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Vol. 17, No. 11, November 2001
1. 子どもたちにはお互いに話し合いをもつ専門家達が必要である

子どもたちにはお互いに話し合いをもつ
専門家達が必要である


グレゴリー・K・フリッツ 医師

 我々の時代では、子どもの複雑な問題に対処するのに多分野の人々が協力するのは簡単なように思われる。ここ数十年間で科学の分野が飛躍的に進歩し、ひとりの子どもを助けるための関連知識すべてを、個人や一つの専門分野だけで把握できないことはよく知られている。複雑な発達や行動に関する問題の解決はひとつではなく、多面的なアプローチこそが、もっともそのような子どものためになる。どんなタイプの経験が必要か、専門家がどの位時間を費やせるか、誰がどのサービス料金を受け取るのかなどを考えて、包括的治療計画を立てねばならない。専門家チームの共同作業は明らかに正しいアプローチである。
かといって、それが実現されることは少ない。

 残念なことに、治療において、一貫性のないやり方、コミュニケーションの拙さ、機会を逃がしてしまうことがしばしばあるのである。重大な発達障害や慢性疾患、精神科疾患のある子どもを持つすべての親は、子どもがケアを受けている専門家がばらばらに仕事をしていたり、お互いに食い違う意見を持っているなど、子どもの害になる恐ろしい事実に面している。

* 教育者たちは、医者と連絡を取り合うことなく子どもが学校へ戻るため何らかの薬を与えるよう親に指示する。(複数の州がこのやり方を問題視し、禁止する法律を可決した。この法律の意図は確かによいのだが、共同作業について法律で定めることはこのやり方を進める上で邪魔な存在になると思われる。)
* 精神科医はたとえば、子どもの学習能力が劣っているか否かを判断するため協力を要請するかわりに、心理学者に対して肝機能検査を指示するのと同じように検査を指示する。ここでの問題はなんだろう。心理学者の認知能力評価についての広範囲の専門知識が無視されている。
* 医者以外の精神衛生専門家は往々にして、たとえ小児科医が必要な訓練を受けておらず時間もなくても、彼らが子どもに精神活性薬を処方し監視することを期待する。その上、小児科医は患者についての適切な背景情報を与えられることなく、その任務を果たすことをたびたび期待される。

 専門家による共同作業の必要性について異議を唱えるものはないのに、何故これがもっと信頼おけるやり方でできないのだろう。一言でいえば、問題の根本は子どもを主眼とする専門領域間にある"文化的"違いにあるのだ。教育者、小児科医、心理学者、精神科医、ソーシャルワーカー、スピーチや言語の専門家たちは、価値観も、基礎知識も、仕事のやり方も、専門用語も、世界観も違っている。自分が優先するものや専門分野が最も重要だと思うものが違うのは、当然である。さらに、専門家の多くは自分の世界では意思決定者であることに慣れていて、絶対的な権限を手放したがらない。マネージド・ケアや報酬規則に関する複雑な障壁を考えると、共同ケアが実現すること自体、摩訶不思議である!

 すぐに解決はできないとしても、問題が解決できないということは決してない。専門家の共同作業の中心には、他分野の貢献に対する敬意がある。この敬意は、他分野の専門知識の深さと限界に関する現実的な知識に基づいている。この教育可能な知識に加えて、自分自身の能力に限界があると知るに謙虚な態度に基づく他人の能力に対する敬意がある。専門家のアイデンティティーが明らかになりつつある時にこれを始めるべきだ。今年の夏、ACGME(アメリカ医学系大学院教育学会)で、これを後押しする出来事があった。すべての医学教育機関に、チームワークの技術や多分野の専門家との共同開発といった、ケアのための統合的・共同的なアプローチについて教えるための公式な方法を開発することを新たに義務付けたのである。共同作業を効果的に教えることができれば、この先実際にそれが行われるかもしれない。そうなれば子どもたちは恩恵を蒙るだろう。



The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, November 2001
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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