1月 |
〜新しい「隣人」の大切さ(3/6)〜 |
---|---|
<今月の本>宮沢賢治作 『セロひきのゴーシュ』 |
《心に生きる今月の物語》 昨年の連載を振り返って、すべてが外国の作品だったことに気がつきました。 宮沢賢治作『セロひきのゴーシュ』 (茂田井武絵/福音館書店) 絵本としては、他にも司修絵のもの(冨山房)もあり、こちらも原作の味を損なわず、優れた画家の感性で描かれた絵本といわれています(ただしすでに絶版で、図書館くらいでしか見つからないでしょう)。どちらかというと、そこにはいくぶん抽象化されたゴーシュの姿があります。 茂田井武の絵本の方は、もう少し素朴で、しかし新鮮で、どこかとぼけたユーモアが感じられる絵です。私は星空の下、ゴーシュが大きなセロを抱えて田園の田んぼ道を行く場面など、なぜか故郷の風景を思い出します。そして、動物たちとゴーシュのやりとりが、実に活き活きと楽しく、ドラマチックで、文と絵が絶妙にマッチして表現しています。 瀬田貞二さんの「あとがき」によると、茂田井武はこの絵本が出版された年の11月に、持病の喘息で48年の短い生涯を閉じたそうです。この絵本が、「画家の死去する年に実った、もっとも味わい深い収穫」といいきり、 |
|
|
|