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Vol. 18, No. 12, December 2002
1. 双極性障害(躁鬱病)
2. 親の離婚からくる子どものストレスを軽減する

双極性障害(躁鬱病)

 マサチューセッツ・ゼネラル・ホスピタルのティモシー・E・ウィレンズ医師や同僚たちによれば、双極性障害(躁鬱病)を持つとして治療にまわされる学齢前の子どもは、かなり年齢が低いのにかかわらず、その病状、その他の精神病や機能障害との合併率、双方において就学中の児童と共通点が多いということである。研究者らが双極性障害の就学前の子ども44名と就学中の児童77名における合併精神病と機能障害のパターンを調べたところ、両群で合併精神疾患の罹患率が同率であることを見出した。研究はさらに就学中の児童と比べて未就学児童患者は双極性障害とわかる様々な症状が極めて早い段階でより多く現れる。また両群の子どもたちが学校、社会、その他全般的な生活において多くの障害を抱えているのを見出している。

[Wilens TE, Biederman J, Wozniak J: Patterns of Comorbidity and dysfunction in clinically referred preschoolers with bipolar disorder.]
2002年10月にサンフランシスコで開催されたアメリカ児童・思春期心理学会での研究発表

親の離婚からくる子どものストレスを軽減する

 離婚は親にも子どもにもストレスがかかるものである。子どもの情緒的反応は離婚の際の本人の年齢によって異なるのが普通だが、子どもの多くは悲しみ、怒り、不安などの感情を経験し、これらの感情が往々にしてその行動に表われる。
 幸いにも、離婚の際に子どもを助けるためにできることがある。そうした状況から生ずるストレスを最小限に抑え、子どもが心配していることに対して率直にまた正直に応えることにより、子どもがこの往々にして難しい時期を乗り越えるのを助けることができる。
 これらの反応が必ずしも永遠に続く問題ではないことを憶えておくのも重要である。離婚直後の子どもの感情に関する問題は、扱いに気をつければ一過性のことが多い。子どもが自分の感じていることについてサインを送ってくるのに気がつけば、問題に対処するのが容易になってくる。

ストレスに対する反応

誕生から2歳まで
 この年頃の子どもは首尾一貫した決まったやり方を要求し、馴れ親しんでいることで安心する。乳児は、予期できないスケジュール、変化が多すぎること、突然引き離されることなどで傷つく。乳児が傷ついている徴候には、気難しくなったり泣くのが増えたり、食生活や眠りの習慣が変わることなどが挙げられる。この年齢群の子どもは、引き離されることに敏感に反応する。分離不安の結果、引きこもり、悲しみ、まとわりつきなどの行動が見られる。

2歳から4歳まで
 この年頃の子どもは常にかまってやる必要があるが、子どもが長期の記憶を持つようになり、言葉を覚えるにつれて、自立するようになる。この年頃の子どもがストレスを感じているという徴候は、継続的な分離不安や指しゃぶり、おねしょ、夜間の不眠などの赤ん坊帰りに見られる。親やその配偶者に対して気難しかったり、怒ったりすることもある。学齢前の子どもは頻繁に泣いたり、喧嘩をすることが多く、「赤ん坊帰り」をしたり、癇癪を起こしたりする。

6歳から8歳まで
 6歳から8歳の子どもは自分が愛されていることを確認するため、両方の親との二人だけの時間を必要とする.公平さが重要な問題となり、父親と母親それぞれが同じだけの時間を自分と過すようにしたがる。また、この年頃の子どもは誰のせいだとか、誰の責任かなどといったことを知りたがる。もし子どもが家族を元通りにしたいという希望を表したら、二人の親は子どもとそれぞれ別々に時間を過して、現実の状況を見極めさせるようにする。子どもの不幸せな感情が、悲しみ、怒り、攻撃の形で表現されることがある。友人関係や学校生活がうまくいかなくなったり、ストレスで腹痛や頭痛などの身体症状が現れることもある。

9歳から12歳まで
 この年頃になると、子どもは親から離れて活動しはじめる。離婚した親たちがお互いに近くに住んでいるときは、同じだけの時間を過す計画はうまくいくかもしれないが、子どもの優先順位の変化により、予定の変更をせまられるかもしれない。この年齢層の子どもは学校、地域の活動、友情などを優先するようになってくる。親やその配偶者と平等に時間を過すのを拒否するかも知れず、どちらかの側につこうとする場合もある。この種の行動を予期し、実際にそうなったときに一人でその結果を背負いこまないようにすることが大事だ。この年齢群にとって警戒すべき徴候には、同じ年頃の友だちとの問題、孤独、うつ状態、怒り、頭痛や腹痛などの身体症状、勉強がうまくいかないことなどが含まれる。子どもが自分の感情を犠牲にして、取り乱した親の面倒を見なければならないと感じるなど、役割の逆転も起こりうる。これは子どもにとって健全な状態ではない。家族の中で役割の逆転が起こっていると思う親は、自分自身のために情緒的支援を得る道を探し、子どもに重荷を負わせないようにするべきである。

12歳から15歳まで
 この年齢群の子どもたちは両親からしっかりとしたサポートを必要とするが、父と母それぞれ別の生活のなかで時間的に平等に過すやり方を受け入れないことがある。また離婚をどちらかあるいは両方の親のせいにして攻め立てることもある。どちらか一方の家に住むことを主張したり、始終住む家を交替しようとして、自分が支配的立場に立とうとする。うつ、むら気、演技、学校の成績がよくない、アルコールや薬物の使用、セックス、いつも反抗的態度を取るなどは、十代の子どもにトラブルがあることを示す危険信号である。離婚に関係しているか否かに関わらず、このようなトラブルはティーンエージャーの幸福に関わる重大な問題であり、外部の助力が必要である。

15歳から18歳まで
 この年代グループのティーンエージャーは、自分の自立、社会的活動、学校での活動に興味の中心があり、両親の問題には寛容でなくなることがある。まだ親の支援が必要だけれども、自分の方からは親のことを心配するのがいやになることもある。十代の子どもとその感情についてよく話すことが役に立つだろう。ティーンエージャーは自分の親が幸せになれればいいと思う一方で、親が他の人とデートしているのを見ると複雑な気持になることもある。一方の親のデートを黙認するのは、もう片方の親に悪いと思うこともある。十代後半になっても親の手助けを必要とする子どもは、非行、うつ状態、学力低下、家出などの問題を起こし、法に触れるような問題を起こすことにもなる。

上記の情報は、親、子ども、ティーンエージャーのための医療保健情報、最大オンラインベースの一つであるKidsHealthの提供によるものである。同様な論文は、www.KidsHealth.org.又は www.TeensHealth.orgで読むことができる。



The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter, December 2002
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Source: The Brown University Child and Adolescent Behavior Letter
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