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11月
11月

〜子どもを見つめる眼差し(6/6)〜

<今月の本>エーリヒ・ケストナー作 『小さな男の子の旅』



 ご存知のように、ケストナーはナチスが台頭していく中で、彼の詩や小説が発禁となりながら、あくまで亡命せずに祖国に踏みとどまって執筆を続けた作家です。その時期に、子どものための作品を書き始めたわけですが、それが、世界中で読まれ、むしろ、児童文学の世界で彼の名を広めたのです。

 ケストナー自身、ひとりっ子で母親と深い絆で結ばれていたようですが、貧しい生活をよぎなくされる母を助け、母の愛に応えようと、努力を惜しまなかった少年だったということです。
 ケストナーの一徹さと、強い意志を思うにつけ、彼の周りにも、心優しい、あたたかいおとなたちのまなざしが、存在したのではないかと、思われてなりません。

 だからこそ、ケストナーは最終的には、あるいは根本では人間を信じ、人間、ことに子どもたちへの愛に満ちた作品を書き続けたのではないでしょうか。
 そして、それが、私たち読者を励ますのは、子どもたちのもつほんとうの生命力を、そのあるべき姿を作品に示しているからだと思います。


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