- ティーンエージャーはすべて、その成長の過程で当然危険をおかす。危険をおかすことは、ティーンエージャーが自分のアイデンティティーを定義し、発達させるために用いるツールであり、健康上のリスクをおかすことは貴重な経験である。
- 健康な思春期の、リスクはあるが子どもによい影響を与えるものには、スポーツに参加する、芸術的でクリエイティブな才能を開発する、ボランティア活動、旅行、生徒会役員に立候補する、新しい友達をつくる、家族、地域社会などに対して建設的な貢献をなすことなどがある。これらの活動すべてにみられることは、失敗の可能性である。親はこれを認めて、子どもたちを助けてやらなければならない。
- 若者にとってネガティブなリスクのある行動とは、酒、タバコ、麻薬、乱暴な運転、安全ではない性行動、接食障害、自傷行為、家出、盗み、ギャング行為などがある。
- 若者が不健康なリスクをおかすことは、“反抗”――特に親に向けた怒りのジェスチュア――と見えるかも知れない。しかし、健康であろうと不健康であろうと危険をおかすことは、ティーンエージャーが自分を定義し、親を含む他人から離れて、自分のアイデンティティーを試してみようとする取り組みでもある。
- 若者の行動のなかには、当てにならないものもある。健全な危険をおかそうとしているだけなのに、それが本当に危険な行動となってしまうティーンエージャーもいる。たとえば、思春期の少女たちはダイエットの罠に気づかず、無茶食いをしたあげく、本物の摂食障害にかかるものが多い。親は子どもたちがそのようなことに苦しんでいるときに助けられるように、十分な情報をもたなければならない。
- 思春期のリスクを示す赤信号には、思春期の普通の“不機嫌”以上のうつ状態や不安が続くこと、学校での問題、違法な行為にふけること、その他不健全なリスクをおかす行動などがある。(喫煙、飲酒、乱暴な運転、無茶食い、自傷行為、家出、盗みなどがが同時に起こっていることがある。)
- 思春期の若者には危険をおかす必要があるので、親たちはこれを健全なやり方で手助けをしてやらねばならない。健全なリスクはそれ自体重要であり、また不健全なリスクをふせぐことができる。
- 思春期の若者が、友人や親を含む家族の行動について発言するとき、ネガティブなリスク行動について微妙なサインを出していることがある。親は自分自身が昔おかした危険や試みについて口を閉ざすことが多いが、この情報を若者と分かち合い,ロールモデルとなり、どんな過ちが致命的なのかを知らせ、親自身の青春時代の選択よりもよい選択をすすめるのが重要となる。
- 思春期の若者は親に対して、良いリスク、悪いリスクの見極めかたについて助言を求め、手本にしたいとおもっている。親は十代の子どもたちにたいしてリスク評価の学び方やその選択結果を予想することを教え、そのエネルギーを必要ならもっと健康的な活動に向ける方法を考えることを教えるべきである。
- 親は、自分達自身が最近どんな危険な行動をしているかについて気をつけるべきである。ティーンエージャーは自分で認めないかも知れないが、親を見ていて、真似をしている。
- 出典:
- The Romance of Risk: Why Teenagers Do the Things They Do(リスクのロマンス:どうしてティーンネージャーはそうするのか?)
- Lynn E. Ponton, M.D. (Basic Books社,1997年)
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