子どもに吃音があると思ったら
バリー・ギター博士、バーモント大学
エドワード・G・コンチュア博士、バンダービルド大学
転載許可:アメリカ・吃音財団
あなたの子どもには吃音がありますか
子どもが話すのを難しく感じているようだったり、ある種の音節、単語、言い回しを発したり繰り返すのを躊躇する傾向がある場合、その子どもにはとつ弁または吃音の問題があるかもしれない。しかし、これは単に話し方を学習していく際に多くの子どもが経験する通常のとつ弁の時期にあるだけかも知れない。
話す時につかえるが正常な子ども
- 心配の必要のないとつ弁の子どもは時々、同じ音節や言葉を、たとえば「コ、コ、コレみたい」などと1、2度繰り返すことがある。その他には、発語を躊躇したり、「アー」、「エー」、「ウーン」などの音を用いることがある。
- とつ弁が見られるのは、1歳から1歳半、5歳までの間で多く、出たり消えたりするが、子どもが新しいやり方で言葉を使おうとしている兆候である場合が普通である。もしとつ弁が数週間見られず、それからまた現れるときは新しい学習の段階にあるということかも知れない。
軽い吃音がある子ども
- 軽い吃音がある子どもは、2度以上同じ音を繰り返す。たとえば[コ、コ、コ、コ、コレみたい]など。顔の筋肉、特に口のまわりに緊張と懸命に話そうとする努力が現れていることがある。
- 繰り返しと共に声が高くなることがあり、時々数秒間息が止まってしまったり、声が出なかったりする「ブロック」を経験することがある。
- 子どもと話すときは、ゆっくりリラックスして話してみせ、他の家族にも同じようにするよう勧めるのがよい。異常なほどゆっくりとは話さないように、しかも急がないように、何度も休んで話すようにする。テレビのキャラクター「ミスター・ロジャース」はこの種の話し方のよいお手本だ。
- 親の一人が毎日時間をとって子どもにつきっきりになり、ゆっくりとリラックスした会話をするのがとても効果的である。他に何もしていない時に数分間、決まった時間をもち、子どもがなんでも頭に浮かんだことを話すのに耳を傾けるのがよい。
- 子どもがあなたに話し掛けたり、質問をしてきたりしたときは、すぐに答えずに1秒前後間を置いてから答えてみる。こうすると、子どもは慌てず、リッラクスして話せる。
- 吃音がひどくなっても、うろたえたり、いらいらしたりしないようにする。子どもは一生懸命にいろいろな新しいやり方を一度にすべて学ぼうとしている。辛抱強く、受け入れようとする態度を取ることで、子どもはとても救われるのである。
- 無意識のうちに音を繰り返したり、長く引き伸ばしたりすることは、吃音のなかでももっとも軽い症状である。緊張して吃ったり、特定の単語を避けようとするより、こういう形で話すのが一番役にたつ。
- 吃音がひどく子どもが落ち込んだり、苛々したりする時には、安心させてやる。「時々お話しするのが難しいことはわかるけど……、言葉につまる人は沢山いるのよ……、心配しないで」などと言ってやると、安心する子どもがいる。苛々している時に身体に触ったり、抱きしめるだけで安心する子どももいる。
- とつ弁は出たり、消えたりするが、出ている状態の方が長い場合が多い。
吃音がひどい子ども
- 話の中で10%以上吃音が出るとき、吃音を避けようとする強い意識と緊張を伴った吃音があるとき、単語を選んだり、別の音を使って話しはじめるときなどは、言語療法が必要である。繰り返しや音を引き伸ばすより、話が完全にブロックされることのほうがよく見られる。発話のほぼ全ての場面で、とつ弁がみられる。
- アメリカ吃音財団(Stuttering Foundation of America)(電話1-800-992-9392)へ連絡してみよう。吃音を専門にする音声・言語病理学者の名前を教えてくれる。また近くの大学や病院に連絡して、専門医を紹介してもらおう。アメリカ音声言語聴音協会の認定臨床医である音声言語病理学者を探してみよう。
- 軽い吃音のある子どもの親に対する助言は、重い吃音の問題を持つ子どもの親にもあてはまる。自分がゆっくり、リラックスして話すことが、子どもに対してゆっくりしなさいと言うよりははるかに役に立つことを憶えておこう。
- 子どもが自分の吃音について話せるように仕向けよう。そんな時は、忍耐強く、受け入れていることを見せよう。吃音に打ち勝つには、努力を重ねるよりは、吃るのではないかという恐れをなくすことが大切である。
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