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Vol. 18, No. 4, April 2002
子どもの保護制度についての反対派の提案

子どもの保護制度についての反対派の提案

医師 キャロル・ジェニー


 過去18年間、私は何千人もの子どもに虐待やネグレクトの事実があるかどうかを評価してきた。何百件もの裁判で証言をし、子どもの仕事をしているソーシャル・ワーカーや弁護士と何千時間もかけて相談をした。私の経験を語ると、制度について自分が気にかかっていることを他の人も気にかかっていることがわかった。
 子どもの安全をはかるために、子どもを虐待や放任から守る制度は以下の常識的な原則に同意し、これを採用すべきと考える。

だれかが子どもに重大な怪我を負わせたら、その人は自分の行動について責任を負うべきだ

 家庭裁判所は、親は自分の行動について高度の説明責任を持つと主張すべきである。残念なことに、家庭裁判所が親に対してその誤ちを「認める」よう要求しないことがある。子どもが重い怪我をし、しかも故意に傷つけらているのに、だれもその子に怪我をさせたと認めないので、裁判所はそのまま子どもを家庭に戻すことがある。子どもを傷つけた人は自分の行動について責任を取らなくともよいのである。
 子どもが重傷を負い裁判官が虐待の事実を認めたにもかかわらず、だれも怪我をさせたことを認めないので、子どもを家に返された事件を私はたびたび見てきた。
 私の薦める第一の原則は、大人はその行動について責任を問われるべきということである。自分のしたことについて嘘を言い、その結果について責任を取らずにすむことを制度は許すべきでない。子どもを傷つけた者が、後悔の言葉を口にし、もうしませんと言ったなら、その人は今後安全で善良な親になれるようあらゆる助力を与えられるべきだ。

裁判所は、子どもに虐待を受けた人と会うことを強制すべきでない

 子どもが性的虐待を受けたと判定されたら、せめて安全な気持になれる権利がある。裁判官は、往々にして親が子どもに会う権利を大切だとする。親が子どもを性的に虐待している場合は、この二つの原則は矛盾する。裁判所が子どもが性的虐待を受けたと認めた上で、その虐待をした親に会うよう命じた事件を多数見てきた。強姦をうけた成人女性に対して、強姦された相手に毎週会うことを強要するなど考えられるだろうか。
 子どもも成人と同じ配慮をうけるべきである。性的虐待を行なった親とその犠牲者である子どもとの再会がうまくいく例も多いが、子どもの意に反してこれを行なうべきではない。

家庭裁判所は他の裁判所とは異なるものなので、それに伴った方策が必要である

 州法を実施する以外に、家庭裁判所の裁判官は無力な子どもたちの健康と福祉を保証しなければならない。家庭裁判所の裁判官で、心理学、児童虐待、児童発達、家族関係の機能障害、薬物乱用、犠牲者の動態学について正式な訓練を受けたものはほとんどいない。それでいて、彼らは職務上法律の問題とともにこれらに精通していなくてはならない。
 裁判官は小児科、児童虐待、児童発達学、家族心理学の専門家に相談できる立場に居なければならない。州や親の弁護士が証人として出廷させた「戦う専門家」よりは、中立の専門家パネルを利用して裁判官が利用できる資源を拡大すべきではないか。
 裁判官は子どもの運命を決める最終責任を持つ一方で、他の専門家からの正確な情報からも利益を得られるはずである。

家庭裁判所を"日のあたる場所"へ

 勿論、虐待を受けたり不当な扱いを受けた子どもと家族の身元やプライバシーは守られるべきだが、家庭裁判所を非公開とすることによって、子どもの保護制度の過ちや不適切さを州政府が隠すことになる。裁判官の判断が間違って、子どもが傷ついても、それを説明する責任を問われない。家族がリハビリを受けるため利用できる方策が十分になく、そのため失敗を犯しても、これについて知る人はいない。
 現行制度のもとでは、家庭裁判所における司法の無能力さは公衆の目から完全に遮られている。一般大衆が制度の質を厳重に調べられるようにする一方で、子どもたちと家族の身元をしっかりと保護する方法を生み出すべきである。

* キャロル・ジェニー医師は、小児科の教授であり、ロードアイランド州プロビデンスハスブロこども病院の児童保護制度の理事である。



The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, April 2002
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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