校内暴力事件を減少させる試み |
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ジェニファー・ヤンガー 校内暴力や殺人に関する最近のメディア報道を見ていると、校内暴力事件が減少していると想像するのは難しいかもしれない。しかし、実際にそうなのである。 校内暴力はこの5年間で減少している。教師を対象とした調査では、彼らは生徒たちが学校を非常に安全なところだと感じていると報告している。ギャラップ(Gallup)の調査によれば、24パーセントの生徒が「学校は安全で整然としている」と考えており、62パーセントの生徒は「やや安全で整然としている」と考えているようだ。 メディアは、1999年に起きたコロラド州リトルトンのコロンバイン高校での恐ろしい殺人事件にスポットライトをあて、騒がしい事実ばかりを前面に押し出している。生徒間の問題は、これまでの殴り合いに代わり、今日では銃によって解決される傾向があること。過去1ケ月間では、高校生の9パーセントが学校に武器を持ちこんだこと。最も驚くべき統計の一つは、昨年、米国の6年生から12年生の生徒の3パーセントが学校に銃を持ち込み、それは、800,000人の生徒が命を奪う武器を運んでいたことになること、などなど。 校内暴力は、命を奪う武器を用いた暴力に限定されず、言葉による暴力、身体的暴力の脅し、人種差別、いじめ、盗み、性的かつ身体的な暴力も含まれる。校舎とその周辺で暴力を受けた教師は、5年前には9人に1人だったのに対し、昨年は6人に1人だった。また、生徒の25パーセントが暴力を受けたことがあると報告されている。 危険信号を見逃さないで子どもが暴力を受けたと認識するための最も重要な方法の一つは、学校と家庭がお互いに連絡をとりやすい環境をつくって、以下のような暴力を受けた兆候をいち早く察知することである。
家庭と学校の間の連絡をとりやすくしておくことによって、生徒の気になる行動について必要なときにいつでも話合うことができる。 アメリカ全土の学校で、生徒の暴力を減少させる試みが始まった。学校にコンサルタントやセラピストを配属し、生徒が相談ごとをもちかけやすいように便宜を図っているのがその一例だ。社会的技能を身につけるプログラムでは、争いの解決法、友人同士のけんかの仲裁法、怒りの静め方など、状況に応じた適切な対応方法を指導している。育児プログラムでは、子どもへの接し方など、育児の基本を指導している。学校側は、このようなプログラムの運営のために自治体のより一層の協力を望んでいるようだ。またこのようなプログラムは、金属探知機や鉄格子、警備員が配備された刑務所のような施設を学校に作るよりも、暴力を抑制するのに効果的であるという調査結果も出されている。 保護者は、青少年犯罪の多くが午後3時から6時の間に発生していることも注意すべきである。この国で起こっている暴力事件として取り上げられる多くの事件が学校で発生したものであるにもかかわらず、学校は多くの場合子供が住んでいる地域よりもまだ安全なのである。 著者のジェニファー・ヤンガー氏は、ロアノク・バレーのリバーモント校校長。リバーモント校は、セラピー教育を専門に行う学校で、公立学校、裁判所、社会福祉省などからの紹介で、公立学校では更生が難しいと見られる生徒を集めて教育している。ヤンガー氏は、ロアノク大学で心理学士、オールド・ドミニオン大学で特殊教育の修士号を取得し、更生が困難な状況にある生徒の教育に携わっている。 出所:New Digest, the quarterly newsletter of Central Health of Lynchburg, Virginia (Novermber 2000)。 |