地域住民が学校を「自分たちのもの」と認識し、自分たちの財産として管理し、利用しているかどうかにかかっている、と山本氏は言う。 |
シリーズ3回目のゲストは共同通信社の社会部記者である西山明氏。氏はいじめが社
会的にクローズアップされ始めた1985年頃から、コンサート会場や街の盛り場など、子
どもの居場所に自ら出向いて、10代の子どもたちの取材を重ねてきた。氏はその取材の
過程で、現代の子どもたちの内面世界が従来の子どもという枠を大きく超えていること
に気づいたという。 |